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けものは居ても のけものは居ない

SNSで拡散されている内容は、私たちが分かっている情報以上のことは書かれていないけど、適切に必要な情報だけを切り出して公開しているとも考えられるわね。

何にせよ、東京の方でも私と同じようにナビ子の声が聞こえてるダンジョンマスターがいて状況を把握し、情報を統制できているということなのかしらね。

それにしてはこの時間になってからの発信っていうのが少し引っかかってるのよね。

実は政府には極秘裏に活動しているダンジョン省みたいなのがあって、今回の件は自作自演…って線はないわね。

時間的にはこのワインバーが一番早い時間に投稿して、学生と病院関係が後を追い、さらに警察が追随しているから、おそらく民間人が警察に情報を流したというところでしょうね。


「太陽、移動設定からの切り崩しはもうできないみたいよ。そのうち空き地の話も広まるかもしれないわ。」


「なら、ラストスパートで行けるとこまで行く。逆に、今落とした所の周りにあった空き地が消えたおかげで知り合いを説得してくれるのも出てきているぐらいだ。」


「いっそ、四国とか九州、関東の方にも手を伸ばすんはどうやろ。今のうちに傘下にできたら転送で移動できる範囲がめちゃめちゃ広がるで。」


「それええなぁ。沖縄も加えよ。そしたら飛行機代なしでいつでも行けるやん。」


それを目的にするのはどうかと思うけど、移動範囲を確保するというのは悪くはないわね。

ただ、それを実現するにも闇雲に行動してては無理というものよね。


「当てはあるのかしら。」


「そこは任せとき。でも、伊代にも後で一肌脱いでもらうから覚悟しといてな。」


大桜のことだから何をしようとしているか想像がつかないでもないけど、ちょっとだけ怖いわね。

実際に脱いで肌見せろとか言い出しかねないんだけど。

まあ裸になれとは言わないだろうから、水着姿になるくらいを覚悟しておけばいいかしらね。


「ほどほどにしてね。」


「よっしゃ。ほな男子諸君、耳貸しぃ。ごにょごにょ…ごにょごにょ…」


太陽とハチ、昇が集められて小声で話してるけど、たまに「マジかよ」「ヤバくね」「下根が責任取れよ」とか聞こえてくるわ。

仕方ないわね。

とりあえず、任せて放っておくことにしたわ。


「ところで伊代先輩、封印解除していない怪物はどうしたんですか?」


「残った「いよカ」は全部五条くんに預けてましたよね。」


そう言えば、そうだったわね。

承太郎のことだから、迂闊に封印解除してたりして。


「修復で封印解除できるか試して寮が大騒ぎになってたりしてね。」


「それフラグって言うの。」


須奈乃のスマホから通知音がしたわ。

まさか、ね。


「はぁ、津雲台寮がクマ、サイ、ウマで溢れかえって大変なことになってるそうです。」


なんでそんなことになってるのよ。


「何かの拍子で「いよカ」の奪い合いになって、スキルが乱れ飛んだ結果、だそうです。」


「おバカなの。」


本当ね。何やってるのかしら。


「ただ、怪人たちは暴れることなく大人しくしてくれてるようですけど、寮生たちが興奮のるつぼ状態らしくて収集がつかないみたいです。」


「助けに行かないんですか。」


「おバカはどうでもいいの。クマさん達どうにかしてほしいの。」


そうね。

おバカな寮生には罰を与える必要があるみたいだけど、クマ男たちには落ち度はないものね。


「太陽、でしゃばるようで悪いけど、ちょっと寮生たちを懲らしめてくるわね。」


「え?なんかあったのか。すまん、よろしく頼むよ。」


「そういうことなら、私も実物を見ておきたいので連れてってください。」


「須奈乃も来たいの。まあいいわ、いざとなったら音響兵器として使うわよ。」


「…仕方ないですね。別にいいですよ。」


「私も手伝いますっ。」


「サファリパークの平和を守るの。」


「わかったわ。ついてきなさい。」


須奈乃、くりりん、瑠奈の三人を連れて津雲台寮に移動すると、予想以上の大混乱ね。

どうにかしてコミュニケーションを取ろうとしているのもいるけど、大半は珍品を扱うような感じでめつすがめつ眺めたり、触ったりしながら騒いでるわ。


「静かにしなさい。」


近くにいた子たちが私に気づいて後退りするわ。


「やべっ。第六天魔王が来たっ。」


「破壊神が降臨したぞ。」


またそれなの。

いい加減にしないと強めにしばくわよ。

っていうか、誰一人として同じことを言わないのはなぜかしら。

それにしても、一向に騒ぎが収まる気配がないのが気に入らないわね。


「いつまでだらだらとしゃべってんねんっ!」


私の似非関西弁に驚いた周りが水を打ったように静まり返ってくれたわ。

だけど、まだはしゃいでるのがいたから容赦なく例の麻酔銃の餌食にしてあげたわ。

直後にぱたぱたと何人も崩れ落ちたのを見て、また少しざわついたわ。


「死んだか?」


「殺したぞ。」


「私、しゃべっていいって言ったかしら。静かにしてなさい。」


改めて周りを見渡してみるけど、承太郎はいないわね。

もしかせんでも他でも騒ぎになっているのと違うか。知らんけど。


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