四匹目。
「ん、ここかな、」
なんというか、都会の町外れ、人気のなさそうな古い路地裏におしゃれな家があった。先日、野上さんに教えてもらった住所と地図を頼りに来るとそんな建物の前に来てしまった。
俺は、ふぅ、と深呼吸した後、真っ白な壁についているインターフォンを押した。玄関のそばでピンポーン、と音が反響する。すると、インターフォンから、女性の中では低いほうであろう野上さんの声が聞こえてきた。
「ヤト君ね。どうぞ、開いてるから入って頂戴、」
俺は、おそるおそる、といった感じでパステルカラーのドアをあけた。すると、目の前にチョコーン、とおそろいの服をきた子供が2人居た。2人とも、そっくりである。
「はじめましてー、僕、犬飼 輝っ! よろしく!」
「はじめましてー、俺、犬飼 陽っ! よろしく!」
まったく同じ言葉を、まったく同じ顔で、まったく同じ声で、発する。俺は、一歩後ずさりそうになったが、どうにか、声を絞り出した。
「…宇佐乃…ヤトです、テル君、ヨウ君、よろしく…」
俺の微笑みにテルがぷぅ、と頬を膨らませた。
「テルで良いよ、ね、ヨウ! 僕らもヤトって呼ぶし」
「うん、テル! ヤトっ、中入りなよ、ヤトが最後のメンバーみたいだね、」
俺は、ヨウに促されるようにして、中に入った。壁はカラフルなパステルカラーで、白を基調とした家具で部屋が揃えられている。リビングらしき所に野上さんが椅子に座っていた。
「ヤト君、よし、じゃあ、座って。お茶、飲むでしょ? 自己紹介しましょ、」
野上さんからお茶を受け取って、周りを見回した。さっき、話をしたテルとヨウ、熊みたいに大きい無表情の人、スマホを扱っているちょっと、青っぽい髪の毛の人、そして、エレベーターでの赤髪の人が座っている。
俺は、赤髪の人を見て、つい、小声で呟いてしまった。
「あ、採用されたんですね…、」
すると、赤髪の人がキッ、と睨んできた。
「? ど、どうし…」
「犬飼 テルでーっす、高ニっ!! よろしく!」
「犬飼 ヨウ! テルの双子の弟でっす!! よろしくーっ、」
俺の疑問の声は、双子の自己紹介によって、かき消されてしまった。
やっと、メンバー出会いました…、