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ビートルズの音楽が好きになれない

作者: 辛口カレー

いつの頃かは忘れたが、自分はビートルズのファンだと公言しているミュージシャンが、初めてビートルズを聴いた時の印象について、「曲の出だしを聴いた瞬間、まるで頭を殴られたような衝撃が走った」と語っているのを聞いた事がある。


その人に限らず、初めてビートルズを聴いたときに「衝撃が走った」と語るミュージシャンは多い。


ていうか、僕の経験と偏見によると、ビートルズのファンだという人のほとんどは、皆、口を揃えて「初めて聞いた時、衝撃が走った」と言っている。


カッコいいセリフを語っているところを申し訳ないが、僕はビートルズの曲を最初に聴いたとき、衝撃が走る代わりに虫酸が走った。


感想は、この一言に尽きる。

「うるせぇ」


騒々しくて耳障り。

うるさくて品が無い。

それからしばらく経って、ヘビメタを初めて聴いた時でさえ、これほどうるさいとは感じなかった。


しかもその歌声はただ吠えているだけで、発声がなっていない。


ジョン・レノン君。

キミは一度、ボイストレーニングの教室に通って、発声を一から学んだ方がいい。


あと、そもそも音量がおかしい。

音のバランスも悪い。

何だこれ。

アマチュアバンドのデモテープか。


オマケに何と歌っているのか分からない。

(英語で聞き取れないw)


ちなみに、僕が最初に聴いたビートルズの曲のタイトルは、

『I want to hold your hand』だった。


続けて『Twist and shout』が流れた。

相変わらずうるさい。

その次は『A Hard Day's Night』だ。


僕はそれ以上聴く気になれず、曲の途中でカセットテープを巻き戻すことにした。

(カセットテープを知らない世代のために補足すると、カセットテープを曲の途中で止めたままにしておくと、その部分のテープに折り目がついてしまい、次に聴いた時に音飛びが起きてしまうのだ。だからテープは必ず最初まで巻き戻しておくか、最後まで早送りするのが暗黙のルールなのであった)


これがビートルズの何かのアルバムだったのか、それは分からない。

当時中学生だった僕は、友達からカセットテープを借りて、それをステレオで流して聴いただけだから。


昭和を知らない世代のためにまたしても補足をすると、当時は中学生が大型ステレオを持っているというのは珍しいことであり、僕の友達にもそれを持ってる人は皆無であった。


最近は家庭用の大型ステレオなんてほとんど絶滅しているから若い人は知らないだろうが、当時はラジオチューナー、アンプ、イコライザー、カセットデッキ、レコードテーブル、CDプレイヤー、大型スピーカーがそれぞれ個別にステレオコンポーネントとして販売されていた。


コンポーネントの一つ一つを別々のメーカーから購入して組み合わせることも出来るのだが、メーカーは自社のコンポーネントを組み合わせてセットにしたものをシステムコンポーネント(システムコンポ)として販売するのが一般的であった。

(ただし、システムコンポというのはメーカー側の呼び方であって、購入する側の僕らはシステムコンポを指して『ステレオ』と呼んでいた)


中でも、先に挙げたコンポーネントが全て揃ったシステムコンポは、フルコンポーネント(フルコンポ)のステレオと呼ばれていた。


ここから先は自慢話になるので、できればドラえもんに出てくるスネ夫が自慢話をする時に流れるBGM(https://www.youtube.com/watch?v=QH8ai4B0CEI)を聞きながら読んでもらいたいのだが、まぁそれはともかく、当時は中学生がフルコンポのステレオを持つなんてあまりにも贅沢で、せいぜい一般家庭では親にラジカセを買ってもらって我慢しているのが関の山であった。


そんな中、当時中学生の僕は、このフルコンポのステレオを当たり前のように自室に持っていたのである。

当然、その音質はラジカセなどとは比較にならないほど優れていた。


お粗末な耳で音質の悪いラジカセの音楽を聴いて育ったパンピーとは違い、僕は中学生の頃からフルコンポのステレオで大型スピーカーから流れる高音質なサウンドを聴いて育ったエリートなのである。


ま、自慢話はこのくらいにして話を元に戻そう。


僕が友達からカセットテープを借りて初めてビートルズを聴いたというのは既に書いた通りだが、このとき聴いたカセットテープがどういう性質のものであったのかについては全く覚えていない。


その友達がビートルズの何かのアルバムを最初から最後まで録音したテープかも知れないし、あるいはビートルズの様々なアルバムやシングルの中から気に入った曲を寄せ集めて作ったオリジナルのテープだったかも知れない。


