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誰が為のダンジョン

「私ノ「騎乗」ハ乗ルタメノ馬ガナイデスネー。」


「ゲームとかなら乗るものを選ばないんじゃないでしょうか。それこそバイクとか車とかの運転技術がすごくなっているとか。」


「ナルホドー。チョット試シテキマース。」


クリスはあっという間に部屋の外に出て行ってしまった。


「で、多田さんはどんなスキルを持っているんですか。」


「「射撃」です。一番戦闘向きっぽいですけど銃なんてぶっ放したら近所迷惑どころか事件になっちゃいますよね。そもそも銃なんて持ってませんし。」


「射撃ですかぁ。カッコいいですね。それで私のハートも撃ち抜いたんですね。」


撃ち抜いた覚えなんてありませんよ。

彼女が大学に入学したての頃に新歓コンパで出会った男が無理矢理部屋に上がり込もうとしていたのを体よく追い返してあげてからこんな感じなのだが、こんなオッサンを揶揄うのがそんなに楽しいのだろうか。

下手したら彼女のお父さんより私の方が年上だと思うのだが。


「スゴイデース。自転車デウィリースルナンテオチャノコサイサイデシター。」


クリスが勢いよく戻ってきた。

どうやら自転車で試してきたらしい。

これはどうやれば戦闘に活かせるだろうか。

仮免ライダーみたいにバイクアクションとかで体当たりとかしちゃうんだろうか。

それも戦闘時に都合よく乗れるものがあればの話だけどね。


「クリスがなんでも乗れるなら多田さんもなんでも撃てるんじゃね?」


「指鉄砲とか?w」


そう言って樋渡さんが指鉄砲を尾茂さんに向けて「バーン」とやると尾茂さんは「うぅっ」と崩れ落ちた。

尾茂さんは大阪人ではないがお笑いの人なのでそこら辺の機微には素早く反応する。

指鉄砲ねぇ。

何気なく私も右手で形を作り「バーン」と言おうとしたところで確実に何かが装填されたのを感じ取り、慌てて指先を誰もいない方に向けた瞬間何かが発射された。

人差し指から出た何かは発射音こそしなかったが割と大きな音を立てて壁とその向こうのブロック塀に直径3cmぐらいの風穴を開けてしまった。

ブロック塀の向こう側のお宅までは被害がなかったようでほっとしたが、これ人とかに当たったら怪我どころじゃすまないよね。


「多田さん、うちにそれ向けないでね。フリじゃないからね。」


「大丈夫よぉ。いざという時は私の治癒で治してあげるから。」


「レベル1だと大変心許ないですけどね。」


「レベルヲ上ゲルタメニハヤッパリ繰リ返シ使ウコトデスカネー。」


「多分、それでいいと思いますけど今でもそれなりに使えているので上げることにこだわる必要はないかもです。それより、今後どうなるかですかね。」


「明日は普通にお仕事できるのかしら。」


「そうですね。事態を把握した好戦的な人物がやりたい放題をしたら社会情勢が一変してしまう可能性があります。」


そこで、ふと気がついた。

さっきの壁とブロック塀に開いた穴の大きさから考えて、向こうのお宅の壁にも穴が開かないまでも少しぐらい傷がついてもおかしくなかったはずだと。

被害がゼロだったのでほっとしてしまったが、スキルの効果などはダンジョン内に限られるとしたら納得できるのではないだろうか。


「クリス、自転車は道路で乗りましたか?」


「敷地内ノ駐車スペースダケデス。ソレガ何カ?」


「皆さんも一緒に来てみてください。」


そう言ってコーポ大家の敷地の外に皆を連れ出した。


「尾茂さん、言霊を使ってみてください。」


「ん?いいけど。【笑え】。」


「…。」


「笑わ…ないですね。」


「やっぱり、スキルはダンジョン内にいる時にしか使えない。効果もダンジョン内に限られるんじゃないですかね。」


「なんてこったい。劇場では使えないのかー。」


問題にするのはそこですか。

その後、他の三人にも試してもらったが、やはり敷地外ではスキルは発動しなかった。

こうなるとダンジョンが不思議空間になっていて魔素だのマナだのなんとかってので満たされていて、それを元にスキルが発動してるんじゃないだろうかと思えてくる。


「とりあえず、やりたい放題できる場所は限られるようですから大学とか病院などは明日は大丈夫じゃないでしょうか。今後は、ちょっと保証できないですけどね。」


「お友達の住んでるところには…行かない方がいいですよね。」


「というか、設定が有効なら入ることができないと思います。」


「誰がこんなことしたのか分からないけど、何のためにこんなことしたんですかね。」


ダンジョン化の目的か…。確かに気になるところではある。

ダンジョンは私達に何をさせるつもりだろう。


『…。』


「天の声」は答えてくれないようだ。

知らないのか黙秘なのかの判断もつかないが、恐らく後者なのだろう。

その内、答えてくれる日が来るのだろうか。

それまで私たちが無事でいられればいいが。


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