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第3話 初期設定


ダンジョン作りには【DP(ダンジョンポイント)】というものを使用する。


このポイントは初期設定の段階で1人につき1,000DPが支給され、ダンジョン作成後はいくつかの方法によってこれを獲得出来る。


DPの獲得方法は以下の通り。

・ダンジョン領域内に【魔力】を持つ者が滞在する。

・ダンジョン領域内で魔力を持つ者が魔力を使用する。

・ダンジョン領域内で魔力を持つ者が死亡する。

・ダンジョン領域内に漂う魔力を吸収する。

・金銭や物品を邪神に捧げ、その対価として受け取る。

・イベントやランキング、バトルの報酬として邪神から受け取る。


と、ヘルプ機能を使用して分かったのはこんなところだ。


そしてこのDPの用途は多岐に渡る。

ダンジョン領域の拡大、罠や宝箱の設置、配下となる【魔物】の召喚、といったダンジョン作りに関わるものから、家具や食料、日用品などの購入にも使えるらしい。


これらを踏まえて俺達の方針を話し合った結果、街づくりと並行してダンジョン作りもやっていこうという事になった。

このダンジョン作りに関しては、人を殺してDPを稼ぐという目的では無く、あくまで"自衛"の手段として用いるという方針だ。


ダンジョン作成後一定期間が過ぎると【ダンジョンバトル】というものが解禁されるらしく、他のダンジョンと争わざるを得ない展開が予想される。

ダンジョンバトルは互いのダンジョンの【ダンジョンコア】を破壊し合うという形式で行われ、コアを破壊すると相手の魔王が持つ"全て"を奪えるのだそうだ。


俺達から他所のダンジョンに喧嘩を売るつもりは無いが、好戦的だったり野心家だったりする者達からバトルを挑まれることはあるかも知れない。


そんな場合に備えてのダンジョン作りをして行こう、という事になった。


街づくりとダンジョン作り。

それらの内容を複合して話し合いをしていき数時間を費やした後、俺達は初期設定を終えた。



ダンジョン主:御厨 理久(みくりや りく)

ダンジョン名:とても住み心地の良いダンジョン Lv.1

所有DP:3,000/6,000

階層数:1

属性:罠

形態:地下遺跡

同盟:ひよこくらぶ Lv.1

同盟所属魔王:御厨 理久(みくりや りく)有栖川 来夢(ありすがわ くるむ)郷田 礼護(ごうだ れいご)吾武 莉那(ごたけ りな)佐俣 銀河(さまた ぎんが)羽根田 陽世子(はねだ ひよこ)[6/10]



俺達が作る街は事実上ダンジョンの一部となる。

ダンジョン内で魔力を持つ者が生活してくれるだけでも少量ながらDPが得られるという仕様だからだ。

だったらいっそダンジョン名もこんな感じにしてしまおうというノリでこの名前にした。


そして自衛用のダンジョン部分にはおもてなし要素は要らない。

普通なら獲物を誘い込む為にある程度の手心を加える必要があるのだろうが、それを一切合切排除して、嫌がらせに特化したダンジョンにするつもりだ。

その為属性は【罠】を選択した。

こうすることで罠類の設置コストが安くなるらしい。


形態として設定した【地下遺跡】は、ダンジョンを地下に伸ばしていく際に有利になるからだ。

【塔】や【城】は階層を上に広げる関係で目立つし、【森】や【深海】などは横に広げるという点では悪くないが、人を招くのには適さない。

地下遺跡は地下に広げていく形の為目立ちに難く、【罠】との相性も良いということでこれに決定した。


同盟の名前は悪ノリだ。

年長者である羽根田先生の名前を使った。

先生からは猛反対を受けた。

可愛かった。


同盟所属魔王の登録順はジャンケンで決めた。

俺以外は。



その他に決めたことで言うと、まずは場所だ。

これから俺達が行くことになる世界は、未開の地が数多く残されており、都市部以外はインフラもあまり整備されていないそうだ。


その為あまりにも僻地に設定してしまうと魔物などは誘い込めるかも知れないが人は訪れないし、かと言って大きな都市の近くに設定してしまうとすぐに人に見付かり、討伐の対象になってしまうかもしれない。

