そして伝説となる
それで、私と安藤さんが出会えたことが奇跡みたいなことっていうのはまだいいとして、それで私が創作物の正義の味方と同じような働きができるっていうのは飛躍しすぎと思うんですけど。
「自分にとって旦那様はまごうことなき英雄です。このダンジョン問題もあっという間に片づけて伝説の勇者となる日ももうすぐです。」
英雄とか伝説の勇者ってオルテガの子供じゃあるまいし。
なんか、安藤さんの中での私の存在感がおかしなことになってるんですけど大丈夫だろうか。
それとも安藤さん自身がフローラかビアンカでも目指しているとか、はないよね。
伝説といえば人物や生物に関するものもあれば、地名や遺跡などの土地に関するもの、鉱物や遺物とかいろいろあるよね。
神話や昔話とかも広くとらえると伝説になりそうだけど、線引きが面倒というか難しいみたいだ。
民話やお伽話が加わってくるとさらに面倒で、国や学問によって取扱いが違ってくるので大変だ。
少し有名どころを挙げてみると、アーサー王伝説が筆頭にくるんじゃないだろうか。
アーサー王は様々な史書にその存在が記されているとされながら今でも実在したかどうかが議論されるほどだ。
そのアーサー王と共に取り上げられるのが彼が所有したとされるエクスカリバーで、数多くの創作物に最強クラスの剣として登場してくる大人気ぶりだ。
そのエクスカリバーと並び立つのはロンギヌスの槍ではないだろうか。
キリスト教において、イエス・キリストの脇腹を突いて死を確認したとされる槍なのだが、汎用人型決戦兵器が使徒と戦う作品中で象徴的な役割を果たしたことで一躍知名度が上がったように思える。
他にもいくらでも伝説の武器や防具などあるが、挙げだすときりがないのでこのぐらいにしておこうか。
ゲーム等の装備品に多くみられるので気になる人はその名前の由来などを調べてみるといい。
世界各地の神々が使ったとされるものがこれでもかという頻度で見受けられることだろう。
一方で、あまり聞かなくなったのがムー大陸やアトランティス大陸などの幻の大陸と呼ばれたもの。
超古代文明が存在していたが、今では海の底に沈んでしまっているというもので、日本では1980年代頃によく流行っていた気がする。
太平洋にあったとされるムー大陸伝説が一段落したら大西洋のアトランティス大陸の話が出てきたのでふーんって感じだったのを覚えている。
失われた超古代文明っていうのは相変わらず創作物でも見かけるようだが、ムーやアトランティスっていう単語を見かけることはほぼなくなったんじゃないだろうか。
伝説にも流行り廃りがあるということなのかもしれない。
なんていうとムー民に怒られそうなので、こちらも程々にしておこうと思ったけど、そこら辺で関連する言葉にオーパーツってあるよね。
Out Of Place ARTifactSを略してOOPARTSとしたそうで、発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる出土品や加工品などを指す言葉だ。
実際に様々なオーパーツが発見されたとされているが、売名や詐欺的な動機での贋作や捏造も数多いみたいだ。
いつの世でも人は人を騙すことをやめられないのだろうか。ちょっと切ない。
今回のダンジョン関連のことなどはゴーレムやガーゴイルなんかが後の世まで残ってた場合にオーパーツ扱いされたりするのだろうか、なんて想像して少し笑ってしまった。
そう言えば、「天の声」の聞こえる聞こえないについては聞き取り調査を進めているとのことだったが、血液検査みたいなことはしているんだろうか。
ほら、一応「天の声」ウィルスみたいなものに感染しているって仮定してみたわけだし。
「やってます。全数というわけにはいきませんが、然るべき数の検体を収集して鋭意調査中です。今のところこれという発見報告はありませんが…。」
ここで、安藤さんのスマホに連絡があったようだ。
ざっと、その内容に目を通すと私にも教えてくれた。
「やりました。怪獣の封印に成功して、怪物化ダンジョンの無力化にも成功したそうです。」
おおー、それは良かった。
「下根大桜たちの画像にもあったように怪物化した状態のままですが、封印解除後も大人しく協力的なようで、血液や体組織の採取にも応じてくれたそうです。」
なんと、そんなことまで。
そういうのは個人の力では限界があるから国の力が頼れるのは心強いね。
これで、怪物化の秘密にも迫れるといいね。
今後も時間を取って封印作業に当たることも決められるようだ。
ちなみに私にとって印象深い伝説は、七つの傷の男の世紀末救世主伝説と、穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた伝説の戦士のお話かな。
後者は悲しいかな、伝説の戦士のはずなのに作品中でも語られたようにいつの間にかバーゲンセール状態になってしまったけどね。
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