第1話 始まり
また平凡な1日が始まる。朝起きて学校に行き、授業を受けて家に帰る。それだけの1日。....いやそれは幸せな日常。大切な平凡。俺の1日も中学まではそうだった。阿呆な奴らはいてもこんなことにはならなかった...
去年の4月7日 俺は高校に入学した。俺は高校の生活に胸を踊らせていた。平凡な日常を変えてくれるのではないかと...確かに高校は俺の平凡な一日を変えた。俺の期待は当たった。半分だけは。期待というものは自分に好都合な妄想。だからこそ当たったのは半分だけ。俺は名前のせいでイジメを受けた。俺の名は鈴山 優夏。俺はこの名前が嫌いじゃない。親が俺に期待と希望を名前に載せて付けてくれたものだから。しかし、高校の奴らは俺の名を女の子みたいな名前だと馬鹿にした。初めは俺も反抗した。この名は俺の親が俺の事を思って付けてくれたものだと。しかしそれは逆効果だった。そんな反抗が奴らの感に触った。俺は生意気なヤツだなどと言われ、いじめの対象となった。はじめは苦痛だった。そんなものは受けたことがないから。しかし、人は良い意味でも悪い意味でも慣れるものだ。俺はこんな日常に慣れた。いじめを受けて死を選ぶ人もいると聞くが俺にはそんな考えは一切なかった。だって自殺はいじめ以上に己を傷つける行為だと俺は認識しているから。死が最も恐ろしいと認識しているから。逃げてしまえば楽だ。だからこそ自殺を選ぶ。確かにそれも人の己の心を守るための選択だ。否定はしない。でも俺は選びたくないって話だ。そんな日々が2年になっても続いていた。もしかしたら死を選ぶというのは絶対ないと考えている俺もこのままなら死を選んでしまうかもしれない。このままなら。そんな俺に、人生最大の転機がある日突然訪れた。
どんどん気温が上がっている六月の夕暮れ。俺はいつも通り帰路を辿っていた。今日も辛いいじめを受け、精神を削って家に帰る。俺は帰りが好きだった。だって学校から離れられるから。奴らから離れられるから。家まで残り1キロ位のところだった。人通りの少ない路地で彼女は大人数に囲まれていた。見た感じ男子5人女子4人ってところか。いつもはあんな制服の集団なんて見ないな。俺はそんなことを考えながらその集団を視界の端に捉えていた。その中に一瞬だけ頭を下げ、うなだれている女の子がいた。あまり俺は他人に興味をもたない。ただそこにいるだけなら特に何もせず通り過ぎただろう。しかし、少し距離が近くなった時に聞こえてきた言葉が俺の歩みを止めた。その言葉は明らかに中心にいる子に向けての罵倒だった。俺には正義感なんてものは無い。例え盗みの現場を見たって聞かれない限り放置だ。だが、どうしても俺はここを無視して通れなかった。何故だろうか。多分同じ高校生で同じくいじめを受けているという状態が俺に何かを訴えかけてきたのだろう。いやそれだけじゃないな。自分にそれに対抗するだけの力があると自信があったから。ただの自己満足。どうせいじめをしてる集団を潰して日頃の鬱憤ばらしだ。こんな自分が嫌になる。「お前ら何をしてるんだ?こんな所で」「あんた誰よ。ナンパ?キモイからどっかいってくんない?」「てめぇらみたいなブスなんて興味ねぇよ。率直に言うとどう見てもいじめがあるこの状況を見て何やってんだって言ってんだよ」「あんたみたいなやつにブスとか言われる筋合いないし。別にいじめなんてしてないし。マジでどっか行けよ。ヒーロー気取りが」「ヒーロー気取り?俺がそんなやつにみえるかっての。ヒーローなんざ興味ねぇよ。」「てめぇうざいんだよ!あまり調子のってっとぶっ飛ばすぞ!」「やっちまえ!こんなキモイヤツやっちまえ!」「おうこいよ。ぶっ飛ばしてみろよ。俺はそんなに甘くねぇぞ不良気取りが。」...「クソッ!ざけんな!」中学まで柔道部に所属してたからこんなヤツら余裕だった。全員投げ飛ばして終わり。それであとはびびったヤツらが捨て台詞を吐いて逃げてった。「さてと、大丈夫ですか?」「あ はい大丈夫です。そのありがとうございました。」「いえいえただ感に触っただけなので。」「あの...なんで助けてくれたんですか?」「...あまり自分でもよくわかってないんですが...私も高校でいじめを受けていまして、多分そのせいだと思います。」とっさにいいように聞こえるような言い方をするなんてほんとクズだな俺。「あっ!今考えるとこんなことしたら...すいません余計なことしてしまって...」「いえ大丈夫です。結局エスカレートしたってしなくたっていじめはいじめですから。」そんな事言ってもエスカレートしたら辛いに決まっている。優しい人だ。俺をきずかってくれているのだろう。俺だったら何でそんなことしたんだよ!という自信がある。ほんと俺やってる事と思ってることが矛盾してんな。「あっそうだ。助けていただいたお礼に家にいらっしゃいませんか?」「いえいえ。そんな訳にはそれに私は余計なことをしたわけですし」「でも今助けてくださったという事実は揺らぎません。遠慮しないでお茶でも飲んで行ってください。すぐそこなんです。」「...じゃぁ少しだけ」「そういえばもう一つだけ聞いても?」「何でしょうか?」「あなたのお名前はなんというのですか?」「私の名前は...」彼女なら別に俺の名を馬鹿にしたりはしないだろう。大丈夫だ。多分...「私の名は優夏。鈴山 優夏といいます。優しい夏とかいてゆうか」「あなたにぴったりの名前ですね。親御さんも誇らしいでしょうね。」「...そうですね...」「私は美羽。泉沢 美羽といいます。美しい羽とかいてみう。」
どうも今回はじめて小説を投稿させていただくクロウという者です。小説いかがだったでしょうか。自分でもこれがどれ位続くのかは全く分かっておりません。でも少しずつ少しずつ進めていこうと思っているので楽しんでもらえれば幸いです。YouTubeでもゆっくりクロウ2001として二つの物語をゆっくりマイペースに投稿しているので気になった方は見ていただると幸いです。そちらはこっちと違ってバトル系なので嫌いな方は注意してください。長くなりましたが閲覧ありがとうございましたm(_ _)m