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百合な彼女の転生後(仮)  作者: バルメ・メリーゲート
第一章 幼年期編
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魔法の授業

 まずは心を落ち着かせる。

 手のひらに意識を集める。

 詠唱……


「赤の精霊よ、我が呼び声に答え力を貸したまえ……」


 ぼっと手の上に炎がともる。

 手のひらから炎に向けて魔力が流れていくのがわかる。


「もういいわよ。ゆっくり魔力を減らしてみて」


 魔力を減らす。

 蛇口を閉めていくイメージでやってみる。

 少しずつ少しずつ絞っていく。

 それにあわせて炎が小さくなっていく。

 やがて炎を維持できなくなりふっと消えた。


「上手よ。発動できても魔力を絞るっていうのは難しいの。詠唱で発動した後それを調整することができないと立派な魔法使いにはなれないわ」


 お母様的には私に魔法使いになってほしいのだろうか。

 剣も習ってみたいんだが、言ったらだめって言われるだろうか。

 魔法剣士とかかっこよすぎるんだが。


「お母様、私は剣も習ってみたいです」


 アーレは少し驚いた顔をした。

 そんなに意外なことだっただろうか。

 その顔を不思議そうに見ていた私を見て、何を思っているか察したのか、アーレは


「前にあの人が火傷させたから、怖がって剣を嫌がるんじゃないかって言ってたけど。この調子なら大丈夫そうね」


 と言って笑った。

 なんでもあの後ゴルドールはかなり落ち込んでいたみたいで、女の子だが剣も教えたいが、あの火傷で剣を怖がってしまうんじゃないかと気にしていたらしい。

 あの人きっと喜ぶわよ、といって笑うアーレにつられて私も笑顔になる。

 今日ゴルドールが帰ってきたら今度剣術を教えてほしいって言ってみよう。

 きっと今ゴルドールはこの村、アリールを巡察しているはずだ。


 今まで周りを観察してきてわかったことだが、うちは一応貴族らしい。一応、というのは、領地などを持たず普通の平民として暮らしているからだ。

 なんでも昔の戦争での功績により王国騎士になり、その後騎士を辞めるとき王様から貴族として認めてもらったらしい。

 ただアーレもゴルドールも領地など要らず、普通に暮らしたいと言ったから貴族としての名だけもらったようだ。

 だからこの村はアウド家の領地ではないのだが、ともに同じ村に暮らす者として何か仕事をしなくては、ということで村の周りの魔物や動物、村の揉め事などの仲裁役として働いているのだ。

 一度一緒に馬に乗り村を巡察する仕事に連れて行ってもらったことがあるが、村の人達から好かれているらしく、その時は畑で取れた野菜や果物を貰っていた。

 家では調子に乗ってドジったりするゴルドールが外ではかっこよく見た。

 さすがイケメンパパん。

 家でもきりっとしてほしいものだ。


 思い出話はいいとして、私はアーレに言われるまま他の属性も出してみた。

 黒の属性、土属性のことだが、あれはどうなっているのかよくわからなかった。

 なんせ手のひらの上にぽっ、と小さな石が出てきたのだ。もう物理法則もあったものではない。

 もしかしたらほかの場所から転移させてるとかなのか、それとも魔力が固まってこうなっているのか。

 そして魔力を絞るとぽろぽろと崩れていき、最後には砂になって消えてしまった。

 物理法則とかそんな感じのはこの世界の魔法には当てはまらないのかもしれない。

 まぁ特に詳しいわけでもない私が考えても答えが出ることはないけども。

 さて残りは無属性だが、黒の属性を出し終えた後、私は体に倦怠感を覚えていた。

 だるい。

 まるで長距離を走った後みたいだ。魔力切れのようだ。


「お母様。体がだるくなってきました……」

「あらあら、魔力切れみたいね。じゃあ今日はここまでにしましょう」


 気持ちはまだまだやりたいといっているが、さすがにまた倒れるわけには行かないよね。

 最悪命にかかわるって本にも書いてあったし、おとなしく今日はここまでにしておこう。

 だが昨日に比べてたった一日で魔法を使える量が増えた気がする。

 昨日使い切ってから回復したから魔力の総量が増えているのだろうか。

 一日でここまで実感できるくらい増えるのなら毎日やればすごいことになるのではないだろうか。

 私は魔法を使って魔物をばったばったと倒す未来を想像する。

 うむ、いいな。


「カレン? 大丈夫? 変な顔してるけど……」


 おっと、妄想顔を見られてしまったようだ。

 でも変な顔って……


「お母様、私はちょっと部屋で休んできます」

「そうね、わかったわ。もう少ししたらお昼ご飯だから、少し食べやすいものをセーラに頼んでおくわね」


 ありがとうございます、といって私は二階にある自室に戻った。

 これからの鍛錬が楽しみだ。

 一人ベッドに寝転がり、むふふと妄想を膨らませるのであった。

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