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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
4章 ふたりの冒険生活
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No.68 とある6人

「李家…亮介…?」


俺はあまりの驚きで言葉が出なかった。


「お、おいレン、どうしたんだよ、そんな顔して…」


「レン君、もしかしてリノイエリョウスケって…」


「うん、俺の父さんの名前だ…間違いない」


「それは…本当かい…?」


アルフも、まさか目の前にいる若造が自分の親友の息子だなんて、思いもよらなかったのだろう…。

驚きの表情で俺の顔を見ている。


「こっちの世界に来てから…いくつか俺の父さんの足跡というか、父さんが残した物があったんだけど、まさか父さんの親友が轟狐の元グループリーダーだなんて思いもよらなかったな…」


「はは…これは…。そうか、あいつがここに来る様に言ったのはそういう事か…。そうか、リョウスケに息子が居たのか…」


アルフは抑えつつも、とても嬉しそうな顔をしていた。


「私にとってあいつとの出会いは今まで生きてきた中で一番大きな出来事だった。それまでの私は力を誇示し、破壊と暴力が全てのつまらぬ男だったが、彼との出会いは私の全てを変えたんだ」


「父さんが…?」


「私と彼が出会ったのは、ワガマタという町でね…。丁度、私はグループを率いて町の襲撃を企てていた。今も当時もワガマタは非常に活気あふれる町で、経済も豊かであったのもあって、資金調達の為にも犠牲になってもらう必要があった」


ワガマタ…確か、今もアルフグループの轟孤が潜伏…というか暮らしてるって言ってたけど、何か関係があるのか?


「とは言え、極力こちらとしても正体がバレる訳にもいかないので、決行は深夜となり、我々は町の中にある隠れ家に潜伏しながら機会を伺っていた」


町の隠れ家…もしかして、ガラさんが今住んでいる建物の事か…?

確かにあそこなら誰にもバレないかもしれない。


「すると、バレないハズの隠れ家の通路の方から、何やら騒がしい声が聞こえてね。最初はうちのメンバーが喧嘩でも始めたのかと思い、咎めようと扉を開けてみたら、どういう訳か6人の泥酔した男達が楽しそうな声を上げながら騒いでいたんだよ」


「それって…もしかして…」


「そう、それが君の父親、リョウスケ、そしてセグとタグの兄弟、マルセ、ガイダン、ジョスだ。タグは今ミタの町の町長、そしてセグは今もワガマタに住んでいると聞いている」


「と、父ちゃんがアルフの知りあいだったのか!? そんな話1度も…」


「はは、それはそうだろう。自分が轟孤のグループリーダーと知りあいだったなんて言う必要がないし、言い辛いだろう? しかし…君も彼らのうちの誰かの子供という事か…」


まさか父さんとミタの町長さん達が知りあいだったなんて…。

だとしたら、アルフをここに来る様に仕向けたのは、おそらくミタの町長さんだろうな。

あの時は、情報屋とか言ってたけど、多分轟孤の内部にも詳しかったのはそういう事だったのだろう。


「レン君のお父さんってお酒たくさん飲む人だったんだね。なんか意外…」


「あー、俺が物心つく頃には、たまに晩酌する程度だったんだけど、若い頃はしこたま飲んでたらしくてさ。まぁそういう所はじいちゃん譲りなんだろうけど…」


「我々は呆気に取られてしまってね、彼らに言われるがままに普段飲みもしないお酒をしこたま飲まされたものだ。勿論、その場で彼らを始末することも出来たが、急に6人の男がが行方知れずとなればきっと騒ぎになるだろうし、私達は極力彼らを刺激しないように帰ってもらうのに努めたよ」


「え、なんでそんなに弱腰なんだ? いくらでも脅して口封じさせて帰す事位…」


「それが出来たら苦労はしてないさ。我々のグループは元々頭脳戦や入念な計画を立てて目的を遂行するタイプだったから、直接的な戦力はあまり高いとは言えなかった」


「でもたった6人相手に…」


「多勢に無勢なんて言葉がどこかに吹き飛ぶくらいに彼らは強かったよ。いや、直接やり合っては無いが、一目見れば分かるよ。絶対に敵に回してはいけない、下手をすれば我々のボスの喉元にも届きうる。なんとしてもそれだけは避けたかったんだ」


俄には信じられない話だ…。

俺が知っている父さんはあまり体が強くないけど、家族想いの優しい父親だ。

轟孤を脅かす程の脅威を持っていたなんて…。


「ただ、一緒に飲んでいる内に彼等と仲良くなってしまってね。ホントに色んな事を話したよ」


アルフは当時を懐かしむ様に遠くを見つめていた。


「話を聞いていると、タグとセグ兄弟は元々ミタの町に住んでいたらしく、その町にリョウスケが訪れ、そこで知り合ったらしい。それからロゴンチャに乗ってワガマタに遊びに来たと言っていたよ。セグはそのままワガマタに移したらしいけどね」


「あぁ、確かにあたしの父ちゃんは結婚する前はミタの町に住んでたって言ってた。けど、遊びに来た町にそのまま移り住むって…父ちゃんも何考えてるんだか」


「あの兄弟はホントに面白いやつらだよ。一緒に居るだけで楽しかった。残りの3人は元々ワガマタに住んで居たたらしく、町の事を色々と教えてくれたよ。これから襲撃しようって連中にね。今思い出しても中々シュールだったよ」


「それからどうなったんですか?」


「それからというもの、毎日毎日酒を持って、我々の隠れ家に勝手に訪れては宴会を開いてね。おかげで町を襲撃するタイミングを完全に見失ってしまったよ。でも、不思議とこの状況を楽しんでいる自分達が居てね。いつしか彼らと語り合うのが楽しくて仕方が無かった」


成程、そこから交流が生まれたって訳か。

っつーか、父さん達もよく悪党達のアジトに毎日毎日入り浸れるな!


「そんなある日、リョウスケは綺麗なお嬢さんを連れて来たんだ。名はレミュー、彼は彼女を自分の恋人だと言って私に紹介したんだ」


…いや、悪党達に何自分の彼女紹介してんだよ!



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