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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
8章 BUDDY
298/300

No.298 地下①

駿が放った爆風によって敵の建物は跡形も無く消し飛んでいた。

そして建物の中に先に突っ込んでいったであろうシンラさんの姿も見えなかった。


「駿…シンラさんも建物の中にいなかったっけ?」


茜が駿に指摘したが、駿はどこか遠くを見つめていた。


「今日は……天気が良いなぁ。こんな日はのんびりピクニックとか良いよな」


「無理がある! その現実逃避は無理があるって!」


「現実って…俺達にとってのリアルは日本があるあっちの世界だろ? こっちの世界はファンタジーさ」


「ダメだ、駿が壊れちまった! まだ敵のアジトにも潜入してないのに!」


「いやぁ敵のアジト無くなっちゃったけどね。どうする? これで任務完了?」


「なぁに勝手に任務切り上げて帰ろうとしてやがんだぁ…!」


俺達が声のする方を見ると、瓦礫の中から誰かがむくりと立ち上がった。よく見るとシンラさんだった。

一見すると体中建物の欠片まみれにはなっていたが、怪我らしい怪我をしている様子は無かった。

あの爆風からどうやって無事でいられたのだろうか。

やはり15メンバーに名を連ねるだけはあるという事か。


「あ、シンラさん生きてたんですね!」


「勝手に殺すんじゃねぇよ! てゆうかよぉ、誰だ建物ごと吹き飛ばしやがったのはよぉ!」


「それ駿がやりました」


「あ、すぐ言う!!」


茜は速攻で駿が犯人である事をばらした。

まぁ本当の事であるので、特に黙っている必要は無いが。


「てめぇかぁ…よくもやりやがったなぁ」


シンラさんは駿の頭をぐしゃっと掴んだ。


「ひぃっ!!」


頭を握り潰されるとでも思ったのであろう。

駿はその瞬間、目を瞑ってガタガタと震えていた。


「シュン…てめぇやるじゃねぇかぁ」


「へっ……??」


駿はキョトンとした表情でシンラさんの顔を見ていた。


「リリィさんに作って貰った義手のパワーを借りたとはいえ……中々の威力じゃねぇか。誰にでも出来る事じゃねぇぜ…!?」


「…えっと…怒ってないんですか?」


「あぁ…?? 今迄のどこにてめぇにキレる要素があった?」


「あ…いや、だってシンラ先輩が建物の中にいるのに、ぶっ飛ばしちゃったから…」


「はぁ?? 寧ろてめぇの今の発言にムカついたぜぇ。俺があれごときでダメージ負う訳ねぇだろうが! POST本部の15メンバー舐めんじゃねぇよぉ」


シンラさんは体についていた土埃をすべて叩き落とすと、駿に対してそばを離れさせる様な仕草をしてみた。

駿は促されるがままシンラさんから離れ、俺と茜がいる所までやって来た。

シンラさんは魔石を取り出すと集中し出した。

すると、先程駿が放った爆風とは比べ物にならない程の巨大な爆風を放って見せた。

その爆風は建物の瓦礫はおろか、まるで隕石でできたクレーターの様な窪みを出現させた。

あまりの威力に俺達はただただ唖然として見ているだけだった。


「風は久々だったし、若干威力が錆び付いてんなぁ」


シンラさんはあまり納得していない様子で腕を組んでいた。

元々専門じゃない魔石を久しぶりに使用してこの威力だったという事なのだろうか。


「じ…地面って風であそこまで抉れるもんなの…?」


駿はシンラさんの放った爆風の威力に愕然としていた。

シンラさんは驚きっぱなしの俺達の所にやってきて、ニヤニヤしながら言った。


「本気で俺の事を心配するんならぁ……最低でもこん位の威力は欲しい所だなぁ」


俺達が15メンバーになるのはまだまだ当分先の話になりそうである。


「それよりもこれを見てみろぉ」


シンラさんが指差す先には、地下へ続く階段の様なものがあった。

恐らく建物自体はブラフで、本命のアジトは地下という事なのだろう。


「まぁ中に入ってた時点で建物がスカスカだったから察しって感じだったがなぁ。シュンのお陰で探す手間が省けたって訳だぁ」


そう言いながらシンラさんは地下に続く階段を下って行った。

戸惑いの様子だった俺達を見て、シンラさんはまたニヤニヤと笑った。


「おいてめぇら。こっからが本番だぜぇ。気ぃ引き締めていくぞぉ」

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