↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグ持ちの壊れたキャラだった冒険者。ガチャ確変SSRとなり不具合仕様認定で【真の壊れ性能】に!〜ユニーククラスの知識で自然と共生する産業革命!  作者: 夜切 怜
死闘! 【城塞戦】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/132

初戦は一網打尽

 一夜にして出来た【タトルの城塞】に、『無銘』のメンバーは集まっていた。

 今日の正午ちょうどに、決戦が開始する。期間は一ヶ月。


「祖霊がいうには、この用意した台座に、と」

 大きな室内にぽつんと台座がある。

 そこに魔方陣を置くと、光り輝き、発光を発する水晶のような物体が現れた。


「この復活水晶は破壊できない。ここが復活ポイントになる。『無銘』のメンバーである限り、どんな死因だろうがここで復活する。連中はこの場所の制圧を狙うだろう」

「破壊できないのがミソね」

 レクテナが言う。


「あいつらはそれを知っていた。まだ神々もルール構築中だったんだろうな」

「つまり、我らは勝利条件を提示していない以上、通常の勝利として【城塞戦】の終了する手段を持たないということですな」

「ウリカか町を差し出せば敗北条件だけは達成できるけどな。あり得ない選択だ」

 ウリカをみながらアーニーは断言した。


「はい。死力を尽くして戦います」

「その意気だ。相手に殺されるか自害もありだ。ここで復活するからな」

 アーニーは淡々と言った。

 そういう戦いなのだ。


「この城塞の防御付与も終わったわ。鋼より堅く火に強い。大森林の祝福と付与の相乗効果ね。あのとき以上、いや、比較できないほど堅牢な城塞よ」

 レクテナが言っているのは亜人解放戦争の一夜城だ。


「状況全然違うにしても、僕たちもレベルは上がっている。アーネスト君なんてSSRだ。彼らが可哀想――でもないか」

「ないね!」

 ポーラが断言する。


「そろそろ時間かな」


『――【城塞戦】を開始します』


 彼らの頭のなかに声が響く。

 薄い青いオーラに包まれた。


「俺たちが青、連中が赤か。間違えなくていいな」

「夜に紛れなくなります」

 ダークエルフのコンラートが不満げだ。


「夜は基本籠城だ。理由は夕方説明する」

「わかりました」

「敵は精鋭で数も多い。こちらの人数も知らせてある。多分平野経由で進軍、制圧の短期決戦で来ると踏んでいる」

「こっちの内訳も知らずにね」

「そういうこと。では初日の城塞戦行くとするか。俺が平野を。テテとコンラートは森の偵察を頼む。あとは城塞に待機、防衛だ」

「了解!」

 三人が偵察に出かけた。緒戦がスタートしたのだ。




 

 アーニーは森沿いの平原を走っていた。1ターン4回行動を移動に全振りだ。この地上で一番脚の早い一人に間違いない。

 遠目で進軍する集団を見つけ、脚を止める。

 数は180人程度。高レベル帯は温存しているのだろう。普通考えれば彼らの出る幕では無い。


 こちらは20名もいないのだ。迂回する必要もない。城塞について包囲し、攻め落とす。それだけだ。

 向こうは【タトルの城塞】を、幻影か何かと侮っている可能性もある。


 アーニーは城塞に舞い戻った。


 城塞に帰還後、木製の城壁に、ポーラとアーニーとウリカが立っていた。


「じゃーん! レクテナ先生に借りたんだ!」

「おまえ! それ!」

「すっごい! 初めて見た」

 ポーラの手には虹色に輝く魔法の杖が握られていた。

 魔法の杖で、かつ+20といわれる虹色の輝き。


 伝説の【達人(アデプト)】のみがなすことができる究極の武器――ではなく。単に頭がおかしいと言えるほどの過剰魔力付与(オーバーエンチヤント)中毒者の成果物だ。


「奇跡の一品、究極の過剰魔力付与された、魔法の杖でーす!」

「範囲攻撃で一網打尽は余裕か?」

「半減は確実にできそうね。ウリカちゃん、サポートお願いね」

「はい! 【超新星】ですか?」

「新技! マレックさんに教わった【隕石落下(メテオ)】だよ! あれは射程が一番長いしね! もう射程範囲だよ」

 日夜マレックと魔法談義しているポーラは、古代帝国の魔法をいくつか教わっていた。


「まだ敵の軍勢、豆粒ぐらいの大きさなんだけど」

「普通はこんな大規模破壊魔法使えないんだけどなー」

「戦争や集団闘争レベルでの対人相手へは禁止されているな。建物ならいいらしいが…… 神々の法で。そもそも禁止なら発動しない。抜け穴で発動してもなんらかの警告、ペナルティが降り注ぐ」

