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百合な彼女の転生後(仮)  作者: バルメ・メリーゲート
第一章 幼年期編
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ライト

 勝利の右腕を上げた後、おっさんたちにもみくちゃにされた。

 後さっき使った歩法のことを聞かれた。

 あれは前世で見た古武術の歩法だったか、無料動画サイトで見たものを真似たものだ。無属性で強化してたからできたのか、前世で一人でやってたのがよかったのかわからないが。

 前世で使う意味って? ヒーローの変身を隠れて真似してみる感じと同じだ。意味はないけどやりたくなったのだ。妄想の中では誰でも達人になれるのだ。

 たしか理屈は後ろの足に力をかけずに前に出すことによって動きの起こりをわかりにくくするとか何とか。

 起こりってのは動き始めのサインというかなんというか。

 例えば踏み込む前には足に力をかけるので若干体が沈みこんで前に出るとか、殴り始めは突き出すほうの肩が動くとか、その動きを極力読みにくくするのだ。

 達人になればなるほど隠すのがうまくなるので、相手から見たら気がついたらすでに間合いに入られてたり攻撃されてたり反応が遅れるのだ。

 今回はそれがうまくいった。

 おっさん達には前世の無料動画でなんて説明できないから昔キャラバンについていた護衛の人から教えてもらったと誤魔化した。

 キャラバンは色々な街や国を回ってくるのでこういうときにすごく使える。


「カレン様、そろそろ帰らないと」


 セリシアが私の袖を引っ張ってくる。かわいい。

 空が少し暗くなってきた。あんまり遅くまで遊んでたらゴルドール達が心配する…かなぁ? 

 まぁ美少女が二人で暗い中帰るのもよくないよな。そろそろお暇させてもらおう。


「じゃあ今日は帰ります。また明日来ますね」

「おう、いつでも歓迎するぜ坊主! 白髪の猫ちゃんもまたな」


 そういって私達の頭をぐりぐりと撫でた。

 セリシアの握ってる裾がぐっと引かれる。おいセリシアびびってんじゃねぇかおっさん。

 他の人とたちとも軽く挨拶をしてから扉を開けて修練場を後に、する前に一言言っておくことにした。


「後、何か勘違いしてるようですが私は坊主じゃありません、女の子ですから」


 おっさん達がなんともいえない顔をしたのを見てから私は重い扉を閉めた。

 そういえば毬栗坊主いつの間にかいなくなってたな。ちょっと大人気なかったかもしれない、次からは気をつけよう。


宿に戻るとゴルドールはベッドに仰向けに寝転がり本を読んでいた。マリアはいない。


「ただ今戻りました。お父様、マリアはいないんですか?」

「あぁマリアは友人に会ってくるって出かけたよ。明日帰ってくるって言ってたぞ」

 

 おいメイド。

 もともとマリアはセーラより自由でたまにメイドって事を忘れそうになるくらい心安い奴だけども。

 まぁでもたまの休みって事でいいのかな。

 正直言うと盾を持った相手への対処とかを詳しく聞きたかったんだけど。


「まぁいいか。それよりセリシア、汗かいたから夕食の前にお風呂に入ろう」


 元気のいい返事をして私と一緒に脱衣所に入る。 

 日に日に成長していくセリシア。

 私は至福の時間を大いに堪能した。

 いや、普通にお風呂入ってるだけなんだけどね。


 三人での夕食。

 マリアがいないので少し静かだ。

 ゴルドールに今日ギルドにいって修練場で決闘した事を話すと、さすがわが娘達だと、鼻息を荒くして勝利を喜んでいた。

 ゴルドールは毬栗坊主の事を知っているみたいで少し話してくれた。

 何でもあいつは同じ年代の中で一番うまく戦う方で、冒険者の両親から盾の使い方を習っていたらしい。いつか両親と一緒に冒険に出るのが夢だという。

 冒険者か。

 今まであんまり将来とか考えてなかったけど冒険者もいいかもしれないな。

 どこかで依頼を受けて生活するのもいいかもしれないが、できれば色々な街を見て回りながらダンジョンとか攻略するようにな冒険もしてみたい。

 私が冒険者になりたいと言ったらゴルドール達は反対するかな。

 いつか話をしてみよう。

 ゴルドールは周辺の魔物を狩るときなどこっちのギルドの冒険者達と一緒に狩りをすることもあるらしく、ここのギルドの冒険者もそこそこ知ってるらしい。

 なんか困ったことがあったらひげもじゃのおっさん、ハックルと言うらしい、腹筋のねぇちゃん、エルダに頼るか、カウターさんに聞けということだった。

 決闘のときもあのおっさんが仕切ってたし一番面倒見とかいいのかもしれない。

 それとギルドに行ってもいいがこれだけは守れと言われた。

 お酒を飲まないこと。

 葉巻を吸わないこと。

 街から出ないこと。

 この三つは守れとのことだ。

なんでもギルドとか冒険者ってのはすぐにお酒やらを飲ませたがるらしい。

 ちゃんと守ると約束をして、寝る前にカードゲームをして遊んだ。

 キャラバンの人からとまたてきとうなことを言ってババ抜きを教えたら二人ともはまったらしく、何度もやった。

 セリシアは顔にでやすいのですぐにババがわかるけど、ゴルドールは全く読めなかった。

 さすがは歴戦の戦士というところか。

 悔しいが今回は負けを認めよう。

 次は大富豪でも教えてみるか。

 悔しい思いはセリシアを抱きしめながら寝て、癒された。

 

