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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
3章 スーナの異世界生活
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No.16 ペンダント

起きて早々俺らはばあちゃんから説教を食らった。

ただ、スーナに対しては何故か「まだ早いわよ」という訳のわからない注意をしていた。

何が?


「あれ、そういえばじいちゃんはまだ寝てるの?」


「あの人、今日も二日酔いでまだ寝てるよ。昨日も夜中の2時に帰って来て…。全くしょうがないんだから」


あ、やっぱり…。じゃあ今日は話できそうにないな。


「蓮人、せっかくだから、スーナちゃん連れて外の案内してあげたら?気晴らしにもなるだろうし」


「あー…うん、まぁ俺も特にやることないしなぁ…。じゃあちょっと外行くか?」


「うん、行く!」


こうして俺らは外へ出かける事になった。とは言っても俺にとっちゃ、近場を回るだけになるんだけど。

スーナが身支度をするとかで、俺は部屋で待機していた。

とりあえず、今日は商店街の方に行ってから昨日行った公園寄って帰ってくりゃいいか…。


「レン君、お待たせ!」


「おう、じゃあ行こ…」


振り向くと、ニット帽に黒のセーター、チェック柄のスカートを履いた私服姿のスーナが立っていた。

洋服を着ているスーナが新鮮過ぎて、思わず見とれてしまった。


「スーナその服どうしたんだ…?」


「夏美ちゃんがお洋服貸してくれたんだ!私の服じゃ目立つだろうって」


「まぁ確かにあの服じゃ目立つだろうけど…」


「その…この服…似合ってるかな…?全然見た事ない服だったから、自分じゃ分からなくて…」


「いや…その…結構似合ってるんじゃないか…?うん…似合ってると思う…」


何故かしどろもどろに俺は答えてしまったが、それを聞いたスーナは笑顔で笑ってくれた。


「ふふふ、良かった!ありがとう♪」


「ありがとうってなんだ…。ほら、行くぞ」


「うん、行こう行こう!」


家を出た俺たちはとりあえず、商店街に向かった。


「なんだか着慣れない服だから…そわそわするよ」


「そうだな、俺もスーナの洋服姿に見慣れなくてそわそわするよ」


「私もレン君のその服、なんだか新鮮でかっこいいな~」


「そりゃどうも…。なんか正面から言われると照れる…」


「レン君レン君、昨日も聞こうと思ってたんだけど、あれなぁに?」


スーナの指さす先には、自動販売機があった。


「あー自販ね。あそこにお金を入れると飲み物が出てくる機械だよ」


「ジ…ハン?」


「ここにお金を入れてっと…スーナは何が飲みたい?」


「え…っと…じゃあこれ」


「コーラかよ!これ炭酸だけど大丈夫か?」


「タンサンって…?」


「まぁいいや…じゃあコーラっと」


俺はコーラを押すと、自販から出てきたコーラを取り出し、スーナに渡した。


「ホラっ、コーラ」


「これがこーら…?なんかシュワシュワしてるね」


「炭酸だからな。後、炭酸が噴出して服汚すと悪いから、俺が蓋開けるよっと…」


「わっ!なんかすごいぷしゅって言った!」


「まぁ炭酸だからな。ほれっ」


「不思議な飲み物…じゃあいただきます」


コーラを一口飲んだスーナはビックリした顔でこちらを見た。


「ナニコレ!?口の中でなんか、爆発した、口の中、泡ぶくぶくみたい、あと甘い!!」


スーナから怒涛のリアクションが溢れ出した。

正直、炭酸知らない時点でこうなる事は分かってたけど、ちょっとリアクション見たかったから、黙って飲ましてみた。期待通りのリアクションでした。


「す、スーナ…ふふ、大丈夫か…その…コーラ…ふふ」


「レン君!黙ってたなー!びっくりしたじゃない!」


「いや、スーナの反応が見たくなって…」


涙目になりながら、俺に抗議してきたスーナがとても可愛らしかった。

お詫びにアセロラドリンクを奢ってあげると、気に入ったのか、すぐに機嫌が直った。


「よし、着いたよ」


俺はスーナに、商店街に着いたことを教えた。

余程目に入るものが珍しいのか、キラキラした目をして周りを見回してる。


「すごい!イクタ村の商店通りとは比べられない位おっきいし、人がたくさんいるね!」


「ここはいつもこんな感じだよ。人が多いから学校のクラスメートに会う事もあるし」


「ガッコウ…くらすめーと??」


「あー…要は友達だよ」


「フーン、レン君に友達っていたんだね」


「何、俺友達いないように見えた?」


「んーなんとなく」


「なんとなくでそんな傷付くことゆーなよ」


スーナと一緒に居るところをクラスメートに見られると面倒だな…。まぁ大丈夫だとは思うけど。


「スーナ、どっか見てみたい店とかあるか?」


「うーんとねー…あ、あそこのお店入ってみても良いかな!?」


アクセサリーショップか…やっぱり女の子はそういうのが好きなのかな?


