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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
3章 スーナの異世界生活
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No.36 新月、彼らを誘わん

あれから、じいちゃんは毎日の様に神社に通っている。

じいちゃんが帰宅後は、一応俺とスーナで話を聞くようにしていた。

相変わらず共鳴反応は続いているようで、警戒が必要らしい。


スーナは明るく振る舞ってはいるが、内心はきっと不安で仕方ないだろう。

俺に出来ることは、スーナの側に居てやる事位だった。

そして俺自身、あちらで世話になった村長さんも含め、イクタ村の事が気が気じゃ無かったが、結局は新月の日までは何もできない現状を、もどかしく思いつつも受け入れなければならなかった。


それを見透かされてか、じいちゃんからは考えすぎんなとの言葉を貰ったが、考えるなという方が無理だ。

んなもん、どうしたって考えてしまうし意識もしてしまう。

俺はそんな日々を過ごしていった。


そしてついに新月の日を迎えた。

この日もじいちゃんは、朝から神社に行っていた。

その後で、スーナも神社に行くつもりらしい。


「じゃあ俺は行くけど、スーナも無理するなよ。危なくなったら、すぐ神社から離れろよ」


「うん、分かった。レン君も学校頑張ってね!」


俺はスーナに笑顔で送り出された。

ホントだったら、学校なんて休みたかったが、ばあちゃんはそういうのにすごく厳しい人なので、しぶしぶ学校に行く他無かった。


「どしたの、蓮斗難しい顔して」


珍しく俺はその日、駿と一緒に帰っていた。

普段は帰り道が違うのだが、今日はバイトがあるとかで方向が同じだった。


「別に難しい顔なんか…」


「してたよ! 眉間に皺寄っちゃってさ」


「頭空っぽのお前とは違って、色々あるんだよ」


「なんで俺をディスる!」


「ディスってなんかない、事実だ」


「俺、心配して言ったのに、この言われ様か」


駿が喋り終わるかどうかの時、突然神社の方から爆発音が聞こえた。


「ドォン!!!」


爆風は俺達がいる場所まで到達した。


「何々、この爆発音は!?」


駿は突然の事に完全にビビり倒していた。


「この方向は…!」


嫌な予感がした俺は、神社を目指して全速力で駆けて行った。


「蓮斗!? ちょっと待って―!」


駿の事など目もくれず、俺は必死に神社を目指した。

そして、神社に着くと、祠が燃え盛っていた。

そして、祠の前にはじいちゃんとスーナが立っていた。


「じいちゃん、スーナ!! これは…!」


「蓮人、こりゃ大変な事になっちまったみてぇだ」


「いや、見りゃ分かるわ! 何があったのかって聞いてんだ!」


「例の共鳴現象だよ。同じ事がイクタ村の神社でも起こってるってこった」


「てことは…!」


「どうやらこりゃあっちの世界へ行かなきゃなんねぇみてぇだな」


「俺も行くよ!」


「はっ、勝手にしやがれ。自分の身は自分で守れよ」


「分かってるよ! じいちゃんこそ腰やるんじゃねーぞ」


「待って、私も行く!」


「スーナ? 何言ってんだ、スーナにもしもの事があったら…」


「私も…イクタ村を守りたい! 村長さんと…村の人達を守りたい!」


「スーナ…」


スーナの強い意志を秘めた瞳を見たら、何も言えなくなってしまった。


「蓮人、スーナちゃんの事、しっかりと守れよ」


「んな事、言われなくてもわかってるよ!」


「じゃあそろそろ入り口が開くから、心の準備しとけ。蓮人はスーナちゃんの手を掴んどけ」


じいちゃんに言われるまでもなく、スーナの手を握っていた。


「絶対手ぇ離さすなよ」


「うん、分かってる!」


すると次第に意識が遠くなり出した。

なんだか、後ろの方で叫び声が聞こえた気がする。

そして、俺の…体に…触れてる…。

…誰…だ…?



