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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
102/300

No.102 普遍的幸せ

こちらの世界に戻ってきてから、次の日。

今週もまた学校生活が始まった。


俺が家を出る時、キロとテンがグズってしまい大変だったが、スーナが二人を宥めてくれたので、なんとか登校する事が出来た。

じいちゃんはというと、身体中が痛いとかで、和室で横たわっていた。

完全に寝たきりのジジイである。


「おはよー」


「あ、蓮斗おはよー」


教室に行くと茜が既に居た。


「相変わらず来んの早いなー」


「何? 早く来ちゃダメなの~?」


「いや、別にそういうワケじゃないけど…」


「なら良いでしょ? それで、そっちは例のおチビちゃん達、どんな感じなの?」


「いやー、もう今日は大変だったよ。『どこにもいかないでー』って…。それが終わったら、今度は『いっしょにいくー』って言い出して…」


「あははは、もう完全に仕事に行く父親と、その子供達って感じだよね」


「笑い事じゃないよ…。俺も小さい時は、同じだったのかなぁ」


「まぁみんなそんな感じじゃないの? なんの反応も示さないよりは良いでしょ?」


「うーん…まぁそれはそうかも…」


すると、疲れきった顔をしながら、のっそりと駿が教室に入ってきた。


「おはよー…」


朝の挨拶も随分とローテンションだ。


「お、おはよ…朝っぱらからどうしたんだよ? そんな死にそうな顔して…」


「いやー…昨日、家帰ったら、母ちゃんにどえらい怒られてさぁ…。最悪の土日休みだよ…部活も無断でサボっちまったし…」


「そ…そうか…」


考えてみりゃ、今回に関しては、駿は完全に巻き込まれただけだったもんなぁ。

不可抗力とはいえ、少し気の毒だな。


「駿…飴一個要るか?」


「おーい、蓮斗、お前もしかして飴一個で全部を無かった事にしようとしてる? そうはいかねーからな、チクショー」


「二人とも、なんの話してんの?」


「いや、駿は可哀相だなぁって話」


「駿が可哀相なのは、今に始まった事じゃないでしょ?」


「お前ら、満身創痍の人をボロクソに言うのが、そんなに楽しいか!?」


やがて、ホームルーム開始のチャイムがなり、席に着いた。


土日の疲れが抜けきっていないのか、若干眠い。


授業が終わると、駿が話しかけてきた。


「蓮斗! お前って修学旅行の奴、もう決めた?」


「決めたって何を?」


「何をって、2日目の自由行動に何すんのかだよ。サイクリングとかシュノーケリングとか釣りとか色々あったろ?」


俺達の学校は、二学年時の10月に沖縄へ修学旅行に行く事になっており、今日はその説明を先生から聞かされた。

最も、あまりの睡魔で、俺は殆ど話を聞いていなかった。


「うーん…何もしないってのはダメなの?」


「なんでだよ、沖縄まで来て勿体無いだろ!」


「いや、そうじゃなくて、何もせずただ、海を眺めてるって事」


「ならサイクリングで良いんじゃない? サイクリングで適当な場所見つけてボーっとしてれば」


「じゃあそれにするかな。駿は?」


「俺はシュノーケリング一択!」


「…駿って泳げたっけ?」


「バカ野郎、それを夏の間に特訓するんだよ」


「へー…頑張って」


「どんだけ興味ないんだよ! もうちょっと俺に興味持てよ」


すると、同じクラスのヤマっちこと、大和千尋がやって来た。


「お前ら、駄菓子屋行かない?」


「え、あそこのばあちゃん、今入院中じゃあ…?」


「先週、退院して、今週からまた店開けんだってさ!」


「あ、そうなんだ! じゃあ久々に顔見に行こうかな! 蓮斗も行くだろ?」


「行く。でもよく考えたら、高校生にもなって意気揚々と駄菓子屋に行くのも、変だよな」


「いやいや、だからこそじゃないの。このご時世だからこその駄菓子屋夏のワケだよ」


「いや、何言ってんだか分からん。行くなら行こうぜ」


そこにあったのは、紛れもなく平凡な高校生の日常だった。

今回、少し少なくてすみません。

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