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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
8章 BUDDY
253/300

No.253 Side 源河翼 〜POST VS ラグ①〜

「先程の銃撃の様にいつどこから攻撃が襲ってくるか分からない。最大限警戒しておくように!」


警戒と一口に言っても、実際何をすればいいかは分からなかった。

常に魔石の力で障壁を張っている訳にもいかない。

結局は反射神経で攻撃を躱していくしかなかった。


「というか変じゃないですか、この町。こんだけ白昼堂々と戦闘が始まっているのに、町民はだれも動揺していないし、気になって様子を見に行こうとすらしない」


「そこは確かに気がかりな所だ。慣れてしまう程、常日頃から戦闘が日常化しているということか…。しかし、任務を受ける際にそのような事は聞かされていない。あくまで連続殺人事件が発生しているから調査をして欲しいとの事だったが…」


アビさんは一瞬立ち止まると、その瞬間家から飛び出してきた男が斧を振りかぶって襲ってきた。


「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「御免っ!!」


降り下ろした斧をひらりと身を躱して避けると、鞘に入れたままの刀で男の顔面を強打した。

男はそのまま声も上げる事すらできずにその場で倒れた。


「ふむ…これは……早く町長殿を探し出さんとキリがないな」


「僕が上空に飛んで上から確認しましょうか?」


「いや駄目だ、敵はどんな武器をもっているか分からん。中には魔石を使って攻撃してくる輩もいるかもしれんし、空中というのは身動きが取れない。狙い撃ちにされたら終わりだ」


確かにアビさんの言う通りだ。

しかしかといってこのまま敵の襲撃を受け続けるのは、体力的にも精神的にも厳しい。


「まさかこの町を既に脱出したんでしょうか」


「その可能性は0では無い。ただ、先程のやつらは町長から指示を受けて行動したと言っていたし、この町を離れるのは考えにくい……いや、何らかの手段で通信できるとしたら離れた所から指示も可能か」


「だとしたら範囲が格段に広がりますね。せめてこの町にいるのかいないのかの取捨選択が出来れば…」


「私の事を探そうと必死の様ですね」


何処からともなく誰かが語り掛けて来た。

というより、直接頭の中に語り掛けてくる感じだ。


「この声の主…村長殿か!?」


「いかにも……あなた達、土足で随分とこの町を嗅ぎまわってくれましたね」


「何をぬかしている! そちらから助けてを求めて来たから、こうして私達POSTが調査に来たんだろうが!」


「はぁ……正直私としてはそんな覚え微塵も無かったんですがね。どこぞの馬鹿が勝手にPOSTにコンタクトを取って、依頼したのでしょう。全く余計な事をしてくれたもんだ…」


町長がこちらの問いかけに反応して、返答した。

こちらの声が聞こえているという事か?


「ツバサ殿…恐らく町長殿は我々の位置を確認出来る所に居る」


「え、それってどういう…」


「相手の脳に直接語り掛けたり声を拾ったりするのに使用される魔石があるのだが、恐らく奴はそれを使って我々に話かけてきている。この魔石は相手の姿を自分の目で見ながらでないと効果が無いんだ」


成程、だがら町長は僕達の見える位置、つまりこの町の中にいるという事か。


「流石はPOST本部に所属するお方…魔石に関しても博識でいらっしゃる」


「どういう経緯で貴様がその様な魔石を所持しているのかは知らんが…そういう貴様自身は魔石についてはあまり詳しい訳では無い様だな」


「…なんだと?」


そういうとアビさんは刀を地面に突き刺し、目を閉じて集中した。


「はぁっ!!」


そう叫ぶと5~6秒ほど固まった。

そして目を開き、刀を鞘に押されると僕達が宿泊していたホテルの方を指さした。


「ツバサ殿、あそこに町長殿が潜んでいる!!」


「…確かにあそこならこちらの位置を把握出来ますけど…どうやって分かったんですか?」


「それは後で話す! 今は奴に逃げられる前にホテルに向かうぞ!」


「はい」


「っち…こうもたやすくこちらの位置を突き止めるとは……先日のPOSTが大した事無かったので、少々侮った」


僕達はホテルを目指してまっすぐ走っていった。

すると5, 6人程の男女がこちらに向かってきた。


「ここから先は行かせねぇ!!!」


各々武器を持って襲い掛かって来た。

アビさんは刀を抜いて、構えを取った。


「カザサクラ一刀流……」


すると急に周囲に強風が巻き起こり、敵は身動きが取れなくなっていた。

その隙にアビさんは見事な刀裁きで相手をいなしてしまった。


「風刃の舞い」


アビさんが刀を鞘に戻すとほぼ同時に敵は血飛沫を上げながら、次々と倒れていった。


「雑魚に様は無い」


アビさんは敵に目もくれず、ホテルに向かって走って行った。

僕も後を追おうとすると、何者かに足を掴まれてしまった。

足元を見ると、今しがたアビさんに斬られた男だった。


「はぁ…はぁ…絶対にてめぇらを町長に会わせるわけにゃあ…」


言いかける前に僕は風の魔石で首を切った。

先程よりも更に勢いよく血飛沫をあげ、やがて動かなくなった。


「先を急いでるから、邪魔しないでくれるかな…?」


足に絡みついた腕を蹴りほどくと、アビさんに続いてホテルの中に入っていった。

ジメジメしますなー

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