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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
6章 ゲンガ
133/300

No.133 元グランルゴ

グランルゴ…確か、それは俺達がつい先程までいた町の名前のハズだ。

それに「元」グランルゴとは…。


「そうですよね…今ではグランルゴといえばカジノの町。以前の港町というイメージは忘れられつつありますから…」


「あの…元って一体どういう…」


「そこについては、また後でお話します。まずは、あなたのお知り合いの方達がいる場所へ案内しますね」


「そうだ! 駿、茜、スーナは!?」


「安心してください、3人ともご無事ですよ」


「そっか、良かった…」


3人の無事を知ると急に体の力が抜けた。


「大丈夫ですか?」


「いや、なんかエライ疲れやすくなってるみたいで…」


「もしかして、ここに来るまでに魔力を放出し続けた事はありませんか?」


「魔力…あぁ魔石の事か? でも、あれって空気中の魔力を取り込んで使うから、関係無いんじゃ…」


「ここいら一帯は、地上も地下も含めて、従来、空気中の魔力が乏しい土地なので、あまり空気中の魔力を頼る事は出来ません。魔石を使いすぎると、知らず知らずの内に体内の魔力を消費してまい、体力を奪われてしまうんです」


「成る程、それでか…」


駿が魔石を使ってた時、やたらバテてたのはそういう理由だったワケだ。

ずっと衝撃波を出しっ放しだったもんな。


「特にここ地下では、空気中の魔力は殆ど無く、ほぼ体内の魔力を頼る事になりますから、ご使用はお気をつけて…」


こうして、俺は休み休み歩いて、駿達が居るという家に辿り着いた。


「蓮斗ぉーー!! 無事だったのか!?」


顔を見るなり、駿は喧しい声で俺を出迎えてくれた。


「駿も元気そうだな」


「茜とスーナちゃんも無事だ! 今、風呂入ってる! どう蓮斗? 今から覗きに行かない?」


「お前は会うなり何意味分からない事言ってんだ! 大人しく寝てろ!」


「散々寝たさ! だってあの部屋から落ちてきて、まる1日経ってんだから」


「え、ちょっと待て、1日!? 俺達ここに来て、もう1日経ってんの?」


「そうさ! ここの町の人達が手厚く保護してくれたらしいんだ。感謝してもしきれねぇよ!」


なんでこの町に住む人達はこんなにも俺達に親切にしてくれるんだ?

元グランルゴとかいう話も含めて、いまいち信用出来ない。

あんまり鵜呑みにするべきではないのかも。


「取り敢えず、茜とスーナが風呂から出たら、準備が出来次第、ここから脱出する方法を見つけよう」


「それなー、俺達も最初それ考えたんだけど、無理そうなんだよ」


「無理?」


「こっちついてきてくれよ」


そう言われるがまま、俺は駿に外に連れ出され、しばらく歩いた。

すると、何やら30メートルはあろうかという巨大な岩石が聳え立ち、その真上に巨大な穴が開いていた。


「あれは…?」


「岩石が突然落ちてきて、岩石が所がぽっかりと穴が空いちまったんだってさ」


「穴!? そんなバカな話…」


「まぁそうなるよな。正直と俺もまだイマイチ信じちゃいない」


「…で、その岩石が落ちて出来た穴がなんだっていうんだ?」


「この穴が唯一、地上とを繋いでるんだってさ」


「これが? っつーか、建物の中にこんなばかでかい穴があるって、どんなカジノだよ! 欠陥建築もいいとこだろ!」


「というわけだ、今のところ、ここを脱出する手段が無い」


「脱出なら俺と駿が居れば、簡単だろ? 魔石で爆風を起こして、上に登ってけばいいじゃん。それぞれ、茜とスーナを抱えて」


「いや、スゲー事をめちゃくちゃお気楽に言うな!」


「よし、試しに今、やってみるか」


「だから、それがそうはいかないんだって…。っつーか、話を聞け!」


俺は駿の話も聞かずに、魔石を使い明日元から爆風を巻き起こし、上空へ飛びだった。

爆風に乗って、俺はどんどんと上がって行った。


「なんだ、やっぱり簡単じゃん。駿の奴大袈裟に言って…って…あれ?」


余裕だと思った矢先、物凄い勢いで疲労感が全身を襲い、やがて思うように爆風を出さなくなってしまった。

そしてそのまま、再び落下して行った。


「やべ…このままだと地面にぶつかる…」


俺は地面にぶつかる寸前に、最後の力を振り絞って、地面に向かって爆風を放ち、衝撃を相殺し、なんとか生きて降りてこれた。


「なぁ? だから、言ったろ?」


「成る程ね…ここは空気中の魔力が極端に少ないから、地上にたどり着く前に、体内の魔力を使いすぎて、ブラックアウトしてしまうと…」


「そこまで知ってて、何故試した!?」


「いや、なんとか行けるかなって…」


「なんにせよ、今の所、地上に上がる方法は無いって事だ」


「…ゲンガはおろか、イクタ村にも戻れないって事か…。いやー、見事に積んでるねー」


「誰かさん達が、急に脇目もふらずに部屋に飛び込んだからだろ…」


「…さすがに迂闊過ぎたな…」


すると、先程の女性がやって来た。


「お二人共、ここにいらっしゃったのですね」


「あ、すみません、勝手に離れちゃって…」


「お気になさらなくて、大丈夫ですよ。それよりもあなた方に来てほしい所があるんです」


「来てほしい所?」

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