そんな事を加味した結果、俺達が選んだ地は【アデーレ大森林】という巨大な森に隣接する平原にした。


森の周辺には大きな街や小さな村、集落などがあるものの、選択した平原自体には人は住んでおらず、開拓次第で人を招くことが出来るという...なんとも都合の良い立地だ。

ある程度ダンジョンの防衛力が上がり、街が形になってくれば人の誘致に動き出せるというわけだ。


続いて、ダンジョンのハード部分。

ソフトの方は実際に現地を見てからにしようという事で、一先ずは側を作っていくことになった。


ダンジョン作成画面に移ると、ダンジョンの様子が立体的な映像として映し出され、それを見ながら作業が出来る。

めちゃくちゃ便利な機能である。


ダンジョンの領域は【階層】と【エリア】という形で増やしていくことが出来、階層を増やす為には1,000DP、エリアを増やす為には500DPが必要となる。

これは、立地や形態との相性によってエリアのコストが変わるようだ。

例えば砂漠に湖エリアを作るには膨大なコストがかかる、といった感じで。


俺達は6人合わせて6,000DPが使えるので、ハード面ではその半分の3,000DPを使うという事になった。


初期の段階だと【コアルーム】というダンジョンコアが鎮座している部屋のみしか与えられておらず、そこからエリアや階層を追加していき、自分達のダンジョンを作っていく事になる。


まず1階層目は【平原】を選択。

形態とは違うエリアだが、元々選んだ土地が平原だったので500DPで済んだ。

1階層目には他にエリアを追加せず、代わりに広さを最大に設定。

広さの調整は、狭める場合のDPは不要だが広める場合にはDPが要る。

今回は追加で500DPがかかったが、おかげで5k㎡という広大な土地を手に入れた。

入口は【全体】を選択したので、平原のどこからでも出入りできる。


2階層目、ここは防衛用兼住居用の階層になるのでエリア設定は【遺跡】を選択。

入口は【階段】を選択した。

結果、平原の一部に地下への入口が出現する。


広さの調整はせず、初期の1k㎡のままにしたが、それでも充分に広い。

階層の追加と遺跡エリアを追加した事で合わせて2,000DP。


これで3,000DPを使い切ったのでダンジョン作りは終了となった。


「よし。粗方設定出来たな。」

「みっくんおつかれー。」

「御厨くんありがとね。」

「おすおす。」


同盟には盟主というものがあり、これは多数決で俺がやる事になった。何故か。

ダンジョン主というのも登録が必要で、必然的に俺になった。何故か。


ウィンドウから同盟の申請を行いそれが受諾されると、俺が設定した内容が皆の画面にも反映される。

その為初期設定の操作は俺が行った。

大した労力では無いし、ギフト的に街づくりにもダンジョン作りにもあまり役立てそうも無かったのでこれくらいは...という気持ちで引き受けたのだった。


設定が終わってからの時間は街づくりやダンジョン作りの展望について話し合ったり、学校生活の思い出を振り返ったりして過ごした。


邪神の計らいで食事の必要が無い上に睡眠の欲求も無かったので、時間が余って仕方が無くなるかと思ったのだが...そんな事も無かった。

皆で話している内に初期設定の制限時間である24時間はあっという間に過ぎ去っていき、時間になると再び邪神が現れた。


「さてみんな、設定は終わったね?それじゃこれから君達を転送するよ。それぞれが選んだ土地に送るから、後は頑張ってねー。」


邪神はそれだけ言うと、手をひらひらと振る。


直後、俺達は光に包まれ、意識を喪失した。


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