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胃痛が痛い

「お前ら、何騒いでるんだ。どうせ浅草が悪ノリしてるんだろうけどよ。」


「太陽、あんたまだ自分の立場が判っていないようね。須奈乃、こいつったらねー。」


「判った、判ったから。まったく大人しくしてれば観賞用最高級胡蝶蘭なのに、口を開くとその悲鳴で人を死に追いやるマンドラゴラも真っ青なんだから手に負えないよな。」


「何か言った?」


「いや、何にも。ところで俺はどんな用で呼び出されたんだ。」


「さあ?とりあえず何か情報が得られればいいかなって。」


「っ痛ぅ…ちょっとざっくりし過ぎてやいないか。そんでもって扱いがひどすぎないか。」


「お腹大丈夫ですか?伊代先輩ですからね。扱いについては別に気にしなくてもいいんじゃないですか。名実共に伊代先輩の下僕になったみたいですから。」


「な、何を言ってるんだ。だ、誰が浅草の下僕になったって言うんだ。」


「気付いてないみたいだから教えてあげて~。」


「猪飼先輩、ステータスオープンって言ってみてください。」


「は?ステータスオープン…ってなんじゃこりゃ。なんでこんなものが見えて…いや、それより俺が浅草の配下になってるってどういうことだよ。」


「見ての通りそういうことだよ。頑張ってくれたまえ、下僕くん。」


とりあえずは新しい下僕に、といっても前から下僕みたいに扱ってたから新鮮味はないのだけど、こちらで把握していることを掻い摘んで説明してあげると頭の出来は良い方なのですんなりと理解したようだわ。


「はぁ、で、これからどうすんだ?」


「全国制覇するのも悪くないんじゃない。取り敢えずは大阪を平定して京都、兵庫にも乗り出してちゃっちゃと関西を牛耳っちゃいましょ。」


「お前が言うと冗談に聞こえないから怖いよな。」


「当たり前じゃない、本気だもの。そういうところが判らないから一年前に私にフ」


「ワーワーワー、何かなー?えーと、こういうのって日本全国で起きてるのかなー。」


「そんなの知らないわよ。だからあんたもちゃちゃっと動いて精々役に立つのよ。いいわね。」


「コホン。ならとりあえずは刀根山寮、清明寮、新稲寮の状況確認かな。後は、お前たちがやっていたように寮生の能力確認か。」


「先輩、ダンジョンって普通は探索してモンスターを倒したり、宝物を見つけたりするんですけど私たちって何すればいいんですかね?」


「普通って何よ。みんなと同じことしてたってつまんないじゃない。一度しかない人生よ。思った通り勝手気ままにやりなさい。ただし、法を犯さないで自分で責任の取れる範囲でね。間違って一線を超えた場合は弁護してあげるから安心しなさい。自由奔放にやり過ぎたのは容赦しないわよ。」


そう、言い遅れたけど私は法学部に通い弁護士を志す才色兼備なの。

でもありがちなTVドラマに出てくるような人情派とか弱者の味方になりたくてってわけじゃないわ。

私は私の正義を通すために弁護士になるの。

気に入らない奴はいくら金を積まれたって絶対に弁護なんてしてやらないんだから。

ましてや後ろ暗いことがある奴なんて法で護られても私が絶対に護ってやらないんだからね。

秘書とかに責任の全てを押し付けて知りません存じませんなんて言い逃れするような奴なんて以ての外ね。

そんな奴は徹底的に私が叩きのめしてあげるわ。

そういうことしたいなら弁護士じゃなくて検察官の方がいいんじゃないかって思う人もいるかもだけど、国家権力を笠に着るっていうのがどうも私の性に合わないのよね。

私は私の力だけで気に入らない奴をぶちのめしたいの。


ちなみに司法試験には去年のうちに合格済みよ。

史上最年少で合格という訳にはいかなかったけれど志したのが花も恥じらう高校三年生になってからだったからまあまあなんじゃないかしら。

参考までに現行の司法試験制度に移行してからの最年少合格者は18歳らしいわ。(※令和5年に16歳に更新)


「猪飼先輩は刀根山寮とかもここと同じようになってるって思います?」


「逆にここと津雲台にだけこんなことが起こってるって思う方が不自然なんじゃないかな。自分たちだけ特別みたいな風に考えられるほど俺の頭は目出度くは出来てないんでね。学生寮全て、もしくは学生全てに起きてるかもな。」


「そうね、全く的外れではないと思うけどまだまだ甘いと言っておこうかしら。今日は何か特別なことがあったのを忘れてないかしら。」


「皆既月食か。」


「天王星食ですね。」


「その両方が関係しているのかもね。何がどうなってこうなったかは私が知るところじゃないけど、その二つが関係しているとしたらもっと広い範囲で私たちに起きたことが発生しているんじゃないかしら。」


「だとすると大変ですね。」


「とりあえず俺はさっきの方向で手の届くところまで手を伸ばしてみるわ。」


「頼んだわね。ところで、太陽のスキルって何なの?」


「…あんまり言いたくないんだけど。」


「それが私に通用するとでも?」


「…だよねぇ。…「胃痛」だ。」


「…ふうん、名は体を表すとはよく言ったものね。」


「あんまりだろ。こんなものがスキルだなんて。」


猪飼いがい太陽たいようのスキルが胃痛だなんて何の冗談かしら。

「頭痛が痛い」や「右に右折する」に匹敵するわね。


次話は来週ですかね

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