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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
7章 POST
200/300

No.200 理性

「びっくりした……スーナかぁ。……俺の腕を掴んで何してんだい?」


「驚かしちゃった?。ごめんねーレン君」


「あ、いや、それはいいんだけど……なんで俺のベッドに忍び込んでるんだ?」


「えっとねー……久々にレン君と二人っきりになれると思ったから♪」


確かに前回あちらの世界にいた時は、旅や戦いでそれどころじゃ無かったし、イクタ村に戻った後は駿や茜も居たから、あまりスーナと二人きりになれるタイミングは無かったかもしれない。


「もしかして…寂しい思いさせちゃった?」


「ううん、そうじゃないけどぉ……甘えられる時は甘えたいなぁって……」


「あ、あぁ…そうか。キロとテンはスーナの部屋で寝てるのか?」


「二人はレン君のおばあちゃんと一緒に寝てるよー。絵本を読んでもらうってー。私まだ文字を読むのに慣れてないから……」


「あぁ、じゃあばあちゃん達と和室で寝てるのか」


そう言えば、最近テンが何か本みたいのを持っていたな。多分、ばあちゃんが買ってあげたんだろうけど、それがその絵本か。


「なので今日はレン君を独り占めしまーす♪」


そう言ってスーナは思いっきり左腕をギュッと抱きしめてた。若干痛い。そしてスーナの温かな吐息が耳元にかかって、こそばゆい感じがして落ち着かなかった。

今まで何度か俺のベッドにスーナが入って来る事はあったが、今日はなんだかいつにまして積極的な気がした…というか若干様子が変だ。いや、思い返してみると神社から言えに着いてた辺りから、なんとなくスーナがフワフワした雰囲気を醸し出していた様な気もする。


「あの、スーナ…なんか今日は随分とご機嫌だね……」


「んー? 私はいつもレン君と一緒に居れてご機嫌だよぉー?」


「あ、うん、それはありがとう…じゃなくて、なんかすごい酔っ払ったみたいな感じに…」


「ちがうよぉー私酔っ払ってなんかないよー」


確かにスーナから酒の匂いはせず、石鹸の良い匂いしかしなかった。

そもそもいくらじいちゃんでもスーナにお酒を進める様な馬鹿な事はするはずも無かった。

じゃあ一体何が原因でこんな状態になってしまったのか。


「レン君……とぉっても良い匂いがするぅー♪」


「良い匂いって…風呂入ってるし、スーナだっておんなじシャンプー使ってるから一緒だろ」


「ううん、それだけじゃくて……レン君の匂いがする」


「やめろやめろ、要は体臭じゃんか!」


「とっても…落ち着くし…優しい匂い……」


「匂いに優しいも何も……」


「それに……レン君…美味しそう…」


そう言うと、なんとスーナは俺に覆い被さり、首筋にカプリと軽く噛みついた。

そして力を入れたり、歯を離したりして俺の首を嚙み続けた。


「ちょ…スーナ、お前何してんだ!? 何…首……噛んで……あたたたた」


「レン君の首……美味しい♡」


俺の首にスーナの歯やら、やや乱れた吐息、唾液がダイレクトに伝わって来た。それ以外にもスーナの色々なあれやこれが俺の体に当たっており、頭がパニック状態だった。

というか、流石に俺の理性が吹き飛んでしまう。


「ちょっと……待って……俺まだ高校生だし……こういう事はもっと………って、ん?」


ふと目をやるとスーナは、俺の首に噛みついたまま寝息を立てていた。


「……え、朝までずっとこのまま…?」


俺の困惑は露知らず、スーナは気持ち良さそうに朝まで眠っており、俺はついに朝まで眠る事は出来なかった。

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