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百合な彼女の転生後(仮)  作者: バルメ・メリーゲート
第一章 幼年期編
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模擬戦闘

 あれから二年が経過した。

 アーレからの魔法の授業。

 ゴルドールやマリアからの剣術指南。

 あ、結局セーラからは魔法を教えてもらわなかったな。アーレがいない時って無かったし、できない時は休みってことになってたし。

 そのかわり相変わらずマナーの事でマリアと共に怒られるんだけども。


 昼までは魔法の授業、剣術を教えてもらい午後から走り込みやら体作り、夜は読書をして寝る。

 この村には同じくらいの年齢の子供がいないからいつもセリシアと一緒に遊んだり鍛錬したりしていた。

 魔法も上手くなり、剣術もなかなかのものになったと思う。

 セリシアの方が剣術だけで見ると上を行っているのが悔しいが、私はその分魔法を頑張っている。

 セリシアは魔法が苦手なようで、あまりバカスカ使えないがその分剣での立ち回りを補助するように使うのが上手い。

 それともともとの獣人としての身体機能の差があるので、魔法なしでも結構強い。

 猫のようなバランス感覚とばねのように体を使うので、人間とは瞬発力が段違いなのだ。

 

 まぁ私は純粋な人間ってわけじゃないが、エルフの身体機能は人間と同じくらいらしいので、魔法無しだと部が悪い。

 だが、二年間休まず毎日魔力を使い続けてきたので私の魔法総量はかなりのものになった。

 魔力はあるからあとは応用やら使い方を色々と研究していけばいいでしょう。とアーレからそこそこの評価をいただいた。


 今日はゴルドールが休みらしいので、今までの鍛錬の成果を確認するためにセリシアと模擬戦をする事になった。



~~~



 裏の庭で私とセリシアは距離をとり、互いに後ろを向いて立つ。

 体は自然体で、緊張しつつもリラックスさせる。

 互いに向かい合わないのは、戦闘するときは準備や心構えができてない状態でいきなり起こったりするもの、その為普段から自然体から瞬時に戦闘態勢に入れるように、さらに一瞬で敵を視界に入れてどうするかを判断できるようにする為にこうして後ろを向いた状態から開始するのだ。

 とゴルドールが言っていた。


 私は背中を向かい合わせて離れて立っているセリシアを気配で感じる。

 庭といっても家の裏にある原っぱのことで、結構な広さがある。

 どこまでかうちの土地なのかはよく知らない。


 さて今回はどう来るか……

 セリシアの瞬発力は侮れない。

 初めての模擬戦の時はあまりの接近の速さに驚いてパニックになった。

 さらにセリシアの武器は両手持ちで使うバスターソードを模した木剣だ。

 私は普通の片手剣サイズの木剣、リーチも重さも向こうが上だ。

 一気に近づいてそのままスピードを乗せた一撃を繰り出してくる。

 一度よけきれず木剣で受けたら一発で折られた。今のが実戦でなくて良かったな、実戦だったらお前はもう死んでるぞ。と、どこぞで聞いた名言?を思い出す。


 さてさて今回も同じようにくるのだろうか。

 どうするか考えているとキン、とゴルドールがコインをはじく音が聞こえた。

 このコインが落ちた瞬間、模擬戦は開始となる。

 だが裏庭は地面が土なので、注意しておかないと落ちた音が聞こえない。

 しばらくしてジャリンというなんともしまらない音が聞こえた。

 瞬間私は無属性魔法で身体強化して後ろを振り向きながら横に飛ぶ。

 セリシアは一直線にこちらに向かって来ようとしていた。

 が、私が横に飛んだため方向を修正しようとスピードを緩める。

 私は魔法でセリシアが次に踏み込むであろう場所を無詠唱でつち属性の魔法を発動させ、へこませる。

 この魔法はかなり便利だが、今みたいに使う場合詠唱していると間に合わないので、無詠唱でないとうまくいかない。

 だが無詠唱な上場所もピンポイント、さらに離れた場所で発動させるので消費が激しい。


 一瞬バランスを崩し前のめりになるセリシア。

 そこを無属性で一気に踏み込み木剣を降りおろす。

 セリシアはまだ体制を立て直せていない。

 勝った! と思った瞬間、セリシアはそのままぐっと前に転がり避けた。

 そして起き上がり際、バスターソードを振り上げた。

 転がった勢いを利用して振り上げられたそれに、さらにかぜ魔法で剣を押して加速させる。

 私は寸での所で体を横に倒れるように回転させてなんとか避けた。

 身体強化で跳ねるように起き上がり距離をとる。


 危なかった。

 まさかあの状態から剣を振り上げてくるとは思わなかった。

 もう同じ戦法は通じないかもしれない。

 ジリジリとした雰囲気の中、呼吸を落ち着け、私は黒魔法の詠唱をはじめる。


「黒の精霊よ、我が呼び声に……」


 セリシアは詠唱を止めようと緑魔法で加速しながら距離を詰めて来た。

 速い。

 だがこれは計算の内。

 無属性魔法を使いながら他の魔法を使っているので魔力の消費が激しい、あと二、三発くらいしか撃てないが、上手くいけば勝てるはず。


 私は黒魔法で地面を軟らかくし、そこに赤魔法を撃って砂を巻き上げ、セリシアとの間に即席の煙幕を張る。

 だがセリシアは獣人、聴力がいいので視界が悪くても相手の位置がわかる。

 前に同じように煙幕を張ったが迷わず私の場所に切りかかってきた。

 だから今回はそれを利用する。


 私は煙幕にわざと足音を立てるように突っ込みながら上に向かって黒魔法で石を打ち出す。

 そしてもう一度煙幕を張る。

 これで私の魔力は無属性魔法を維持する分以外ほぼ無くなった。

 煙幕の中セリシアがまっすぐ突っ込んでくるのがわかる。

 煙幕越しなのに威圧感がすごい。

 セリシアは戦闘中は普段からは考えられないくらい怖い。

 獣人は高ぶりやすいとは聞いたがはじめて見たときは正直漏らしそうだった。

 

 今まで見てきたセリシアの速さから、次の一歩で相手の間合いに入るだろう。

 私はその一歩を踏み込んだ瞬間一気に上に飛んだ。

 セリシアの気配が止まる。

 私が落ちてくるところを狙い打とうとしているのだろう。

 そしてセリシアの右側にドンっという着地音がした。

 そこにセリシアの剣速を加速した斬撃が轟と音を出しながら繰り出される。

 タイミングは着地音とほぼ同時に思えるほど速かった。


 が、私はそこにはいない。


 セリシアがあるはずの手ごたえがない事に一瞬動きを止めた。

 セリシアが聞いた着地音。

 それは私が煙幕に踏み込む前に上に打ち出した石が落ちた音だった。

まずい、と思ったのだろう。

 すぐさまその場から動こうとするセリシア。

 が、私の剣が彼女の体に当たるほうが速かった。

 私はセリシアの背後に着地しながら袈裟に振り下ろした。


「ぁうっ……!」


 と彼女から声が漏れる。


「そこまでだ!」


 ゴルドールが模擬戦の終了を告げる。

 一応加減して振り下ろしたが、落下しながらだったので少し強く当ててしまったかもしれない。

 服もなにかの革で作られたプロテクターのような物を着ているし、模擬戦のときは木剣に布も巻いている。

 が、あたると結構な衝撃が体に響く。

 さっきのセリシアの攻撃もそうだが、セリシアは加減が苦手なのか全力で振ってくるためかなり痛い。

 だけど私に勝ってにこやかに微笑む彼女を見れるのでそれはそれでいいんだけど。

 痛みの後の笑顔のご褒美……あ、なんか痛いのも気持ちよく感じてくる気がする……(恍惚) 

 まぁ模擬戦闘が終わったらアーレがすぐにみず魔法で治してくれるので痛みはすぐなくなるんだけど。

 