……

俺は周囲から感じる熱で眼を覚ました。

隣にはスーナが俺に手を繋がれたまま、横たわっていた。


「おい、スーナ、無事か?」


俺は中々起きないスーナの体を軽く揺さぶった。


「うーん…あれ、レン君…ここは…?」


「何言ってんだ、俺達イクタ村に…」


そこまで言いかけた俺だったが、周りを見渡した瞬間、言葉を失った。

神社を含めて、村全体が燃え盛る炎に包まれていた。


「んだよコレ…どういう状況だ!」


「そんな…村長さん! 村のみんな!」


意識がはっきりし出したスーナは途端にパニックになってしまった。


「落ち着けスーナ、まずは状況確認…ってここも危ないな、安全な所に移動しよう! っつーかじいちゃん、どこ行ったんだんだよ!」


その場に居ないじいちゃんの事を気にしつつ、俺はスーナを連れて火の手の回っていない場所を探した。


「ダメだ…どこもかしこも火の手が回ってんな…」


辺りを見渡したが、安全そうな所はなさそうだ。相変わらずじいちゃんも見当たらないし…。

すると当然、近くから誰かの悲鳴が聞こえた。


「なんか今、悲鳴が聞こえたか!?」


「う、うん、私にも聞こえた!」


悲鳴が聞こえた方へ走っていくと、村の人が謎の男に襲われていた。

謎の男はこん棒の様なものを持っており、村の人はそれでやられた様だ。


「あれは…魚屋のおじさん…!」


俺がこの村にいた時、買い物でよく世話になっていた魚屋のおじさんだった。


「ふざけやがって…なんの為にこんな…」


周りには、仲間らしき者がそれぞれ粗暴を働いていた。


「や、やめてくれ! この村を襲うのは…やっとみんな笑顔を取り戻してこれたんだ…! だから…!」


「それは遺言か? 俺らがそれを聞いて、はいそうですかと引き返すとでも思ってるんなら、大したお花畑野郎だ。悪いが無駄な時間は嫌いでね。ほら、とっとと死んでもらうぜ」


男は持っていたこん棒を高く振りかざし、おじさんを目掛けて思い切り振り下ろそうとした。

俺は気が付くと、全速力で男の元へ向かい、素手でこん棒を受け止めていた。


「な、なんだてめぇは…!」


「レン君!!」


俺は敵のこん棒をはたき落とすと、胸倉をつかみ、仲間たちのいる方目掛けて思い切り投げ飛ばした。


「だぁぁぁぁぁぁ!!」


投げ飛ばした敵は、仲間達を巻き込みながら民家へ突っ込んだ。

頭に血が上って、人んちまで壊してしまった。


「なんだあいつは…ゴンバの巨体を軽々投げ飛ばしやがった!!」


「ここは一旦、引くぞ!」


完全にビビり出した子悪党共は、とんずらこいて逃げ出した。


「深追いは…やめとこう。それよりも村のみんなを助ける方が大事か」


するとスーナが慌てて、駆け寄って来た。


「レン君! ケガはない!? どこも痛くない!?」


「大丈夫だよ。どこもケガする要素無かっただろ?」


「うん…レン君、ものすごい腕力だね。どうやってそんな力…」


「どこぞの爺さんに、ガキの頃から鍛えられてきたからな。おかげでこの有様だよ」


とは言え、さっき敵を投げ飛ばした時は、正直自分でも驚いた。

まさかあんなに遠くまで吹っ飛んでいくとは思わなかったからだ。

いつの間に俺はこんなに強くなったのだろう。


「とにかく、まずはじいちゃんと合流しないと…!」


「おう、呼んだか?」


振り返ると、じいちゃんが立っていた。手には何やら竹刀の様なものを携えていた。


「じいちゃんどこ行ってたんだよ! つーか、手に持ってる竹刀は?」


「これか? 俺がむかーしここに来た時に竹刀を村の神社に隠しといたんだがよ、案外残ってるもんだな」


「なんだそりゃ…」


「それと、なんだか知んねぇけど、お前ぇの友達まで連れてきちまったみてぇだぞ?」


「友達…?」


すると、じいちゃんの後ろから一人の男がぬぅっと姿を現した。


「れ、蓮人ぉ~。ここどこ~?」


「し、し、し、駿んんんんんんんんん!! 何でえぇぇぇ!!?」


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