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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
6章 ゲンガ
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No.137 鋼鐵

「なんかあれだな…俺達が思ってた神社とはだいぶかけ離れてるな」


俺達の目の前に現れたのは、全身鋼鉄に覆われた無機質な建物だった。

もっとも、入口も見当たらず、建物と呼んで良い代物かどうも分からなかったが…。


「これが我々が日夜破壊せんと挑み続けているものだ」


近くで見てみると、傷一つ付いておらず、光沢に満ちた表面は、俺達の顔を写していた。


「あらら、これは確かにちょっとやそっとじゃ壊せやしないよね。まぁ結果的に助かったんだけどさ」


「お嬢さん、『結果的に助かった』とは一体どういう意味だい?」


老人は疑問に満ちた顔で聞いてきた。


「…そこの話もそろそろしなきゃだな」


俺達は、この建物がなんなのか、世界中にある神社を破壊しようとしている事、何故破壊しようとしているのか、破壊の先にどんな運命が待ち受けているのかを簡単に説明した。


「ぬぅ…俄には信じ難い…。ではこれの破壊が達成されれば、世界の滅亡に近付くと?」


「信じられないかも知れないけど、それが現実だ。実際、神社の破壊は行われていて、その影響が徐々に出てきている」


老人はしばらく黙りこくった。


「確かに…以前ここに来た連中が、『最近見知らぬ物やらが突然、村や町に出現した』と言っておったが…もしや、今君達が言った事と関係しているのかもしれんな…」


「まさか、知らず知らずの内に、世界の滅亡に、私達が加担していただなんて…」


俺を介抱してくれた女性は、深刻そうな顔をして俯いてしまった。


「しかし、そんな重大な事を、ゲンガ達は何故私達に命令したのだろうか? この建物の破壊が奴等の目的であれば、自分達で破壊すれば済む話。わざわざ我々をここに幽閉する手間までかけて…」


「まだなんか裏がありそうだな」


「うん、もっと調べてみなきゃだね」


「しかし…」


老人は再び俯きながら、呟き始めた。


「それは、ここから出れない事には無理な話…。そして、我々含めてここから出る手段は皆無…」


「そこだな…」


確かにここから脱出する手立てがまだない。

先程、魔石でだいぶ上まで上がったと思ったが、全く先が見えなかった。

地上から見て、相当地下深くに位置するらしい。


「ましてや4人ともなると、魔石で上に上がるのは現実的じゃないなー」


「え、詰んだ? もしかしてこの状況…」


「もしかしなくても詰んでるね、今の所」


「おいー! え、早くも終わり!? まだゲンガの元にも辿り着けてないのに…。つーか、そもそもイクタ村にも戻れねーじゃん!」


駿は情けない声を上げながら、あたふたしだした。


「いや、これがあるからイクタ村には戻れる」


そう言って俺は移紙を取り出した。


「それは…?」


「ここに来る途中、説明したろ? この移紙でイクタ村に戻れるって」


「あ、そうだっけ? 忘れてたわ」


すると、例の女性が移紙を見つめながら呟いた。


「すみません、皆さん…ここでは移紙は使えないんです…」


「…え?」


女性の一言に、俺達は言葉を失った。

…マジかよ。

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