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レベル7

樋渡さんは既に二つスキルを持っているが、有用な「治癒」を失うことは避けたいので三つ目のスキルを取得してもらおう。

ポイントは順調に増えていて今は30万を超えている。

ガチャりたい放題だ。

一応、私に最初のスキルガチャを使おうとしてみるがやはり使うことはできなかった。

最初のガチャは二つ目のスキルを増やすことしかできないというのは変わっていないようだ。

ということで、お断りしてから面近さんにスキルガチャを使用する。


「優しくしてくださいね。」


「できるだけそうしてみます。」


スキルガチャを優しく使用するなんて私にはどうしていいか判らないが、とりあえずそう答えるしかないでしょうよ。

結果は、まさかの当たりだった。


「多田さん、私やりましたよ。多田さんとの愛の結晶ですね。」


面近さんが習得したのは「旋風」。

名前から察すると風を起こせそうなんだけど、部屋の中で試してとっちらかると面倒なので後ほど外で確認することにした。

風を操れるなら攻撃にも防御にも使えそうな優れものの可能性があるので、失うのはもったいない気がしている。


ということで当初の予定通り次は樋渡さんに三つ目を取得してもらうことにした。

スキルガチャ改の五回目の使用で「溜息」に続いてこれまた微妙な「休息」を習得した。


「私、こういう運要素の強いものって基本的にダメなのよね。」


「多田さんへの愛が足りないからだと思うのですわ。」


そんなことは…横にいる白面の懐きっぷりと「影縫」を取得したことを考えると完全に否定することもできないかもしれない。

これならということで早速スキルファームを試してみることにする。

操作方法は二つ以上のスキルを選択して実行するようで、得られる効果にはいくつか種類があるようだ。

ひとつはベースに選んだスキルのレベルを上げる「強化」、もうひとつは選んだ全てのスキルを元に新しいスキルを得る「変異」、もうひとつ種類はあるのだが今は実行できないようで効果も判らない。

ファームというぐらいなので全体的に品種改良っぽいことをするんだなということは理解した。

大体のことは把握できたが、さてどうしましょうかね。


「「治癒」を強化できるところまでしてみるのもアリかなって。そうしたらさっきの話が一気に現実味を帯びて…。」


「御殿が立つのですわ。」


「そうですね、治療費云々のことは置いておいてもスキルガチャ改を使いまくるよりはスキルガチャの方がポイント効率が良さそうですしね。スキルガチャで有用なものが出るまでは「治癒」を伸ばしてみましょうか。」

ということで「治癒」をベースに「溜息」と「休息」で「強化」してみる。


「おー、治癒のレベルが4から7になったね。」


「溜息」もレベルが3まで上がっていたこともあって一気に上がったようだ。


「私、失敗しないのでって言いたくなるくらい今ならどんな怪我でも治せそうな気がする。」


「私もその台詞を是非一度私生活で言ってみたいですわ。」


この後、スキルガチャで取得した微妙スキルを二回「治癒」の「強化」に使ってみたが「治癒」のレベルが8になることはなかった。


「レベル1のままだと効率があまり良くないのかもしれませんね。」


「じゃあ、次に取得できたのをレベル2にしてから試してみますか。」


ということで次に取得できたのが「守護」。


「これは餌に使うのがもったいなさそうな感じですね。」


「名前から察するに仲間を守る系ですよね、多分。」


「バリアとか張れそうですわ。「旋風」と対決してみるのですわ。」


ということで外で試すことにしたのだが、ちょうど尾茂さんが帰ってきたところだった。


「大変だったよ。一線級の芸人さんは移動制限かかってる人が多かったみたいで代打頼まれまくっちゃってほぼ朝から働きっ放しでさっきやっと解放されたよ。」


「それは大変でしたね。お疲れさまでした。」


「連絡取れなくなっちゃってる知り合いも結構いて、多分そいつらは怪物になっちゃったんだと思う。」


「それは…残念でしたわね。お気の毒なのですわ。」


「私に任せときなさーい。もし、怪物化がウィルスみたいなものとかの影響なら私がなんとかできるかもしれないじゃない。なんたって「治癒」のレベルが7ですからね。」


「え、マジ!?なんでそんなに上がってんの。」


尾茂さんにスキルファームのことを含めて今日あったことを簡単に説明する。


「へー、それでこれから新しいスキルを確かめてみようってことなんだね。」


「じゃあ、万が一奈美さんに何かあって治癒が使えないと大変ですから、令子さんが「旋風」の標的になって奈美さんに「守護」で護っていただくってことでどうでしょうか?」


「なんでうちが…しょうがねえなぁ。おら、どんとこい。」


この後、尾茂さんが「旋風」によって軽く吹き飛ばされて地面にお尻から落ちてとても痛そうだった。

「守護」は「旋風」に対して効力を発揮しなかったようだが、あの高さから落ちた割には尾茂さんのお尻の被害は軽かったようで物理的なダメージには有効じゃないかということに落ち着いた。

尾茂さんのお尻に対して「治癒」が有効活用されたことは言うまでもない。


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