「ん、じゃあ入っか」


アクセサリーショップに入るとキラキラ光るアクセサリー的なアイテムが所狭しと並んでおり、

普段そういうものに縁がない俺には場違い感が半端なかった。


「レン君、これ見て!すごくかわいい♪あ、これも素敵!すごい楽しいね」


アクセサリーに夢中になる姿はこっちの世界の女子高生と殆ど変わりなかった。


「スーナはこういうアクセサリーとかが好きなのか?」


「うーん、別に特別好きってわけじゃないけど…でもこういう綺麗な装飾品とか見て、いいなーとか思うときはあるよ。作った服を町まで売りに行った時とか、たまにお店の中とか覗いたりするの」


スーナの意外な一面が知れた様な気がした。いや、意外は失礼か。


「そんなに高くない奴だったら、1個選んでいいよ」


「え、いいの?でもお金…」


「大丈夫、お小遣いならばあちゃんからたんまり預かって来てるから、遠慮すんな」


「レン君のおばあちゃんから?」


「『スーナちゃんに何か買ってあげなさい~』ってさ」


「そんないいのに…。なんか気を使わせちゃったみたいでごめんね」


「んな遠慮すんなって。で、スーナはなんか気に入った奴あった?」


「うーんとね、これとこれなんだけど…」


スーナは、青い宝石の様なものがあしらわれたペンダントと月の形をしたイヤリングを見ていた。


「どっちにしよーか迷ってて…」


成程、どっちもスーナが好きそうなやつだ。…なんて分かったような気になってみる。


「よし、両方買うか」


「え、でもさっき1つって…それに2つも買ってもらうなんて申し訳ないよ…」


「だったら、1個はばあちゃんから、もう1個は俺からのプレゼントって事でどうだ?」


「レン君からの…?」


「うん。いや、イクタ村に居た時、衣食住…まぁ衣はともかく、お世話になりっぱなしだったからさ。いつかお礼がしたくて」


「そんないいよ、あれは私がしたくてした事だし、それにレン君が一緒に居てくれただけで、十分だったから、そんなお礼だなんて…」


「いいからいいから!ここは俺の顔を立ててくれよ」


「ふふふ、変なの!でも…ありがとう…。じゃあお言葉に甘えて…」


「よし、決まり。すみません、これとこれください」


「お買い上げ頂きまして、ありがとうございます!こちらは彼女様へのプレゼントでしょうか?」


彼女!!彼女だと!?そっか、男女二人がアクセサリーショップに入って、アクセサリーを女の子に買って…状況的にカップルだと思われても仕方ないのか!

あ、やばい、急に恥ずかしくなってきた。


「え、あ、はい!」


「かしこまりました。ではこちらの方で包装致しますので、少々お待ちくださいませ」


やばい、「はい」って答えちまったよ。完全にテンパってる。スーナにも聞かれたかな…ってアレ?

スーナの奴、なんでそっぽ向いてんだ?スーナも恥ずかしいのか…な?

やばい、気まずい…。


「お待たせ致しました。こちらが商品となります。またのご来店をお待ちしております!」


商品を受け取ると、俺たちはそそくさと店を出た。中々の地獄だった…。


「ほら、スーナ」


俺はさっきの気恥ずかしさをひきずっていたのか、少々ぶっきらぼう気味にスーナに買ったものを渡した。


「うん、ありがとうレン君!」


「一応、ピアスがばあちゃん、ペンダントが俺からって事で…」


「せっかく包装してもらって申し訳ないんだけど、ここで開けてみてもいい?」


「良いけど…」


スーナは優しく包装をはがし、箱からペンダントを取り出し、首に掛けてみせた。


「どう…かな?似合ってるかな…?」


「うん、似合ってると思う」


「ありがとう!一生…大切にするね!」


「一生とか言われると…ちょっと重いな」


「それくらい嬉しかったんだもん!本当にありがとうね♪」


いたずらっぽく笑うスーナに少しドキっとしつつ、俺は自然と笑顔になっていた。


「よし、じゃあ次行こうか」


「うん、行こう行こう!」


若干テンションが高くなったスーナと歩いていると、突然後ろから声を掛けられた。


「あれー、蓮人じゃん。こんな所で君はなしているのだね?」


このふざけた喋り方と声は…。


「あ、茜…?」


早くもクラスメートに出くわしてしまった…。

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