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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
6章 ゲンガ
130/300

No.130 Fireball

「邪魔ぁー!! どいてどいて!!」


「おい、なんか突っ込んで来るぞ!」


「誰か連絡を…どぅへっ!!」


茜とスーナを抱えて、猛スピードで道を急いだ。


「おい待てっつってんだろーが!!」


ようやく駿が俺に追い付いてきた。

イクタ村を出る前日、俺が教えた魔石を使った移動法を、ちゃんと駆使できてるみたいだ。


「なんだよ、峻だってちゃんとついて来れてんじゃん」


「結構必死だわ! っつーか、やるんなら言えや!」


「いやー、ちょっと説明する時間なくて…」


「いや、絶対言い忘れてただけだろ!」


俺達はあっという間に通路の端まで辿り着いた。

そしてまた、下に続く階段が姿を現した。


「お、階段だ!」


俺は魔石の力を解き、二人をその場に下ろした。


「なんか最初からこうやって移動すりゃ良かったな。どうせバレんだし…」


「いや、俺と蓮斗は良くても、そこの二人が持たないから…」


「えっ?」


駿の視線の先に目をやると、茜とスーナは、ぐったりとへたりこんでいた。


「蓮斗…今は良いけど、これ終わったら、私とスーナの説教があるから…」


「レン君…やる前にちゃんと言ってねって、前にも言ったよね…?」


茜とスーナは、ぐったりした表情で俺を睨んでいた。


「す…すみませんでした…」


「ま、まぁなんとかあそこ突破出来たんだし、追手が来る前に早く階段を下りよう!」


駿は二人を宥めるようにそう言って、階段を降りるよう促し、俺達は再び階段を降りて行った。


「この階段もまた長ぇな…。っつーか、ここ地上から何メートル地下なんだ? 重機もない世界で、どうやって掘ったんだ…?」


「多分、そこは何かの魔石を使ったとかじゃない?」


「どんな魔石だよ…」


「…何か上の方から音しない?」


茜は耳をすませながら呟いた。


「確かに…何か聞こえんな…」


「レ、レン君、段々音が近付いて来てない?」


「何かこっちに向かって来てる…?」


やがて、その正体が分かった。


「れ、蓮斗さーーん!! あれ見てーー!!」


駿が叫び声を上げずとも、階段の上から、巨大な鉄球が豪快に転げ落ちてきてるのが、瞬時に分かった。

しかもよく見ると、炎を纏っている。

十中八九、轟狐の連中の仕業だろう。


「鉄球!! とりあえず、逃げろーー!!」


「いや、鉄球燃えてる燃えてる! あんなんぶつかったら絶対死ぬ!」


「ックソ!」


俺は魔石の力で、渾身の爆風をイメージし、鉄球にぶつけた。

しかし、風の力では鉄球の勢いを殺す事は出来なかった。


「ダメか…! でかすぎる!」


「あばばばばば、ヤバイ、追い付かれる!」


「クソ、何か方法は…」


俺は走りながら、ふと上を見上げた。

この階段は比較的天井が高い事に気付いた。


「そうか…この高さならもしかしたら…!」


「え、何蓮斗!? どうするつもり!?」


「鉄球を止める!」


「いや、さっきそれやろうとしたけど、全然ダメだったじゃんか!」


「あぁ、さっきは正面から止めようとしたからダメだった。なら、うまく受け流せば良い!」


「受け流す!!?」


「あぁ! 今から言う事をよく聞いてくれ!」


俺は走りながら、手短にこれから俺がしようとしてる事を説明した。


「いや、それ成功すんのか!?」


「成功させる! 行くぞ!」


俺は再び鉄球に向けて魔石の力を解き放った。

今度は正面ではなく、鉄球の下捕の方を狙って。


「行けぇぇ!」


俺は上気流をイメージし、鉄球の下に直撃させた。

先程とは違い、一瞬速さが和らいだ。

俺はそのまま、上気流の上に鉄球を乗せて、わずかだが持ち上げた。


「駿達、今だぁ!!」


駿達はその瞬間、一斉にしゃがんだ。

そして、その上をスレスレで鉄球が通過していき、やがて俺達のはるか彼方の方へ転がり落ちていった。


「とりあえず…鉄球回避成功!」


俺達は、九死に一生を得た。


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