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心の内

ちなみに封印して無力化する前の怪物に面近さんの「読心」を使ってもらったのだが、何も読み取ることはできなかったそうだ。

ダンジョンの支配から解放されるまでは思考さえも操られているというか自我さえないということなのかもしれない。


他にも考えなきゃいけないことがあったような気がするけど、次から次へと何かが起きるし、根本的に一人で落ち着いて考える時間が少なすぎるのだ。


「旦那様、お疲れでしょうからそろそろお休みになられますか。それで、どちらにするかお決めになられましたか。」


「このエロポリスはミニスカートを見せびらかせて一体何をしてるのですわ。正気の沙汰でないのですわ。」


こんな調子ではよほど集中しないと出る答えも出そうにないね。

コーポ大家に戻ってきたけど休む暇さえないよ。


「何を仰られてるのかわからないですね。今日はフライデーナイトであってサタデーナイトではありませんよ。」


「誰もそんな話はしていないのですわ。そんなに冷静に言い返されるとおかしかったのは私の方みたいに思えてくるのですわ。」


「お菓子買ったのがあなたでHoldホー me tightタイとはどういうことでしょう。抱きしめてほしいということでしたらお断りします。」


「多田さん、安藤さんが私の話をちゃんと聞いてくれないのですわ。あんまりなのですわ。」


聞いていないわけではないと思います。

感性が違うというか、感受性が違うというかそんな感じじゃないでしょうか。

真面目に相手をしていると疲れるので、今日のところは速やかに撤収していただくことにしよう。

と思ったところで、「天の声」が響く。


『拠点数が規定値に達したので位階が上がります。』


あー、やっぱり上がっちゃったかぁ。

呼子にいる時に既に200超えていたから覚悟はしていたけど、案の定256を超えたところで位階が上がったようだ。

これで更に考えなければならないことが増えることだろう。

と思い悩む私の視界の中に対照的な表情の女性が二人いた。

意味深長な微笑みで私を見る安藤さんと、その安藤さんを怪訝そうな目つきで見る面近さん。


「明日は昼食を済ませてから大阪に向かわれますか。それとも大阪か別のところに行って昼食になさいますか。」


キリッとした表情に戻った安藤さんの口から出た言葉がそれだった。

ついさっきまで面近さんとじゃれ合っていたのが嘘みたいだ。

ネギ入り君、じゃなくて根岸君だったっけ。

彼のささやかな願いを叶えてあげるために彼が仕入れているだろう情報で名物を食べに行くことにしましょうか。


「それでしたら12時前にお迎えに上がります。あなたも一緒に行くのでしたら準備して部屋で待機していなさい。」


てっきり安藤さんは面近さんを明日の会談に同席させるつもりはないのかと思っていたのだが、そうでもないようだ。


「それでは自分はこの辺で失礼いたします。あなたも旦那様の邪魔にならないように早く自分の部屋に戻ることを推奨します。」


そう言い残すと安藤さんはとっととお帰りになられてしまった。

拍子抜けするくらいあっさりと帰ってしまうので、逆に何か裏があるのではないかと疑ってしまうほどだ。

それこそ私が寝入った後にこっそりと忍び込んでくるとか。

別にミニスカート姿の安藤さんと甘美で耽美な時間を期待していたなんてことは全然全くない。ないったらない。


「多田さん、あの人変なのですわ。」


確かに少し変わった性格というか性癖はお持ちのようですが、そんなに世間一般からかけ離れているというほどでもないと思いますけど。


「違うのですわ。何をお考えなのかよくわからないので何回か「読心」を使わせていただいたのですわ。でもその度に心の奥底で考えていることが変わっているみたいで余計に判らないのですわ。それこそ人格が入れ替わっているんじゃないかと思うくらいなのですわ。」


なるほど。

それで二人のというか面近さんの挙動に変化があったということなんですね。

そういうことならそれは安藤さんのスキルによるものかもしれないです。

安藤さんの所持スキルは「偽装」ですから。


「スキルで本心を隠しているということでしょうか。」


そんな感じで使ってるかもしれませんが、頭のいい方なのでもっと意外な使い方をしてるかもしれませんね。

とにかく面近さんの「読心」でも本心が判らないということは安藤さんが何かしらしているのは間違いないということでしょうから、そのことを頭の片隅に止めておくとしましょうか。


「私もできるだけのことはしてみるのですわ。それで、安藤さんは置いていきましたけど私はどちらを使えばよろしいのでしょうか。」


面近さんにミニスカートを持たせると問答無用で自分のお部屋に転送させて(お帰り)いただきました。

その直後に面近さんの部屋の方から「あんまりなのですわぁ」と大きな声が響いていた。


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