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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
6章 ゲンガ
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No.128 とある部屋

しばらく進んでいけども、相変わらず薄暗い光景が続くばかりで、一向に部屋も階段も現れない。


「なんか、なーんもねぇな。って言うか、この道、どこに続いてたんだ?」


「行き止まりって可能性もあるよね」


「えー、こんだけ歩いたのに?」


「いや、大して歩いて無いだろ。行き止まりだったら、引返しゃあ良い話だろ」


「でも、後ろから敵が来てたら?」


「そん時はまた戦うしかないだろ」


「マジかよ…袋のネズミなんて状態にならなきゃいいけど…」


ブツブツ言いながら歩いて行くと、スーナが何かに気付いた。


「みんな見てください、あそこに階段みたいなのがあります!」


「階段?」


俺達は近くまで行くと、確かにそこには地下に続く階段と、上に続く階段があった。


「どうする? どっち行く?」


「どっちって言われてもな…」


「こういうのって、RPGゲームだと、ボスが居るのって、地下の奥深くが定石だよね?」


「確かに…早期決着を優先するなら、地下の階段を進むのが良いか…」


「いや、お前らゲームに例えて話進めるのいい加減やめてろや! ここはゲームの世界じゃねーんだよ!」


「だけど、地下の場合、囲まれたら逃げ場が無いな」


「いや、上だって無いだろ! 飛び降りろってか?」


「魔石から出す風の力でどうにかする」


「…そうすか」


「じゃあ上に上がろうか」


そう言って、俺達が上に上がろうとした瞬間、上から店員の格好をした、轟狐らしき男2人が階段から降りてきた。


「ん? なんだお前ら」


「あっ」


そう言い終わる前に、俺と駿で有無を言わさず、相手を叩き潰した。


「なんだ、駿もちゃんと魔石使いこなせてんじゃん」


「イクタ村出発するまでの間、散々村長さんから指導されたからね! いや、それよりもいきなり出てきたんだけど! これ、ホントに上行っちゃって大丈夫なのこれ!」


「結局、上も下も変わんないって。諦めて行こうぜ」


「そりゃそうなんだけど…」


すると、向こうから声が聞こえてきた。


「おい、さっきから何か物音が聞こえねぇか? 侵入者でも入ったか?」


「ヤバい、流石に気付かれたか。とっとと上に上がろう」


「暴れるだけ暴れて…」


俺達は急いで階段をかけ上がっていった。


「何か私達、もしかしてすごい考えなしに動いてる?」


茜は半分自虐混じりに言った。


「結果、そうかも」


俺は思わず苦笑いしてしまった。


「そうかもじゃないわ…。お、少し明るくなったぞ」


駿の言う通り、階段を上がると、若干明るくなった。

何処からか外の日差しが差しているのだろうか?


「おい、蓮斗、何か聞こえないか?」


耳をすませると、確かに何やら会話をする声が聞こえてきた。


「でさー、その女がホントにヤバいのよ! もう何? 体から溢れでるフェロモンで男共全員悩殺みたいな? 脳が溶けて鼻から垂れ流し、みたいな?」


「マッジでか! えぇー、ちょっと詳しく! それ、詳しく!」


「いやいやいや、舌禍に尽くし難いんだわ、これ。俺、未だかつてこれ程自分のボキャブラリーの無さを嘆いた事ぁねぇよ」


「いやいやいや、お前、それ大丈夫? ガンガンハードル上がってるけど! ハードル雲突き抜ける勢いだけど!」


「いやもう、雲どころか大気圏突破する位の、超スーパージャンプ決めてくるから!」


「マジでか! 俺の股間のロケットも大気圏突破しますけど!? 発射寸前ですけど!?」


「そうだな…もうあれだ、エロをドレスの様に着こなし、靡かせながら歩く的な…」


「ドレスの様に…!? …エロを…!?……え、それどういう事…?」


「まぁ要は一度見りゃわかるってこった」


「マジかよ…それの想像が追い付かんわ…っつーか、追い付いたら俺、昇天しちゃうんじゃね」


やがて、男達は去って行った。


「…え、何あの中二全開の奴ら」


「どこの世界にもバカはいるもんだね」


「あの…今の人達は何の話を?」


「大丈夫、スーナちゃんは知らなくて良いんだよ。忘れて忘れて!」


「え、あ…はい」


しばらく進むと、扉が眼前に現れた。

先程下で見た部屋の扉とは違い、中から光も漏れておらず、誰も居なさそうだった。


「開けるぞ…」


俺はゆっくりと扉を開けた。

やはり、中には誰も居らず、返事は無かった。

ここは物置きらしく、沢山の物が無造作に置かれていた。


「うわー、スッゲー物がスッゲー雑に置かれてんなぁ…」


どう見ても石にしか見えないもの、何だかよく分からない入れ物に、変な棒…。

素人目にはどれもガラクタにしか見えなかった。


「轟狐は、こんなもんとっといてどうするんだろうね」


「さぁ…ん?」


駿は何かを見つけたらしく、棚に置いてある物を手に取った。


「駿、なんかあったのか?」


「これ、日本語で書かれた本だ…」


駿から本を受けとると、確かにそこには日本語で文章が綴られていた。

文章から察するに、小説の様だった。


「なんでこんなもんがここに…?」


「多分、俺達がこの間巻き込まれた、空間の亀裂から出てきたもんだろうな」


「よく見ると…ここにあるもん全部、俺達の世界のもんじゃね…? このペットボトルとか、ダンボールも」


駿の言う通り、ペットボトルとダンボールも、バッチリ日本語が書かれていた。

この部屋に置いてある物の内、殆どが共通していた。

これらから、ここに置いてあるのは、俺達の世界の物だと分かって置いたものであり、恐らくあの空間の亀裂の存在も知っているという事が分かる。


「それまで知ってながら、神社を破壊しよってのか? ふざけんな、絶対に止めてやる」


思わず語気が強くなってしまったが、すぐに冷静になった。


「よし、ここにずっと留まっていても、仕方ない、先に進もう」


俺は自分に言い聞かせるようにそう言い放ち、俺達は部屋を出て、先に進んだ。


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