核心章4
いやー、なんとか間に合いましたw
核心章ラスト!
突貫工事なので、粗があるかもしれませんが、大事なシーンなので、大切に作りました。
本来は時間をおいて推敲するべきなんですが……やっぱり間に合わせたかったので、妥協しましたw
まだ20時まで時間があるので6時ぐらいまで待ってからやればいいんですが、まあ今までの手抜き具合を見ればわかる通り、そんな事はしなかったと……ほんと一回この作者死んだ方がいいんじゃねえの?
……何か凄い殺気を感じますが……それでは、3連部分の最後!
お楽しみください!!!
xy
「楽しかったね。アクト君」
花火も終わり、「じゃ、帰ろっか」と、俺が後ろで、ケイリが前で後ろを向くという不思議な並びで帰路に就く。
危ないとは思ったが……まあケイリのことだ。これで事故にあうことは無いだろう。
ここは、街唯一の国道、『234号線』。普段はトラックが交通の大多数を占め、歩道はほぼ使用されないが、今日は祭とあって歩道も賑やかだ。
「アクト君!もう祭も終わりだよ!なんか、寂しくなっちゃうね!!」
「…………」
いつものケイリの話し方に聞こえる。でも、何かが違うような気がする。
無理に明るく振舞いすぎているようなケイリの仕草に、俺は何を感じているのだろうか。
俺は黙りこむ。まるで探りを入れてるみたいに。
「でも今日1日ほんっと楽しかった!間違いなく人生最高の1日だったよ!!!」
「…………」
ケイリだけが喋る時間が続く。
……やはり無理して喋ってるような気がしてならない。
「でもやっぱりまだ続いてほしかったり……矛盾してるよね!人の心って!」
「…………」
「……………………ねえ!なんか喋ってよ!アクト君らしくないよ!!!」
ケイリはあからさまな不満を表した。
「……あっ、ああ。すまない。ちょっと考え事しててさ……」
俺ははっとなり、何をしていたんだと自分を責めつつ、返事を渡す。しかし、何かが引っかかる……。
「祭は帰るまでが祭だよ!最後まで楽しまないと!そんなむすっとした顔は祭に似つかわしくないよ!」
それを言うなら今のケイリの方だ。
そんなに声を張り上げなくても聞こえてるに決まってるのに……
その様子は、恐怖に怯えているのか……それとも全てを決心して己を鼓舞しているのか……俺には、何を意味するのかは分からない。でも、ケイリが昼のケイリとは違う何かを感じている事だけは確かだった。
「アクト君は何が1番楽しかったの?私はやっぱり花火大会が楽しかったな!!!」
……やっぱり変だ。いつものケイリじゃない。今日1日の付き合いだが、このあからさまな違いは副交感神経によるものではないことぐらいわかる。
どうしたんだよ。お前らしくもない。
「それで、アクト君は何が1番楽しかった?」
「…………」
この笑顔の裏に、一体何を孕んでいるのだろうか……。
「……ん?どうしたの?また黙り込んで……あ、どれも楽しくて決められないとか?まあ、そうだよね!祭だもんね!楽しい事しかないよね!そりゃそうだよ!年に1度の事だもん!」
「なあ、ケイリ、、、お前……」
俺は遂に、真意を問いただそうとして……
バン!!
「え……」
俺は、人生で1番間の抜けた声を発した。
俺の右肩に後ろから、硬い衝撃が加わる。
どうやら、後ろから来た歩行者の肩とぶつかってしまったようだ。
普段ならこの程度どうでもないはずの自慢の体幹は、1日の疲れからか、働くことは無かったのだった。
俺は、大きくふらついてしまった。
しかもその向きは……おい、なんでだよ…………
後ろから追突されたのに……俺の身体は、不運にも左、車道側にふらついていた。いや、半ば倒れこんでいた。
俺は必死に身体を戻そうとする。
しかし、普段ふらつかせる側にはよくいたものの、ふらつく側は経験がなかった俺が、戻せるわけなんてなかった。
俺はもう、車道に倒れるしかなかったのだ。
さらにさらに不運は連続するようで、車道からは大型トラックが迫ってきているのが見えた。
もはや俺が神に憎まれているみたいだった。なんだよこの取ってつけたような災厄は。
……きっと俺は、間もなく罅の入ったアスファルトに体を打ち付け、そのまま轢かれて死んでしまうのだろう。
……死ぬ前って、こんなに爽やかで落ち着いた気分なんだな。頭も五感も、不思議と過去1番冴えわたっている。
自分がどうやって死ぬのか、しっかりマジマジと見させてくれるなんて、全く、神様は良い趣味してるよ。
十余年の、短い人生だったな。でも、死ぬ前にこんな祭の素敵な経験が出来て、俺を好きって言ってくれる人がいるって知ることができたのは、幸せな方だったのかもしれない。
ああ、でもすまない。ケイリの思考は、最期まで読めなかったよ。辛いことがあったんなら、相談してくれてもよかったじゃないか。
まあ、俺には何もできなかっただろうけどさ。
ああ、もう終わりが近いみたいだ。ケイリは花火の時、あんなことを言っていたが、俺は果たして誰かの記憶の、ほんの片隅にでも焼き付けて貰えるような、悔いの残らないような生き方が、果たして出来たのだろうか?
何を考えたところで、もう遅い。もうすぐ俺は、トラックに轢かれて……
「……え?」
倒れようとする俺の身体に、突然。強い浮遊感が襲った。
まるで、ビデオを逆再生するみたいに、自分の身体が車道側から歩道側に戻された。
誰かに肩を掴まれ、歩道側に引き戻されたようだ。
でも、俺を歩道側に引き戻すときに発生した反作用、それは人が耐えられるものではなかった。
歩道側に戻る俺の眼の前で、ピンク色が靡きながら車道側に放り出された。
「プーーーーーー」キキーーーッ、バン!
そこから先は、全然覚えていなかった。
でも、憶えていた事がたった2つだけあった。
1つは、俺の身代わりに誰かが、、、いや、アイツが轢かれたこと.
そしてもう1つは、身体が歩道側に戻る瞬間、俺の耳元に声がしたこと。
「楽しかったよ。ありがとね。アクト君」
俺たちの祭は、ここで終わってしまった。
核心章も終わり、祭も終わった今、アクトは何を思うのか……
そして話は終幕へと……
というわけで次回は終章となります。
4月から、長くかかった(誰のせいかなぁ)真円も、遂に終章を1、2とやってお終いです。
是非最後までお付き合いください!
それでは、また次回、終章1でお会いしましょう!




