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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
6章 ゲンガ
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No.134 闇葬

俺と駿は、言われるがまま女性について行った。


「おい、蓮斗、俺達は一体どこに連れて行かれるワケ?」


「俺が知るわけ無いだろ」


小声でそんなやり取りをしていると、風呂から既に上がっていた茜とスーナが、建物の前でこちらを見ていた。


「レン君、目が覚めたんだね! 良かった…!」


俺が何か言う間もなく、スーナは思いきり俺に抱き付いた。


「ス、スーナ!?」


「レン君だけ、ずっとうなされてて、起きなかったから、私心配で…」


「おいおいおいおい、蓮斗さんよぉ。随分と見せつけてくれんじゃないの?」


「す、スーナ、周りがめっちゃ見てるから、一旦離れようか」


「あ、ゴメンねレン君、つい…」


少し恥ずかしそうにしながら、スーナは俺の体を解放した。


「でも、ホントに良かったよ、無事に起きたみたいで」


茜も安心した表情を見せてくれた。


「なんか…思った以上に心配かけたみたいでごめん。もう大丈夫だから」


こうして4人集まると、木造の建物に案内された。

といってもこの集落の建物は、殆ど木造だが…。


中では何やら白髪頭のご老人が椅子に座って、俺達を待っていた。

俺達は、言われるがまま、その老人の前に座らされた。


「やぁ皆さん、ようこそお越しになられた…というよりは、大変な目に遭われましたと言った方が正確かな?」


老人は目尻を細目ながら、優しそうな表情でそう呟いた。


「皆さんは一体どういった経緯でこの場所まで辿り着かれたのですか…」


「えっと…」


そこで言葉に詰まってしまった。

もしこの人達が轟狐だったら?

もしカジノの関係者だったら?

それらの可能性を考慮すると、正直に放して良いものなのか、迷った。


「成る程、まだこちらを警戒されておれるとお見受けします。まぁカジノの地下で生活していると聞けば、関係者ではと疑うのも無理は無い」


「いえ、そういうワケじゃ…」


何故か駿は申し訳無さそうに言った。


「まぁおおかた、カジノに負けたか、労力としてここで働かせる為に連れてこられたかのどちらかでしょう。まさか、自らカジノの内部に侵入して、ここまでやって来たワケでは…」


「いや、理由としては、割と後者が近いです」


「何と? 自らの意思でここに?」


仕方なく、俺達はスーナと轟狐の関係性は伏せつつ、これまでの経緯を簡単に説明した。


「ははぁ…。連中を説き伏せる為に、わざわざカジノの内部に侵入したら、とある部屋の床が抜けて、気が付いたらここに居たと…?」


改めて自分達で説明していると、アホ極まり無い有り様である。


「しかし…話を聞くに、割と内部の方まで進まれたと察します。しかしながら、見たとこによると、魔力の消耗以外に傷らしい傷を負ってられない様子…。中々に腕が立つとお見受けします」


「いやぁ…正面切ってそんな褒められると…なんか照れます」


「しかし…悪い事は言いません。ゲンガ達に歯向かうのはやめた方が宜しいかと…」


老人は少し深呼吸をして、再び話を続けた。


「ここでの様子は、常時ゲンガの連中に監視されております。つまり、何か良からぬ事を企もうものならば、容赦なく青き炎によって、骨も残さずに焼き尽くされます」


青い炎…。きっと、カジノでおっさんを塵も残さずに焼ききったあの銀髪の男の事だ…。


「それは勿論、私達も例外ではありません。いえ、正確に言えば、今までも幾度と無く私達はトバっちりを食らってきました」


「…」


「その都度、私達はそのトバっちりを避けるべく、部外者が何かを企てようと分かれば、始末してきました…」


その瞬間、老人の眼光が鋭く光った。


「始末…」


スーナはその老人の言葉を聞いて、表情をこわばらせた。


「何が言いたいんですか…?」


茜が老人に質問したが、茜の表情を見るに恐らく、老人が言いたい事は察しているのだろう。

そして、俺も恐らく察せれている。


「え、何々、どういう事?」


残念ながら、駿は察せれてない様だった。


「そんなに恐い顔をしなくても大丈夫ですよ、お嬢さん。ただね、私が言いたいのはね…」


「…!」


気が付くと、武器を持った15~16人の男共が、周りを囲っていた。


「くれぐれも余計な騒ぎは起こしてくれるなよという事なんだよ…」


「…ったく、ジジイにゃあろくな奴が居ねえな…」


そう良いながら、俺は臨戦態勢に入った。

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