No.67 アルフ
アルフって確か、轟孤のグループリーダーじゃあ…。
男は黒いコート、黒のシルクハット、そして黒い長髪という、これでもかっていう全身黒づくめの出で立ちで、年は30代半ばといった所だろうか。
「君は…以前…会った事があるな…」
「なんでお前がここに…!」
「とある男に頼まれてな…」
「一体誰に…?」
「それは言えない…そういう約束だからだ」
「じゃあ何しにここへ…」
「今言ったハズだ、俺は頼まれてここに来た。ただそれだけだ」
ユウさんは、確か一度会ったと言っていたけど、俺とスーナは面識がないハズだ。
何の目的で俺達に会いに来たんだ…?
「…」
「…」
お互い沈黙がのグループリーダーじゃあ…。
「君は…以前…会った事があるな…」
「なんでお前がここに…!」
「とある男に頼まれてな…」
「一体誰に…?」
「それは言えない…そういう約束だからだ」
「じゃあ何しにここへ…」
「今言ったハズだ、俺は頼まれてここに来た。ただそれだけだ」
ユウさんは、確か一度会ったと言っていたけど、俺とスーナは面識がないハズだ。
何の目的で俺達に会いに来たんだ…?
「…」
「…」
お互い長い沈黙が流れた。
「…」
「…」
…え、なんかおかしくない?
この人、用があってここに来たんだよね?
なんでこの人、シリアス面して何も喋らないの?
「あの…さっきからなんで何も喋らないんですか…?」
するとアルフと思しき人物は何故か困った顔を見せた。
「いや…その…ある男に、ここに来る様に頼まれたが…正直特に喋る事がないので、困っている。私は君達と一体何を話せばいいんだ?」
「いや、んな事知るかよ! こっちが聞きたい位だわ! 多少は何か聞かされてるんじゃないの?」
「特には何も…。とりあえずここに来いとしか言われていない。理由も分からない」
「分からないじゃないよ! そこは理由聞いとこうよ! じゃああんた理由も分からずにここに来たのかい!」
「まぁ…そういう事になる」
なんだこの人は。
想像していた人物像とは随分違う…。
ある意味冷静沈着ではあるけど…。
「君達こそ何か知っているんじゃないのか?」
「え…っと、実は俺達、ご…」
ついうっかりこれまでの事と経緯を話そうとしてたが、あくまで相手は俺達が追っている悪党集団のグループリーダー、軽率に発言するのはあまりに危険だ。
「ふふ…警戒するのは無理もないか…。だが、安心しなさい、私はもう轟狐ではない」
「轟狐じゃない…? 一体どういう…」
「今言ったハズだ、私はもう轟狐ではないと。一切関わりが無い訳ではないが、直接指示を出したり等はもうしていない。全ての権限は幹部3人に引き継いでいる」
「じゃあ…今は何を」
「ふぅむ…一言では全てを言い難いが…貧しい人達の支援や世界の環境を守る為の旅を続けている…といった所だね」
「へぇ…なんか…益々轟狐のグループリーダーしてたとは思えない…」
「確かに…あそこでは異端だったかもしれないね…。轟狐の基本方針からも真っ向から無視していたし。でもあそこに属さないとできなかった事も沢山あった。私の目的を果たすには必要な組織だった」
「目的…?」
「ふふ、もう轟狐では無いし、君達に話しても問題無いかな。恐らく私がここへ呼ばれたのもそれが理由だろうしね」
元…とは言え、かつて轟狐のリーダーだった男が、こんなに簡単にペラペラと喋るものなのか…?
「噂が噂を呼んで、私が冷静沈着な無口の男だと思われているみたいだが、それはあくまで轟狐のリーダーとしてだ。喋らない訳じゃない」
「だったら誰に頼まれたのか位言っても…」
「そこについては、本人に固く口留めされているのでね。言う訳にはいかない」
一体誰だ、俺達にアルフを合わせたがっている奴っていうのは…。
少なくとも俺とスーナの事を知っているって事だよな…。
「分かった、誰から頼まれたのかについてはもういいや。その代わり、さっき言ってた目的っていうのを教えて欲しい」
「あぁ…さっきの奴だね」
アルフは遠くを見つめながら語り始めた。
「私は…その昔は他の連中と同じ様に悪事の限りを尽くしていた。それが別に悪いとも思わなかった…。そんなある日、俺は一人の男に出会ったんだ」
これは…ガラさんが言っていたこの人を変えた人物ってやつか…。
「その男の名は、リノイエリョウスケ。私にとって唯一の親友と呼べる男だ」