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Cool Night Smoking  作者: LUTE
9/9

7BOX BREATH CARE

青い空の下、はためく大量のシーツを、煙越しに眺めていた。

ここは病院の屋上、本当は禁煙。でも時々看護師や医者が吸ってるから俺も使わせてもらう。

吸っている煙草は、隠し持っていたライターと、近くの自販で買ったもの、俺が吸ってる銘柄が無かったから適当なので我慢。

ふぅ、やっぱりこれがないと、俺は駄目だな。

煙草を吸うことに至上の安堵を得ていた。

真理に、入院してるときくらい禁煙してよ!? といわれたので、仕方なく今まで我慢していた。煙草の没収もされた。

今日は退院日、病院を出る前、一足お先に吸わせてもらってる。

病院にいる原因は、この前の怪我、どうやらそうとうな重傷だったらしく、二ヶ月の入院、しばらく通院する必要もあるらしい。

その間は、煙草は吸えない退屈な日々だった。ほとんど暇なときは、空を眺めて、結局暇なままだった。

毎日真理が来てくれたから、そのときは暇つぶしになった、逆に、監視でもあったからタバコが吸えなくて辛かったが。

真と八重刃は、三回ぐらいしか見舞いに来ていない。ユーニにこき使われているんだろう。

心の整理がどうついたか知らないが、真もマシな顔つきになってた。

次の一本を吸おうとすると、屋上へ続く扉が開く音、見つかっちゃさすがにまずいから急いで隠した。

「叢紫、ここにいたんだぁ」

屋上に上がってきたのは、真理だった。

にこにこ笑いながら近づいてくる、何かいいことでもあったんだろうか?

「ねぇ、今日ね……て、なんか、臭うんですけど?」

「ん? そうか?」

やばい、鋭い嗅覚で察知された。適当にはぐらかそうとしても、もう遅い。

「ちょっと! 煙草吸ったでしょ!?」

「ん〜、あぁ、まあいいだろ? どうせ今日で退院なんだし」

「いくないよ! 退院するまでは駄目って言ったじゃん!」

俺の体をあんじて怒ってくれてるのだろうか。

「あ〜……悪かったな」

適当に謝っておく。

「もう、それだけだからね!? どうせ午後になって退院すればどんどん吸うんだから、そこまで我慢!」

「はいはい」

うるさいなぁ。

「で、話を戻すけど、今日って、何の日だかわかってるよね?」

「あ? 退院日、つまり俺の煙草解禁日」

「それだけ? 本当にわかってないの?」

ん〜、なんかあったか?

「もう! 今日は叢紫の誕生日でしょ!?」

……ああ、そうか、最近日付を確認してなかったから、すっかり忘れてた、自分の誕生日なんて。

「で? それがどうしたんだ?」

「……だから、誕生日、おめでとう……」

恥ずかしそうに顔を赤らめていって、最後のほうは消え入りそうだった。真理らしくもない。

「あんまうれしくないがな」

「ちょっと!? 後、はい、これ、プレゼント!」

はずかし紛れに、押し付けるように箱を渡してきた。

「開けていいか?」

「いいよ、別に」

紙を破いて、中の箱を開けると、でてきたのはジッポ、少し上等な奴。

「……あぁ、こんなものより、煙草本体のほうが俺はよかったなあ……」

「なんでそんなこというのよ!?」

頭を殴りつけられた、グーだったけど、病人に手加減してるのか、ほとんど痛くない。

頭を抱えてその場から逃げる。

「嘘、冗談だ。……ありがとうな」

「どう……いたしまして」

もう一度顔を紅潮させて、真理はそっぽを向いた。

俺達の二人の上では、相変わらず、煙草の煙のような白い雲が青い空を流れ続けていた。



これで、とりあえずは、この物語はひとまず幕が降りました。今まで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。

とは言うものの、叢紫の物語は、まだまだ続く可能性があります、まだ書ききれていませんし。でも次回を書くのはいつになるかわかりません、なにぶん、勢いだったもので。


ここで、小話、この作品が生まれたきっかけ。

はじめに出てきたのは、煙草を使った魔法(法術)でした。これかっこいいんじゃね? という感じで友達と盛り上がって、それで、しばらく経ってから、じゃあこんな話はどうだ? と俺の中で膨らんできました。

始まりは、キャラとか世界観よりも、あの煙草法術でした、なので、読者の皆さんにも、あの技のかっこよさが、伝わっていると幸いです。


続き読みたい! ッて人は、感想とか、評価とか、してくれるとうれしいし、とても参考になるし、 あぁ、じゃあ書こうかな! という気持ちに俺もなるので、どんどんしてください。

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