「なんで禁止されてないのかな?」

「これは【戦争】じゃないんだ。あくまで【城塞戦】。まだルールが完全に施工されていないんだろうな。敵もなんでもありって言ってたしな」

 ザルなルールだ。本来ならこんな形で実装するべきではない。


「祖霊様って【仕様】を重んじながら、仕様の抜け穴を探しているよね」

「あれはそういう性格だ。じゃあ、ポーラ。頼んだ」

「祝別も用意してるからね! 資金はマレックさん全持ちらしいよ。あの人には頭が上がらない」

「マレックはポーラに頭が上がらないだろうさ」

「嬉しいね! ――エーテルの海に浮かぶ、岩石よ。我が声にこたえよ――」


 ポーラが呪文の詠唱を開始する。

 ウリカがMP回復を開始する。本来なら人間の手に余るレベルの呪文なのだ。

 使いこなすことができるのは、S級冒険者の実力を持つポーラ故。


「【隕石落下(メテオ)】」

 呪文が唱え終わった。


 しばらくして、進軍する集団の頭上が目映く光った。火球といわれる現象だ。

 その直後、轟音とともに、きのこ雲が発生した。


激しい発光。耳を押しつぶす轟音。そして世界を吹き飛ばすかのような爆風。


「つかまれ!」

 ウリカとポーラを支え、アーニーが踏みとどまる。


 ようやく視界が回復した。

 巨大なクレーターが、そこにあった。


「あれ? 全滅?」

「全滅というより蒸発だな。隕石が追突する前に爆発していた。ほら、かろうじて死体が残ってる連中……原型とどめてないな。お、消えていく。復元水晶行きか」

「何が起きたかわからず死んだんじゃ……」

「一つわかったこと。――もうフルパワーで使わない」

 ポーラは自分が行ったことに恐怖した。


 クレーターは彼女がみたこともない大きさだった。





 『鋼の雄牛』たちが占拠している城塞。

 復活水晶がある部屋で次々に冒険者が転送された。


 その場にいた人間はその多さに驚いたものだが、次第に数は膨れ上がり、人間が積み重なっていく。

 可哀想なことに、ローブ職の魔法使いや治癒士は、金属鎧の冒険者が積み重なり、そのまま圧死して、再び復活して上に積み重ねられていく。


 圧死は通常デスペナルティだ。敵の攻撃ではないのだから。


「何が起きた!」

 別室でくつろいでいたロドニーが叫んだ。


「申し訳ございません。全滅です!」

「どういうことだ? なんだあれは」

 復活水晶の部屋はあっという間にいっぱいになった。山が崩れ、圧死しそうなものが続出している。

 出口近くの人間がでようにも、積み重なった人間の重みで出ることができない。非常にグロテスクな光景だ。

 外にいたものが、一人ずつ必死に抜いて助け出す。


「我ら進軍した者一同、一撃でやられまして」

「そんな馬鹿な話があるか。180人の冒険者を、一撃でか」

「事実です。その結果があの復活ポイントでの同時復活です」

 復活水晶の中から絶え間なく苦痛と悲鳴が響いてくる。


「どんな魔法を使えば、そんなことが可能になる?」

「天空が一瞬光ったと思うと、我らは焼かれるような痛みとともに死んでおりました」

「まさか…… 【隕石落下】?」

 女魔術師のヘスターが呟く。


「あんなの使える人、ほとんどいないはず」

「使えたとしても使用禁止だろう! あれは!」


 【隕石落下】は使用禁止リスト筆頭に、常にあがっている。

 どんな堅牢の城でも、不意打ちで落ちる。戦争にならないのだ。

 平時では発動しないはずである。


「ちょっと待って。祖霊に確認する。――【城塞戦】は大規模破壊禁止魔法の制限、ないみたいよ。【戦争】じゃないからね」

「なんだと! いや、今はなんでもありか」

「【城塞戦】なんて始めたの、私たちが最初か二番目だもの。前例で問題になっていない以上、禁止もされないわ。使える奴がいないっていったほうがいいけど」

「俺たちも使っていいのか?」

 戦術的には同じ手が使える以上、使わない手はない。


「私だって無理よ。【隕石落下】なんて。向こうは、異次元レベルにいる魔術師がいるってことね」

「ちきしょう!」

「【城塞戦】で良かったのか悪かったのか、わからないわ。【隕石落下】が使える以上、禁止されていない魔法でも十分瞬殺可能でしょうよ。誰なのかしら?」

 ヘクターは魔術師らしく被害にあった冒険者たちより、何者が行使したか気になっていた。

 彼女とて特A級冒険者だ。有名な魔術師はだいたい把握しているつもりだった。


 【隕石落下】を行使できるとなると、ごく一部。冒険者ではいるかいないかレベルだ。

 そんな魔法が使えたら、各国の争奪戦になるに決まっている。人間兵器だ。


「くそ。まあいい。平原は悪手ということか。ならば夜襲だ。それまでに軍勢を再準備だ」

 ロドニーが冷静さを欠いているようだ。

 周りの冒険者たちが怯えるように次の作戦の指示を仰いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。