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能力開発

「それって餌にしちゃいけない特別なスキルってことじゃないっスか。」


一人で悩んでても埒が明かないし、ナビ子は漠然とした質問には答えてくれなかったから、皆に状況を説明して得られたのが先の承太郎の言葉よ。

それとウマ人間を何人か解放するためにもう一度ウマアパートに向かっているわ。


「ゲームとかでありがちなのは他のスキルを餌に強化したり、合成して別のスキルを生み出したりっていうのがあるっス。」


「ということは使用したスキルはなくなっちゃうのね。」


「普通はそうっス。」


ということは「原典」は余程特別なスキルということになるわね。

最初にまともに見られるステータスを見たときには既にあったわよね。

今なら名称から察せられる能力もなんとなく判りそうではあるけど、そんなことよりもっと大きな問題があるわ。


「スキルファームが複数のスキルを必要とするんじゃないかっていうのは予測がつきましたけど、私たちって一つずつしかスキル持ってませんよね。人を跨いで使えそうですか?」


「うーん、できそうにないわね。」


スキルを一つしか持っていない人間は操作を開始することすらできないみたいだわ。

どういうことよ。

せっかく便利な機能が使えるようになったはずなのに、使用条件が満たされていないって不親切設計もいいところだわ。

誰よ、こんなろくでもないこと考えたのは。


「先輩がスキル増やしちゃえばいいの。」


「それいいっスね。竜人の最長老みたいな感じで潜在能力を引き出しちゃえばいいんっスよ。」


何を馬鹿なことをと思ったけど、試してみる価値はありそうね。

シチュエーションとしても再現できるなら、是非ともやってみたい一つだもの。

ということで、ウマアパートに到着すると早速試してみようと思ったのだけどやけに暗いわね。

とりあえず、一体のウマ人間を封印解除して自室に案内させたわ。


「何回見ても非常識極まりないですね。」


「競馬させると楽しそうなの。」


「馬肉、割と好きっス。」


相変わらず、好き勝手なこと言ってるわね。

そう言えば、2022年(ことし)の4月1日から民法改正で成人年齢が18歳に引き下げられたけど、競馬の勝馬投票券、いわゆる馬券を購入できるのはこれまで通り20歳からよ。

ちなみに2004年までは20歳以上でも、大学生や専門学生は馬券を買えなかったのよ。

こういうのは競馬法で定められているわ。

これは成人で、これは20歳で、とか変わったもの変わらなかったものがあって気にしない人は知らなかったで済ませちゃうかもしれないけど、これから法を仕事として扱う予定の私としてはそういうわけにもいかないのよね。はぁ。


部屋に入ると明かりは点いていなかったけど、スイッチを操作したら明るくなったわ。

ウマ人間にはこれまで同様に大人しくしてるように言い含めて、早速実験開始よ。


「いい、くりりん。「ま、まさか。そんな力なんて残ってませんよ。さんざん修業したんすから。今でさえもう限界を超えてるくらいなんすよ。はは。」って言うのよ。」


「…それ、絶対言わなきゃダメですか。」


「しょうがないわね。じゃあスキル獲得に成功したら「あ…あわわ…ち…力が…力が…」だけでいいわ。」


「…マジですか。」


「凜ちゃん、がんば。」


くりりんの頭に手をのせると獲得させるスキルをイメージするわ。

くりりんに使ってほしい技と言えば、もちろん気の円盤を投げつけるあの技よね。

そう、これを身につけるのよ、と集中した時に邪魔が入ったわ。


「ひいっ!」


承太郎の前をGが横切ったみたいね。

Gは本当にしぶといわね。

地上から消えた建物の中でも生き残ってそのまま地上に戻ってきたのかしら。

瑠奈が暴走モードに変わってしまったわ。


「悪即斬なの。」


「あ…あわわ…ち…力が…力が…」


顔を赤らめながらセリフを言ってくれたということは、どうやらスキルの獲得には成功したみたいね。


「でも、思ったのとは違うスキルになっちゃったけど仕方ないわね。」


「「悲鳴」ってどう使えばいいんですかね。」


「多分、自分のせいっスね。すいませんっス。」


「いいのよ。どうせ消える予定のスキルだし。とりあえずスキルを新しく獲得することは出来たから良しとしましょ。」


ただし、ポイントを少し消費するみたいだから無制限に増やせるわけではないわね。

ポイントの増やし方も検討した方がいいのかしら。

それにしても、これでようやくスキルファームとやらを試すことができるわ。

頭の中でぽちぽち操作してみると割とすんなり理解することができたわ。


「ベースに選んだスキルのレベルを上げる「強化」っていうのと、選んだ全てのスキルを元に新しいスキルを作る「変異」っていうのができるみたい。もうひとつあるんだけど実行できなくて効果も判らないわ。」


「もう一回位階を上げる必要がある、とかですかね。」


「どうかしらね。まあ、そのうち使用条件を満たすんじゃないかしら。」


実のところ、使えないってほどじゃないけど、思ったほど有用って感じはしないわね。

私の「自在」が特殊過ぎて、強化しなくても十分に使えてるし、変異させる必要性も感じないもの。

くりりんたちも自分のスキルを十分に理解してその能力を引き出せば何の問題もないと思ってるわ。

もちろん一人で何でもできる私と大きな差があるのは仕方ないけど、皆が私と同じになる必要はないじゃない。

各人が単独でことにあたる責任も義務もないのだから、補いあって協力すればいいだけのことよ。

そもそもスキルありきで考える必要もないわね。

突然与えられたスキルが、突然失われることがないとも限らないもの。

仮初めの力に頼り過ぎて自分を見失っちゃダメよね。


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