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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
7章 POST
225/300

No.225 ルルパレス

「ルルパレス…なんか可愛い名前だな。建物の荘厳には似つかわしいというか…」


「その昔、POSTの創立者メンバーの一人、『ルル・フィガルダ』という女性の名前から取ったそうです。…と言っても、この建物が建てられたのは何百年も前なので、真相はどうか分かりませんが」


「へぇー…この建物、そんなに前に建てられたの? というかPOSTって結構歴史のある組織だったんだね」


「その昔、この世界に別々に存在していたいくつもの自警団の様な集団を一つに取りまとめたのが始まりだと言われています」


POSTにも歴史ありという事か。それにしても『ルル・フィガルダ』とは一体どんな人物だろう。建物の名前になる位だから、POSTにとっては相当な中心人物だったのだろうか。

やがて、俺達を乗せたジテンは建物の前で停まった。入り口の近くには同じ様なジテンが沢山停まっていた。普段POSTで働く人達は、基本的にジテンに乗って移動するのだろう。


「着きました。皆さん足元にお気をつけて降りてください」


俺達は順々にジテンから降りて行った。地理的にだいぶ北の方に位置するのだろう。かなり肌寒く感じたので、予め準備していた上着を羽織った。


「痛っ!! 足挫いた…!」


「君、今しがた足元気を付けろって言われたばかりでしょう……」


駿を見て、源河は呆れた様に吐き捨てた。


「これはこれは……近くで見ると迫力が凄まじいねぇ……なんかRPGとイタリアとかに出てくる聖堂みたいな感じもするねー」


茜は建物の景観に若干テンションが上がっていた。ゲーム好きの茜にとっては堪らないデザインなのだろう。


「みなさん、ではこちらの方に」


俺達はテトラに案内されて、正面の方に移動した。そこには何十メートルはあろうかという巨大な扉が俺達を出迎えた。というかこんなバカでかい扉どうやってあけるのだろうか。

テトラが扉に手をかざして目を瞑ると、なんと巨大な扉がゆっくりと開いた。


「いやー…なにその現象」


「POST本部のメンバーが扉に手をかざすと開く仕組みになっています。逆にPOST本部メンバー以外の人が手をかざしても反応はありません」


「要はビルとかで入館カードをかざすとドアが開く的なアレか」


「なんか急にすごく感じなくなるから止めろ。いや、入館カードのシステムもすごいんだけどさ」


そんなやり取りを駿としながら扉を潜り抜けて中に入ると、中には更に様々な建物が立ちならんでおり、夜にも関わらず昼間の様な明るさで辺りを照らしていた。


「うわぁ……なんか建物の中にちょっとした街がある感じだね…」


茜は驚いた様子で辺りを見渡していた。実際、周囲ではPOST関係者らしき人々が行きかっており、何も言われなければ街だと錯覚してしまいかねない。


「あ、テトラ君ー!! 久しぶりだねー♪」


突然女の子の声が聞こえてきたので、後ろを振り返るとそこにはショートカットの女の子がこっちに手を振りながら立っていた。年は…俺達と同じ位だろうか。


「あ、る、ルリリさん…!! お、お久しぶりです…!」


あのいつも冷静沈着なテトラが突然しどろもどろな返答をしてみせた。もしかしてテトラはこの女の子が怖いのだろうか。


「あれ、そこに居る人達って……あぁそうか、入団予定の人達を迎えに行っていたんだね! そっかそっか、お疲れ様ー♪」


「あ、そ、その、ありがとう…ございます…!」


テトラは顔を赤らめながら返答した。あれ、この反応はもしかしてアレか? アレなのか?


「ねぇテトラ君、この子は…?」


「あー、ごめんなさい、私とテトラ君で話し込んじゃって! 私、POST本部で働いてるルリリって言います! えっと皆さんは入団という事でここに連れて来られたんですよね?」


「えっとそうです、テトラにここまで送ってもらいました」


「じゃあこれからは同僚って事になりますね。これから宜しくお願いします! 」


ショートカットのとても快活そうな女の子で、初対面としてはとても好印象だった。

それに俺がいうのも変だが、とても可愛らしい子で、とても戦闘等をする様には見えなかった。何かサポートの仕事とかを行う人なのだろうか。


「そ、そういえば今日もロクさんは戻られなかったですね」


「あー…ロク兄さん、まだ調査を続けるからって現場に残ってるよ。もうかれこれ3ヶ月も戻ってないし、流石にレグマさんになんか言われちゃうかもー…」


ルリリさんはタハハといった感じで苦笑いを浮かべていた。ロク兄さんというのはルリリのお兄さんかなにかだろうか。兄妹でPOSTに所属するという事もあるんだな。


「あ、ごめんねこんな所で呼び止めちゃったりして! これからレグマさんにこの人達を紹介しに行くんだよね? 多分、総統室にいると思うから一緒に行こっか! 私もレグマさんに報告する所だったし」


「あ、は、はい、こちらこそ喜んで!」


こうしてルリリさんも同行して、その総統室とやらに向かう事となった。

道中、茜が俺に話掛けてきた。


「ねぇねぇ」


「ん?」


「テトラ君ってさぁ…あのルリリって子に絶対気があるよね?」


「あー…なんかそんな気がするな。反応がしどろもどろだったし、顔赤くなってたし……」


「だよねー♪ やっぱなんだかんだ言いながら、お年頃の12歳って訳だ。微笑ましいねぇ」


「あんま茶化してやるなって。つーか絶対本人に言うなよ。多分認めないだろうけど」


「分かってるって。会ったばかりの12歳相手にそんなデリカシーの無い事聞かないから」


そんな事を話していると、急に駿はテトラに話しかけようとしていた。


「あのよぉー、さっきのテトラの反応見て思ったんだけど、お前って絶対ルリリちゃんの…」


駿が最後まで言い終わる前に俺と茜で駿の頭を思い切り殴り飛ばした。


「えっと…レントさん達、急にどうされたんですか?」


「気にしないで―。馬鹿が余計な事を言おうとしたから殴って黙らせたのー」


「そ…そうですか」


「あははは、みんな面白いね♪ これから一緒に仕事出来るの楽しみだよ♪ あ、着いたよ総統室」


雑談をしながら歩いていると、いつの間にか総統室の前に着いていた。

建物正面の扉とはまた違った迫力というか、圧みたいなものが感じられた。


ルリリさんは一呼吸して息を整えると、ドアを軽くノックした。


「お疲れ様です! ルリリ・リガルディアとテトラ・イブ、ただいま戻りました。今回任務の結果報告とテトラ君が迎えにいった新たな入団者の紹介をしたいのですが、お時間宜しいでしょうか!?」


「いいよ、中に入りなさい」


扉の向こうから男性のダンディーな声が返って来た。


「では失礼致します!」


そういってルリリさんを戦闘に俺達は部屋の中に入って行った。

するとそこには見た目30後半位のガタイの良さそうな男性が座っていた。近くには男性の秘書らしき眼鏡をかけた女性が立っていた。


「やぁ、君達が今回入団希望者だね。ロジさんから話は既に聞いているよ。私がPOST本部の総統、レグマ・ダーガレッドだ。宜しく」

ルルパレス…レオパレスみたいですね。

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