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ぐるぐるぐるぐる

「秋田にもまだ知らんご主人様の一面があったんやなぁ。」


「そりゃ、そうだろ。それで誤解しないでほしいんだけど、性格とかの話じゃないんだ。医学部の知り合いが言うには、B抗原の関与が大きいのかもって言ってたけど俺にはそれ以上のことは難しくてよく分かんなかった。A抗原もB抗原も持ってないO型は何も聞こえないんじゃないかって言われて調べてみたら実際一人もいなかったけど。」


ふーん。

コロナの感染の話に似ているのかしら。

つまりナビ子もウィルスの一種みたいに考えられるということなのかしらね。

ちなみにこの場にいる人間でB型は私一人、AB型はハチと瑠奈。須奈乃と太陽、くりりんはA型で、大桜と昇はO型よ。

ハチは聞こえた気がしたかもって言ってたし、瑠奈ももしかしたら聞こえてたのかしら。


「私もナビ子って言うの?その声が聞こえるの。」


「瑠奈ちゃん、何にも言ってくれなかったじゃない。いつから?なんかショックだよ。」


「凜ちゃん、ごめんね。でも、ちゃんとお話したのはついさっきなの。」


瑠奈曰く、声が聞こえる聞こえないの話を聞いてから会話を試してみたそうだ。

昨日は何か聞こえたような気もするし何も聞こえなかったかもしれないぐらいらしいわ。

それでも今日、私と一緒にいる間に一度だけはっきりと声が聞こえたことがあったそうよ。

そう。位階が上がった時よ。

もしかしたら私といる間に感化されたとか、親和性が高まったとか何かあったのかもしれないわね。

そもそもナビ子は自分から話しかけてくることはないし、基本的にお知らせしかしてこないからちゃんと意識して聞いてないと気のせいかって思うのも仕方のないことかしらね。

とりあえず他の人たちはナビ子の声らしきものを聞いたことはないってことだけは確認が取れたわ。


「先輩、凜ちゃんにやったスキルを増やすのをB型かAB型の子にやってみたらどうですかね。」


それはいいかもしれないわね。

スキルの獲得をナビ子は通知してたから、本当にBとABに適性があるなら聞こえるのかもね。

ということでB型の生贄が連れられて来たわ。


「はにゃ〜ん。寮長に頭触られるなんて夢みたいですぅ。もう一生この髪洗いません。」


それはやめておきなさい。

特にあなたはロングなんだから数日でとんでもないことになるわよ。

他の寮生から苦情がきたら追い出すから本当にやめておくのよ。


「わかりました。後で髪を剃って永久保存することにします。」


それもやめておきなさい。

私が体罰与えたみたいになるじゃない。

ウィッグつければ大丈夫なんて言ってるけど絶対やらないでよ。


「須奈乃、せめて今この瞬間だけでも撮っておいて。お願いっ。」


「しょうがないわね。」


なかなか話が進まないじゃないのよ。

準備万端整ったところで何か聞こえたら教えるのよと念押ししてスキルを獲得させたわ。


「あ、なんか小さくて聞き取りにくかったですけど今誰か話しかけましたか?」


勘違いがないように周りは静かにしていたから誰かの声ってことはないわね。

ということはナビ子の声ははっきりじゃないけど聞こえたみたいね。


「どんな風に聞こえたのかしら?」


「はっきりとは判らないけど『スキルを獲得しました』みたいに聞こえたかもです。って「保存」のスキルがあるじゃないですかっ。もしかしたらこれで寮長の…ぐへへ。」


失敗したわ。

この子の欲望に引っ張られた感じになっちゃったみたいね。

まあ生贄になってもらった報酬と考えれば許容範囲と言えるかしらね。

嬉々として小躍りする生贄を解放したところで、須奈乃から一報がもたらされたわ。


「先輩、ネットにダンジョンの移動制限の解除法とかが出回り始めたみたいです。」


承太郎が寮に帰ってから何の気なしにSNSを見てたらしいわ。

建物が消えてしまった風景が結構なトレンドになってしまっているようで、それを追っているうちに「建物の敷地から出られなくなっている人へ」や「行動の自由を確保してください」っていう投稿が拡散され始めていることに気づいて須奈乃に連絡してきたみたいね。

拡散されている投稿を見てみるとステータスのことやダンジョンマスター、さらに移動に関する設定方法について詳しく書かれているわ。


「要点を抑えてしっかり書かれているな。投稿者は…東京のワインバー?なんだそれ?」


「こっちは東京の学生みたいです。内容はほぼ一緒ですね。」


「病院関係でも同じようなの広まってるなぁ。」


「警察もグルなの。」


そんなこと言うなんて瑠奈は意外と闇が深いのかしら。

Gに対する執念というか暴走モードはとても微笑ましいとは思うのだけどね。

ちなみに、グルの語源って英語のgroupグループから来ていると思っている人が多いみたいだけど、江戸時代には浄瑠璃とか歌舞伎の舞台の中で使われていたことが判ってるみたいよ。

意味は現在と同じで、悪だくみをする仲間や共謀者のことを指して使ってたそうよ。

でも「ぐる」っていうそのものの語源は不明なんだって。

一説には、着物の帯を体にぐるりと巻くから「ぐる」って呼ぶことがあって、それが派生して広まったっていうのもあるみたい。

ぐるぐる巻きとかもあるけど、そこにも結びついてこないみたいなのよね。

帯の話が出たついでに思い出したけど、コントとか時代劇でも見たことある女性の帯を引っ張って独楽のように回して解いちゃうお約束のアレって一度はやってみたいわよね。

え?やられたいんじゃなくて私がやりたいのよ。瑠奈、やらせてくれないかしら。

「いいではないか。いいではないか。」ってね。


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