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猿げっちゅ

「旦那様、それでは参りましょうか。」


「はい?」


どこへ行くというのだろう。

十分に美味しいものをいただいたので、これ以上はもう食べられませんよ。


「ある意味では平らげていただくのですが、別にお腹に入るものではありませんので大丈夫かと思われます。」


「食後の軽い運動だと思えばいいのですわ。多田さんならすぐに済ませられるのですわ。」


それってまさか子作り…ではありませんでした。

勝手に勘違いして狼狽した自分が恥ずかしいです。

連れてこられたのは小さな集合住宅の前。そう、怪物化してしまったダンジョンでした。

呼子の辺りは住宅のほとんどが一軒家の町だけど、ぽつんぽつんと数えられるほどの集合住宅があってその半分ぐらいが怪物化しているので、私が全て傘下にいれてしまいましょうということらしいです。

いつの間に二人でそういう折り合いがついていたのかは謎なんですけどね。


「それではこちらでお待ちしております。」


おや、護衛役だからと絶対についてくると思っていたので拍子抜けだ。


「いろいろと隠しておきたいこともおありでしょうから、お一人で存分にお力を発揮していただければと愚考いたしました。」


私が怪物化したダンジョンを制圧するぐらいで後れを取ることはないと信じて疑っていないようだ。

実際、突進してくることしかしない獣人に今更危ない目に遭わされるとは私も微塵も思ってはいないけどね。

だけどそれって、護衛役というのはとってつけた飾りのようなものだって自分で言っているようなものではないでしょうか。


「私も拠点造りではお役に立てそうにありませんので、ここで安藤さんと二人で待っているのですわ。」


どことなく呼子に来ることを決めたあたりから二人の挙動が少し変わったような気がするのだけど気のせいだろうか。

まあ、元から若い女性の機微なんて判るはずもないし、気のせいということにしてしまおう。


ちなみにこの場所は最初に移動してきた場所から程ない所にあり、一旦は地上の建物が消えたものの例の複数拠点による影響範囲に入ったことで建物が戻ってきたことが確認されているそうだ。

ひとつの階に3つの部屋がある小さな二階建てアパートだ。

これぐらいの規模なら建物が消えている状態の地下に潜った方が一網打尽に出来て手っ取り早く済ませられそうだが、今回はこれまでと違う方法で制圧しようと思う。

そう、封印だ。

なかなかイメージが固まらなかったが、さっき陽が沈んだ後の空を見て閃いたんだよね。

言葉で説明するより見てもらった方がいいだろう。


ということで、アパートの一室に近づいてドアノブに手をかける。

いつも通り解錠された感覚が伝わってくるので静かに真っ暗な部屋に入り込むと先ずは一発放つ。

室内が明るく照らされるが、私が放った照明弾によるものなので目を閉じて備えていた私には普通に明るいだけだ。

室内にいたのは猿型の獣人のようで目が眩み初動が遅れているのをこれ幸いと封印にかかる。

連続で発射した何かが獣人の周りに狙い通りに着弾すると五芒星の形の魔法陣が発動した。

五芒星から光の柱が立ち昇り獣人の体を包み込むとあっという間にその姿が見えなくなり、光が消えた後に残ったのは一枚のカードだけ。

そのカードを拾い上げてみるとカードバトルで使われるような様式になっていて猿型獣人の画像が見て取れた。

うん、全て思い描いた通りの結果となり大満足だ。


もう判っていただけたかと思うが、夕陽の沈んだ後の空に見たものは星だ。

都内に比べると明らかに暗い空に瞬く星を見ていたら、星と言えば五芒星だよね、五芒星と言えば陰陽師とか魔術的な要素も持ち合わせてるよねってなって、それなら封印できるんじゃねとなったわけだ。

最終的にカードの形での封印となってしまったのはゲームとかの影響ってことで。

こうなってくると、紅白の球の中に封じ込めたくもあるが、弱らせないと成功率が低いとか余計なイメージが邪魔しそうなので一旦は回避かな。

とりあえず、猿型獣人ゲットだぜってことで次行こうか。


この後、部屋にいた全ての猿獣人を何事もなくカードに封印していくと最後の一体を封印したところで例の「天の声」が響く。


『敵陣を制圧したのでポイントを獲得しました。』


特別対策室の人たちが有効性を確かめているとはいえ、自分でも封印で制圧できることが分かって一安心だ。

さて、そうしたらもうひとつ確認しておかないとね。

最後に封印したカードに対して連射すると魔法陣が発動するが今度は五芒星ではなく六芒星だ。

封印と封印解除で明確に分けるために魔法陣も完全に別物にしてみました。

見る見るうちに魔法陣の上に人影が形を成すが、光が消えた後にそこにいたのはやはりというか猿獣人のままだった。

念のため襲ってきたときのために身構えていたが襲われることはなかった。

意思疎通を図ってみると、言葉は話せないようだがこちらの言っていることは理解できているので特に問題はなさそうだ。

お腹がすいたということなので異次元収納からバナナを取り出して渡すと美味しそうに皮ごと食べていた。

猿かよ。って、見た目は間違いなく猿だな。


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