あァァァんまりだァァアァ
「えっ、まさかの安全確認なしですか。」
「ナビ子ができるって言ってから、居ても立っても居られなくなってすぐに実行したわよ。」
「転送に失敗して「いしのなかにいる」なんてことになったらどうするつもりだったんですかっ。」
「ナビ子ができるって言うんだから大丈夫なのよ。ナビ子に敵意があるなら今更転送の時を狙わなくても一番最初の頭に入ってきた時点で終わってるわよ。」
実際には、ちまちま無生物から実験を始めていくことだってできたんだろうけど、ワクワクする心には逆らえなかったのよ。
それに、最終的に人間で試すことになるんだからいきなり試してみたってあんまり変わんないわよ。
変な条件を満たして、物質電送機の研究開発をしていた物理学者みたいにハエと混ざっちゃうのもごめんだしね。
「…それはそうですけど。にしたって、もう少し慎重になってもよかったんじゃないですかね。」
「私も最初の実験台にされた身なので言いたいことがないわけじゃないですけど、能美先輩は浅草先輩のこと心配してるんですよ、きっと。」
「どっちも素直になるの。」
くりりんと瑠奈のフォローが沁みるわね。
頭ぽんぽんぐらいで許してくれないかしら。
「はいはい、危険なことはしないから安心しなさい。」
「わかってくれればいいんですっ。」
「それじゃあ、私はそろそろやすむわ。あなた達もちゃんと寝るのよ。」
「はい。おやすみなさい。」
「おやすみなさいなの。」
「それじゃあしばらくピロートークで…。」
須奈乃があほなことを言い切る前に自室に転送したわ。
くりりんと瑠奈の苦笑いが痛々しいわね。
部屋に戻って寝る準備を済ませてベッドに横になると、何気なくステータスを確認してみたわ。
なんか拠点数が100を超えて増え続けてるんだけどどういうことかしら。
これって多分、太陽たちがまだ絶賛降伏させまくってるってことよね。
夜通し続けるつもりなのかしら。
ちょっと待って。
ポイントが一万を超えてるじゃない。
どんなものと交換できるのかしら。楽しみね。
って、スキルガチャって何よ。
ちょっと期待してただけにガッカリだわ。
名前から察するにカプセルトイにスキルが入ってるものみたいなことよね。
ということはカプセルトイみたいに何が出るか開けてみるまで分からないってことなんじゃないの。
それが1000ポイントもするなんてぼったくりもいいところだわ。
当たりのスキルを引くまでにどれだけのポイント消費させる気よ。
だったら、私の最長老様もどきの能力開発の方がよっぽどマシじゃないのよ。
さあ、ナビ子。言い訳があるなら聞こうかしら。
『限定一個で用意した特殊スキルは既に交換されています。』
なんてことかしら。
ナビ子は律儀に特別なものを用意してくれていたっていうのに既に交換済みだなんてあんまりだわ。
涙がちょちょぎれるほどショックだわ。
あァァァんまりだァァアァ。フー、スッとしたわ。
ちなみにそれってどんなスキルなのかしら。
『敵勢力の戦力開示にあたるため情報提供することができません。』
知ることもできないなんてダブルでショックだわ。
どんなスキルか分かれば私の「自在」スキルで再現できるかもしれないのに本当に残念だわ。
こんなことなら「私のために」とか限定して特別なものをお願いしておけばよかったと後悔してしまうぐらいよ。
まさか本当にお願いを聞いてくれるなんて、ナビ子の正体は龍球から出てくる神様の龍だったのね。
なんてバカなことを言ってる場合じゃないわね。
相変わらず、ナビ子にとっての敵は他のダンジョン勢力である姿勢は崩さないのね。
そこまでして敵を見誤らせたい理由があるのかしら。
あ、いけないわ。
あまり考え事をしながら寝付くのは私の流儀に反するわ。
とは思いつつ、ポイントが大量にたまったらポイント交換できるものを増やしたりできないと困るわね、なんて考えてしまったわ。
だって今の交換できるものだとしょぼすぎてポイントの使い道に困りそうだもの、というところで眠りに落ちたようだわ。
次の朝、目が覚めると拠点数が五千を超えてたわ。
太陽たちは本当に夜通し作業してたんじゃないかしらと一瞬思ったけど、これは一人ひとり降伏させてどうにかなるような数字じゃないわね。
どうやら何かとんでもない方法を編み出したみたいね。
日課のストレッチをしながら、少しだけその方法を考えてみようとしたけど後で聞けば済む話だと思ってすぐ考えるのをやめたわ。
それに「スキルファーム」のほかに「ポイント開発」なんて使えるようになってるんだものこっちの方が気になるじゃない。
これってもしかしなくても昨日寝る前に考えてたことができるんじゃないのかしら。
とても楽しみね。
それと位階の名前がダンジョンルーラーからダンジョンモナークに変わってるけど、これはどうでもいいわね。
って、これから私がさらに大活躍するところなのにしばらく出番なしってどういうことよ。
あんまりだわ。
ちゃっちゃと出番作らないと強めにしばくわよ。
大阪編というか浅草伊代編は一旦ここまでです。
さて、次の舞台は一体どこへ移るのか、それとも東京に戻るのか乞うご期待♪
何卒、評価・ブックマークよろしくお願いします♪




