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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
8章 BUDDY
289/300

No.289 RUSH

「盗賊団…ですか?」


「あぁ。最近頭角を現し始めた集団でね。主に北の地で被害報告が上がっている。殺人は滅多に行わないらしいが、お金を奪われて飢え死にしてしまっているとの報告も聞いてね。結果的には殺人と変わり無いと判断した」


「それって人が死んで初めて動き出したって事ですか?」


茜が若干眉を潜めてレグマさんに質問した。


「すまない、説明を省いてしまった。北部支部のPOSTではとっくに解決に向けて動き出していたよ。別に手をこまねいて見ていた訳じゃない。しかし、盗賊団の成長スピードが速く、少なくとも北部支部のメンバーには手が負えないと判断され、こちらに対応依頼が回ってきたという訳さ」


「いやぁ…そんな支部の連中が手に負えない問題を俺達がいきなり任されるの?」


駿は早くも怖気づいた様子だった。

確かに初任務の俺達が担当する任務としては、少々荷が重い様な気もした。


「そんなに謙遜しなくても大丈夫だよ。君達は十分に強い。グリームやメグからも期待されているよ」


「あ…いや、それ程でも…」


駿は物凄いスピードでご機嫌な表情を浮かべていた。

ちょろすぎるにも程がある。


「それに初任務を君達だけで行かせたりはしないよ。前にも説明したと思うが、暫くは先輩に同行する形で任務を遂行してもらう」


レグマさんがそう言い終わったタイミングで、誰かがドアをノックする音が聞こえた。


「丁度良いタイミングで来てくれたな。入っていいよ」


そういってドアが開くと、そこに立っていたのは駿の研修担当だったシンラさんだった。


「っつーこったぁ、てめぇら宜しく頼むぜぇ」


シンラさんはやや人相の悪い笑顔を浮かべながら、俺達の肩を叩いた。


「いやぁーまさかまたシンラ先輩と一緒になるなんて嬉しいっす!」


「お、嬉しい事言ってくれんじゃあねぇか。今回もたっぷりしごいてやっから覚悟してろよぉ」


「お、お手柔らかにお願いしゃーす……」


「ちなみにその盗賊団っていうのは豪狐とは関係無いんですか?」


茜がレグマに質問した内容は俺も一番気になっていた。

そもそも俺達がこの組織に入る事にした目的は豪狐に近付く為だ。

正直、豪狐が関係ない任務をしている時間は無い。


「実は今回の盗賊団の急成長、裏で豪狐が手を引いている可能性が出てきた」


「豪狐が?」


「あぁ、どうやら盗賊団の勢力拡大を手助けする代わりに活動資金の収集を指示しているらしくてね。このまま野放しにしていれば、地域住民の生活が脅かされるだけではなく、豪狐の拡大化にも繋がりかねない。あまり悠長にはしていられないという訳だ」


なるほど、その話が本当であれば俺達には無関係な話じゃない。寧ろうまくいけば豪狐の情報が得られるかもしれないという訳か。


「そういう事なら一石二鳥かもね」


茜も駿もレグマさんの意図を汲み取ったらしく、俺に目配せしながら頷いた。


「おぉーおぉー、てめぇら生意気にもやる気満々ってぇ訳か! 良いねぇ!!」


シンラさんは凶悪な表情を浮かべながら笑った。

この人ほんとにPOSTの人間か?


その後、レグマさん達から詳細な任務内容の説明を受けた。

とは言っても敵のアジトの場所とメンバー構成位で、その後は自由に任せるとの事だった。

ただ一つ、盗賊団は極力殺さず、捕縛しろとの事だった。

以前、某メンバーが敵を皆殺しにした事が人命面の観点で問題になったそうだ。

あくまでPOSTは犯罪解決組織であって、殺人集団では無いという事をレグマさんから強調された。


「っつー訳だぁ。てめぇらくれぐれも殺したりすんじゃねぇぞ」


「いやぁー、寧ろシンラ先輩が誰よりも殺しそうな雰囲気醸し出してますけど…」


「あぁ!!? シュンなんか言ったかぁ!?」


「あ、いえ、何でも無いです……」


駿はビビりの癖に、普通に相手を怒らせると分かりそうな発言をしまくるから、ある意味すごいと思った。

なんにせよ、こうして俺達3人の初任務が始まろうとしていた。



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