 翌朝、三人で朝食を食べる。

 

「カレン様、最近走ったりしてないね」

 

 そういやそうだな。

 こっちにきてバタバタしてたしトレーニングしてなかった。やるか。


「じゃあ、朝食食べ終わったら走りに行こうか」


 私の言葉に元気に返事を返してくる。


「走ってもいいけど町からは出るんじゃないぞ」

「はい、修練場で走ってきます」


 あそこ広いから外周走れば邪魔にもならないしいいだろう。

 そういうことで私とセリシアは朝食後、着替えてからギルドへ向かった。

 ゴルドールは昨日の本の続きを読むらしく、またベッドに横になり気をつけてなと手を振っていた。

 なんか家にいる時よりくつろいでんな。

 セーラとアーレが居ないからか、まぁセーラはゴルドールにも厳しく注意しそうだしなぁ。アーレは細かいこと言わないけど、怒ると怖いからな。

 なんか奥さんが旅行で家にいない時のサラリーマンみたいだな…

 がんばれゴルドール。


 街に出ると朝早くから主婦の井戸端会議が開かれていた。 

 こっちの世界でもこういうのは変わらないんだなぁ。なんだか変な感じ。

 

「ねぇねぇ、最近白い悪魔が居なくなったってうわさ聞きました?」

「いえ、冒険者の人達がやっつけてくれたのかしら」

「でもうちの人はまだ何もギルドには情報は入ってないって言ってたわ」

「怖いわねぇ」


 白い悪魔って、すごいべたな名前だな。どっかのロボットか、って悪魔って呼ばれてたっけ? 化け物かとかのセリフはあったような気がしたけど。

 ロボット物はアニメあんまり見なかったし、ロボゲーも変態企業が出る奴しかやってなかったからなぁ。やっぱり四脚や逆関節はロマンだよね。

 にしてもなんでこんなにも主婦ってのは噂話が好きなのだろうか。

 確証もない話なんて時間の無駄だよ。ちゃんとしたソースを出しなさいソースを。まぁ前世でまだ出てないゲームの情報に踊らされてたから同じようなもんか。

 少し前世での事を思い出してると、セリシアが袖を引っ張ってきた、ってもうギルドか。通り過ぎるところだった、危ない危ない。


 ギルドの中は昨日と違い朝早いからか人が少なかった。テーブルで寝てる人が三人と、掲示板を見ている五人のグループがいるくらいだ。

 カウターさんに修練場を使う許可を取っていると掲示板を見ていたグループの人が手を振ってきた。昨日いた人か、私も軽く手を振り返しておいた。またお世話になるだろうから仲良くしとかないとね。

 修練場に入るとまだ誰も居ない、貸し切り状態だ。

 しっかりと二人で柔軟をして、外周をぐるぐると周った。

 そして腕立て腹筋背筋。ちゃんと前も後ろも鍛えないといけない、って前世で見た気がする。

 それから周りにある獲物から好きなものをとって軽く打ち合う。

 響く木剣の音。

 体を動かすのは気持ちがいい。前世ではヒッキーだったからすごく新鮮に感じる。

 しばらくして休憩していると、入り口の扉が開く音がした。

 

「あ…」

 

 入ってきたのは毬栗坊主だった。というか入ってきてあ、ってなんだよ。


「おはようございます」


 いやな奴だけど挨拶は大事。

 セリシアも小さい声で、届いているかどうか分からないが挨拶をする。


「お、おはよう…」


 実に気まずい返し方だな!

 毬栗坊主は置いてある盾と片手剣を持つとこちらに振り返った。

 なんだまたやるのかと身構える。


「お、俺の…」


 お?


「俺の名前はライト! 次は絶対負けないからな! お前も男なら次に挑戦する時逃げるなよ!」


 と、大声で宣言した後乱暴に扉を開き、といっても鉄でできている重い扉なので勢いよくは開かなかったが、そのまま出て行ってしまった。

 扉の向こうからカウターさんの怒った感じの声が聞こえる。

 あぁあいつ盾とかそのまま持ちだしちゃったからな。

 にしてもこれってライバル宣言かな。思いっきり私を男だと勘違いしてるし。

 

「カレン様…」


 セリシアが心配そうに見上げてくる。

 

「大丈夫だよ、次も勝つから」


 言ったからには負けられないな。マリアに盾との戦い方を師事してもらおう。

 にしてもライバルかぁ、前世でやってるゲームでもいたなぁ。

 乱入してはお互い敵同士になって本気でやったもんだ。

 こっちに転生してほとんどセリシアとしかやってこなかったけど、この感覚、懐かしいな。

 うん、これは次が楽しみだ。

 私も負けられないな。

 私たちは休憩が終わった後、しばらく打ち合いをしてギルドで昼食をとり、また夕方まで打ち合いをした。

 

 次の日もギルドに行き、朝から練習をした。

 ライトは今日は来なかった。

 その次の日はたまには休みなさいよとカウターさんに言われ、午後から街をセリシアと二人で周ってみた。

 武具店に入ったときはなかなか動かなくて大変だった。主に私の足が。

 やっぱ防具欲しいよなぁ。

 

 そしてその次の朝。

 武器が完成したと、ハルトが宿にやってきた。

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