ともあれ、僕が最初に聴いたビートルズの曲は、先に挙げた騒々しい3曲であった。


無論、ビートルズには静かな曲もある。

『Yesturday』とか『Let It Be』なんかがそうだ。


ところが、僕が最初にビートルズの曲を聴いた順番がこんな感じだったため、残念ながら僕にとってのビートルズは、ただうるさいだけの音楽という印象になってしまった。


そしてこの印象は、今もそれほど変わらない。


ではなぜ、僕はビートルズの音楽をうるさく感じてしまうのだろうか。


おそらくは、僕が持っている溢れんばかりの音楽の感性が限りなくソフィストケートされているために、彼らの奏でる粗雑な音色とジョンの汚い歌声が僕に生理的な拒絶反応を引き起こさせるのであろう。


僕は音楽に関して、誰よりも優れた才能を持って産まれてきただけではなく、誰よりもその環境に恵まれて育ってきた。


そんな僕がビートルズの音楽をうるさく感じているのだ。

もはや彼らの音楽がうるさい事に疑問の余地は無い。


とはいえ、音楽的センスの欠片すら持たないキミたちが、素直に僕の感性に共感してくれるとは到底思えない。


そこで、なぜ彼らの音楽がうるさいのか、その理由を言葉で説明してみよう。


まず単純に、全ての音がデカい。

マスターボリュームが大き過ぎなのだ。

もっとdB(デシベル)を絞って録音すべきであった。


だが音量を絞っても根本的な解決には至らない。

その原因はドラムの音色と音量にあるからだ。


そもそもドラムの音質が悪すぎる。

音が汚ない。

そして、うるさい。


リンゴ・スター君。

なんでキミは外人なのに、名前がリンゴなんだ。

アップルじゃないのか。


いや、そんな事はどうでもいい。


リンゴ君。

キミが奏でるドラムの音は劣悪だ。

僕はキミに、ドラムセットを丸ごと一式交換することをお勧めしたい。


それと、キミは全体的にシンバルを叩き過ぎている。

『Twist and shout』なんかはその典型と言える。


シンバルを連打し、これがシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンとエイトビートを刻み続けている。

耳障りだ。

うるせぇ。


つかそれ、もしかしてオープンハイハットの音なのか?

どんなハイハットだよ、それ。


……とか思っていたら、タムもスネアもうるせぇ。


要するに、ドラムの音がほぼ全部うるさい。

(バスドラを除けば)


もしも僕がビートルズのレコーディングに立ち会っているプロデューサーかミキサーだとしたら、真っ先にドラムの音量を絞るであろう。

これで少しはバランスが保てるはずだ。


結局、この『ドラム耳障り問題』はビートルズの晩年まで続くことになる。


現在YouTubeに上がっているビートルズの楽曲は、たいていがリマスター版になっている。

そして、リマスター版ではオリジナル版に比べて明らかにドラムの音(特にシンバル)がセーブされている事が分かる。


例えば、次の2曲を聴き比べて欲しい。


Twist and shout (オリジナル版)

https://www.youtube.com/watch?v=VxOpl0RS4dI


Twist and shout (Remastered 2009版)

https://www.youtube.com/watch?v=2RicaUqd9Hg



ほらー。

だから言ってるじゃんかー。

ドラムがうるせぇって。


リマスター版でドラムの音がセーブされているって事は、「原曲はドラムの音が大きすぎました。ごめんなさい」って言ってるようなもんでしょ。


「初めてビートルズを聴いたとき、まるで頭を殴られたような衝撃が走った」なんて言っているミュージシャンは、いったいどんな耳してんだ。

これほど音のバランスが崩れているのに、どうしてすぐそれに気付かないのかなぁ。


すぐに虫酸が走った僕は、やっぱり音楽の才能に恵まれているのである。


どうだ。

分かったかい、リンゴ君。

キミは顔もブサイクなんだから、前に出てきちゃイカんのよ。


その点、YMOの高橋幸宏のドラムは、かっこよかったなぁ。

もしもビートルズのドラマーがYMOの高橋幸宏だったらと思わずにはいられない。


まるで精密機械のように正確で繊細なリズムを刻み、それでいて控えめで目立つ事なく裏方に徹するプロフェッショナルな彼がビートルズのドラマーだったなら、それだけでビートルズは洗練されたテイストを手にしていたはすだ。


やっぱ、リンゴ君は田舎に帰ってリンゴジュースでも搾ってなさい。

あと、ついでにギターは高中正義に、ベースは小原礼に変えた方がいいかな。


……って、それじゃ、サディスティックミカバンドになっちゃうか。

読んで頂き、ありがとうございました。

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