No.15 スーナ In My Room
ん…ここは…?
あ、そっか、俺、父さんの部屋で寝る事になったんだっけ?
時刻は夜中の2時を指していた。
やっぱり普段寝てるベッドじゃないと中々寝付けないな…。
喉が乾いたので、飲み物を飲みに部屋を出ると俺の部屋から明かりが溢れていた。
「俺の部屋にはスーナが寝てるハズ…。あいつ、まだ起きてんのか?」
流石に部屋の扉を開けるのは気がひけたので、ドアのノックをした。
「おーい、スーナ~。お前、まだ起きてんのか?」
声をかけても返事がない。
成る程、部屋の電気を消すのが怖いから、つけっぱなしで寝ちまったのかと勝手に理解し、俺は部屋のドアを開けた。
「あれ、にぃこんな時間に何やってるの?」
何故か俺の部屋には妹の夏美が寝ていた。
「いや、こっちのセリフだから!なんでここに夏美がいるんだ?」
「スーナちゃんが寝れないって言うから、一緒に寝てあげようと思って」
夏美が言うには、全然寝付けないスーナが家の中をウロウロしている所を、夏美が見つけて、一緒の部屋に寝てあげてたらしい。
「ん…あれ、レン君…?」
「ミー」
「ミーミー」
俺たちの会話でスーナが起きてしまった様だ。
これ以上関わるとめんどーになりそうだったので、そそくさと部屋を出ることにした。
「とりあえず、電気は消しとくからな。じゃあおやすみ」
「あ、レン君、ちょっと待って!」
「ん?どうした?」
「せっかくだから、レン君もこの部屋で一緒に…」
「いや、寝るわけねーだろ!なんで同じ部屋で一緒に3人も寝なきゃいけないんだ。今度は逆に俺が寝れなくなるわ」
「じゃあ私が自分の部屋に戻るから、残った2人で寝れば大丈夫!じゃあ2人ともおやすみ~」
「え、夏美…?」
そう言うと、夏美は自分の部屋に戻って行った。
結局、俺とスーナは同じ部屋で寝る事になった。
よく考えたら、あっちではずっと同じ布団で寝てたし、今更拒絶してもちょっと可哀想か。
ただ、部屋のベッドは小さいのでスーナが俺のベッド、俺が床に布団を敷いて寝る感じだ。
「レン君、ホントに私がこのお布団使って良いの?」
「いいよ。第一その布団、1人用だから一緒には寝れないし」
「じゃあ私が床で寝るから、レン君がベッド使って良いよ!」
「いや、流石に女の子を床で寝かせる訳にはいかないだろ。俺の事は気にしなくて良いから」
「でも…」
「良いって言ってんだろ。やっぱり俺が父さんの部屋に戻るか?」
「え…それはやだー」
「どうせいっっちゅーんだ…。気にしなくていいから早く寝な」
「…ありがとう。じゃあレン君もおやすみ」
「ん、おやすみ」
…はぁ今日はホントに疲れたし、長い一日だった…。
俺ん家にスーナがいるっているのも、改めて考えると不思議な感じだな。
早いとこスーナをあっちの世界に返す方法も考えないとな…。
村長さんもきっと心配してんだろうなー。
そこら辺も明日、じいちゃんに聞かないとなー。
いや、多分明日はどうせじいちゃん二日酔いで使いもんにならないから、明後日聞こう。
それから後はー…いいや、もう今日は寝よう…。
……
ん…眩しい…朝か…。
あれ…天井が高い…あ、そっか、俺、床で寝たんだっけ?
スーナもベッドで眠れたみたい…ん…?
なんか…体が重い…。
体を起こすと、スーナが俺の寝ていた布団の中に潜り込んでいた。
「またか…」
俺が体を起こした拍子にスーナも目を覚ました。
「ん~。あ、レン君おはよ~」
「うん、おはよう。君、ベッドで寝てたんじゃなかったのかい?」
「へへへ、中々寝付けなくて…。レン君の布団の中温かそうだったから…」
「湯たんぽ扱いかよ…」
「ユタンポって…?」
「まぁいいや、スーナ、そろそろ離れてくれないか?こんな所ばあちゃんにでも見つかったら…」
何気なくドアの方を見ると、残念な事にばあちゃんが立っていた。
「お…おはよーばあちゃん。今日もいい天気だねー…」
今日も素敵な一日が始ま…れたらいいなー。