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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
6章 ゲンガ
159/300

No.159 因縁尽く

すみません、日付跨いでしまいました。

「お前…元々俺達の世界に居た人間なのか!?」


駿は声を上ずらせて、今男が言った内容をそのまま復唱した。


「だから今僕はそう言ったでしょう…。正直、本を読んでいる所を見られた時点でバレたもんだと思ったけど」


「いや、あの時はあのゴリラ野郎に襲われてて、それどころじゃなかったし…」


「瀬戸際での判断力・注意力の有無は、命に直結するという事は肝に銘じた方が良いと思うよ。素性を知られた相手の命を奪うなんて事はザラにある訳だし」


「な、なんか歴戦を潜り抜けて来た猛者みてぇな言い方すんじゃねぇか!」


「…潜り抜けて来たさ。嫌って言う程ね…」


「…?」


この男…下っ端じゃないのか? いや…この空間を作り出している時点で普通じゃないのは明白か。


「君達…いや、そこの女の子はこっちの世界の人間だね」


「え…あ…その…」


「分かるんだよ。長くこっちの世界にいるとこっちの世界の人間かそうでないかがね」


長くこっちの世界に…?

確かこっちの世界でない人間がここに留まり続けると体が大気中に漂う魔力に蝕まれて、衰弱していく筈じゃなかったか?

見た所、ひ弱そうではあるが、決して衰弱している様には見えない。

いや、そもそもこの男の言っている事が本当かどうかを判断する事自体、時期尚早か…。


「あんた…本当に轟狐なの…? 私達の目的を知っても、私達の事を消し去る訳でもなく…」


「うん、僕は間違いなく轟狐だよ。後、勘違いしないで欲しいんだけど僕は君達を消せないんじゃない、消せないんだ」


「消せない…?」


どういう意味だ? この空間を作り出す程の能力を持つ人間が、その気になれば俺達を葬り去る位、動作も無い筈だ。何か能力に制約があるのだろうか。それとも他に理由が…?


「さて…轟狐を説得する云々については置いておいて、君達は僕に対してしなければならない事がある」


「俺達が…?」


「そうさ。君達がガルダの奴を不用意に怒らせたばかりに、僕までこんな地下深くに叩き落されてしまったんだ。責任を持って僕を元居た階層まで運んでくれよ」


これだけの空間を作り出す位なら、元の階層に戻る事なんて動作も無さそうに思える。相手の狙いがイマイチ読めない。


「な、なんで俺達が…! 大体お前だってなんかの能力で上戻るのだって楽勝なんじゃないのか?」


「うん、本当ならワケ無いんだけどね。タイミングが悪い事に魔力を全部使い切ってしまってね。僕一人では戻れないんだ」


「いやいや、完っ全に自業自得じゃねぇかよ! んなもん知るかぁ!」

「自業自得ではないよ。瀕死の状態だった二人を避難させる為に、この避難空間を作って、更に二人の治療をした結果だし」


成程、要するに駿のいい加減な所業の尻拭いをした結果、魔力が尽きてしまったと。

確かにこちらの立場が弱いな…。

というかこの男、複数の能力(魔石)を持っているという事か。


「いや…それは…そのぅ…」


案の定、駿は何も言えなくなってしまった。口喧嘩や討論等ではからっきし役に立たない奴である。


「分かった。要は上にぶち上げれば良いんだろ?」


「れ、蓮人!?」


「まぁ…別に俺達はあいつに何かされた訳じゃないし、メーとディックを匿ってもらっちまった手前、借りが出来ちゃってるしな」


「そうしてもらえると有難い。ちなみに頼んでおいてなんだけど、方法はあるのかい?」


男が言うと、俺は少し笑みを浮かべつつ、自信満々に答えて見せた。


「あぁ、試した事は無いけど、とっておきの技があるぜ」

※次の更新は3月12日(金)の夜頃となります。

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