~~~



 今回の模擬戦は私の勝利で終わった。

 その後アーレとゴルドールからどこが悪かったかなど直すべき点を聞く。

 そして次までにそれをどうするか考えて修正する。

 セリシアは直線的な動きが多すぎるという指摘を受けていた。

 私は無属性魔法を常に発動するのではなく、瞬時にオンオフできるようにとの指摘を受けた。

 常に発動しっぱなしだと魔力が持たないし、他の魔法を使うときに二つ維持すると消費が激しすぎるからだ。

 ありがとうございました! と礼をして、私はセリシアと共にお風呂へ向かう。

 私も彼女も汗と砂で汚れていた。


 まぁ砂は私が巻き上げたんだけどね!


 しかしなぜここまで真面目に戦闘の練習をしているかというと、この世界には魔物がいるからだ。

 とくに近年魔物の活動が活発になってきたらしく、もしの時のためにやっといて損はない。という事だった。

 一応貴族なら社交界などでのダンスやらを習ったほうがいいんじゃないか、とも思ったが、前世では戦闘系のゲームを好んでいた私だ。

 正直楽しいのでその考えは言わないでおいた。


 脱衣所に着きプロテクターを外し、服を脱いでいく。

 恥ずかしげも無く含を脱いでいくセリシア。

 しばしその光景に見とれる。


「カレン様、どうしたの?」


 不思議そうにこちらを見るセリシア。

 まさか君の可愛さに見とれてたとは言えず、いやなんでもない、と適当に誤魔化す。

 そう、と短い返事をして先に浴場へと入っていった。


 この二年でセリシアはかなり可愛くなっていた。

 髪色や毛並みは綺麗な白に近い銀色で、癖のある髪を肩の辺りで切り揃えている。

 すこし焼けた肌は健康的であり、髪の色との対比がまた美しい。

 あまりの美しさに後光が差している気すらしてくる。

 まさしく至宝、この世の宝だな。

 胸は……まぁ、これからに期待というところかな。


 私は脱衣所にある鏡を見る。

 最近は前髪を片方だけ伸ばし、火傷の痕を隠すようにしている。

 初めてあった人の視線がどうしても気になるのだ。

 しかも、自分で言うのもなんだがアーレやゴルドール譲りの結構なイケメン顔なので、自然と視線も集まりやすい。

 それでいて痕を見られるのだから気にならないはずが無い。

 胸はセリシアよりすこーしだけ、ほんのすこーしだけ小さい。

 私もこれから大きくなるはず! いやなれ! なってください!


 でもアーレも小さいからこれはエルフ的な特徴なのかなと半ば期待できないかもと思いつつ、セリシアと汗を流した。


 そしてセリシアの尻尾と耳を洗って可愛い反応を堪能した。

 嗚呼、至福……

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