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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
8章 BUDDY
287/300

No.287 お久しぶりです

目を覚ますと、イクタ村の郊外に居た。

この光景もだいぶ見慣れてきた。

日本の気候に比べると、こちらの世界はだいぶ過ごしやすかった。

日本の春とか秋くらいの気温だろうか。

辺りを見渡すと、俺以外の3人はまだ目を覚まして居なかった。

すると、スーナが「うーん」と言いながら起き上がった。


「あれ…レン君おはよう……ここは…?」


「おはよう。ここはイクタ村。神社から来たんだよ」


どうやらスーナは若干寝ぼけているらしくかった。

瞼を擦りながら欠伸をしていた。

やがて駿と茜も目を覚ましたので、俺達はイクタ村の中にある村長宅に向かって歩き出した。


「あ、レント兄ちゃんだ!」


「お、ラドか。久しぶり。元気だった?」


「うん!! いつも通りだよ!!」


最近は村の子供達に声を掛けられる様になった。

何度もイクタ村を訪問する内に、村の子供達ともだいぶ

顔見知りになっていた。


「スーナ姉ちゃんとアカネーちゃんとシュンもこんにちは」


「おい待て、なんで俺だけ呼び捨てなんだよ!」


「えー、なんかシュンは兄ちゃんって感じじゃないよなぁ」


「うん、シュンはシュンだよ」


「どういう事だよ! これでも俺、3人兄弟の長男なんだからな!!」


「いやいや、駿、そうやって自分から言っちゃう所が兄ちゃんっぽくないんだよ」


「茜、そういう事言うんじゃないよ! 俺がスゲェ必死な奴みたいじゃん」


「どこからどう見ても必死だから。じゃあみんな、駿の事は『必死な駿兄ちゃん』って読んであげてね」


「おい待て、余計な修飾子つけてんじゃねぇ! みんな、『必死な』は要らないから! 『シュン兄ちゃん』でいいからな!」


「分かった、必死なシュン!」


「違う違う、取るのそっちじゃないから!! おい茜のせいで憐れみが増してんじゃねぇか!!」


茜はゲラゲラと笑い転げていた。

駿は盛大に恥をかいて顔を真っ赤にしており、流石にかわいそうな気もしたが、先を急ぐのでまずはロジさんの家に向かって歩いていった。

家の前に着くと、スーナがドアをノックした。


「村長さん! ただいま!」


すると中からいつもの様にロジさんが笑顔で出迎えてくれた。


「やぁみんな、待ってたよ。そろそろ来る頃じゃないかと思っていたところだよ」


そう言って俺達を家の中に迎え入れた。

中に入るとロジさん以外には誰も居なかった。


「あれ、皆さんはどっかに行かれたんですか?」


「あぁ、隣町まで買い出しにね。今年はイクタ村の作物の収穫がいまいちでね」


「そうなんですか…なんか天候不良とかが続いたんですか?」


「今年は季節外れの低温が続いてね。本来であればこの時期は汗が止まらなくなる程に暑いはずなんだが、今年は気温が全く上がらないんだ。まぁ過ごしやすいと言われれば過ごしやすいが、作物が育たないのはもっと問題だからね」


なるほど、俺達の世界に比べて涼しいのはそういう環境なのだと思っていたが、それがそもそも異例だったというわけか。


「でもこの村に閉じこもっている者達にとってみれば、村の外に出る良い口実かもしれないけどね」


ロジさんはあくまで前向きに笑ってみせた。


「みんなは今日から初任務だね。先程レグマとも少し会話してたけど、君達が来るのを楽しみにしてたよ」


「レグマさんが…?」


「あぁ、とても君達の事を期待しているみたいだったよ。先に初任務を終えたツバサ君の評価が高かったのもあるかもしれないけどね」


「そっか、アイツ先にもうPOSTでの任務についてやがんのか! ちっくしょー絶対先輩面される!!」


「別にあいつだって先輩面なんかしない……いや、しそうだね」


「だろ!? 絶対俺達の事、馬鹿にしてきやがるに決まってるよ」


「ふ、二人共別にツバサさんはそんな事言わないと思うけど…」


スーナは慌てて源河のフォローを入れていた。

どうやら駿には、源河に対して少なからずコンプレックスの様なものがあるらしかった。


「さて…積もる話はあるが、さっさとPOSTにいって上げなさい。レグルが首を長くして待ってるよ」


そう言って俺達に移紙を渡してくれた。


「スーナもPOSTでの初任務、しっかり勤め上げてくるんだぞ」


「うん、頑張るね村長さん♪」


ロジさんは微笑みながらスーナの頭を撫でた。


「じゃあロジさん、行ってきます」


そう言って俺達は移紙を手に取って集中した。

するとあっという間にPOSTの前に到着していた。

未だにこの感覚に慣れない。

兎にも角にも、今日からの初任務、不安もあるけどなんとか頑張っていくか!

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