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どこまでもついていく

先ほど降伏した大阪の人物は一般企業の人というのは真っ赤な嘘で、本当の身分は新しく作られるダンジョン特別対策室とやらの関西方面を取り仕切ることになる指揮官役ということだ。

今後、彼の下に各都道府県警の実働部隊のダンジョンマスターなどがつくことになるらしく、既に結構な人員が配備されているんだとか。

それを降伏させた私は自動的に拠点数も眷属数も跳ね上がっていて、もはや個人で管理できる水準を余裕で超えてしまっている。

ダンジョンマスターについては11月8日のあの時点で決定されて変更はできないようだが、眷属については安藤さんがその身で確かめたようにダンジョンに無所属の一戸建てなどの住人は追認されることもあると判ったので、可及的速やかに人員が集められているんだとか。

なるほど、昨晩に周辺警備していた公安警察の方と何やら話していた時に驚いていたのはそのことを報せていたからなのかもしれない。

それでも私に特別顧問をやらせることと今回の降伏の件がうまく結びつかないと思うのだけど。


「旦那様はまだいろいろと隠し事があるようですし、ですが基本的には善人ですし、なんとかすればいろいろとご協力いただけるのではないかと。幸いにも旦那様と肌を合わせる関係にもなっていますし。ということで、どうせならやはり使いましょうか。」


再度、タイトとひらひらの両方のミニスカートをちらつかせてくる。

なんで私がハニートラップに引っかかったみたいなことになってるんだろう。

肌を合わせる関係って膝枕のことだったりするのだろうか。

納得いかないんだけど。

それ以前に、上手く丸め込んでまるっと解決させようみたいなのが少し気に入らない。

これについては安藤さんの考えというよりは、副署長とかさらにその上の方の意向なんだろうけど、その思惑に唯々諾々として従ってあげる義理はないと思うんだよね。

それで安藤さんはその特別対策室とやらでは何かするのだろうか。


「自分は特別顧問(旦那様)との連絡係と身辺警護を務めさせていただきます。今後、旦那様の側を一時も離れるつもりはございません。」


相変わらず「キリッ」とはしているが、最初に感じた程ではなくなっている気がする。

デレが入ってるとでもいうか、幻のしっぽがパタパタしているように見えているというか、どこか嬉しそうな感じが伝わってくるんだよね。

ほっといたらトイレだろうが風呂だろうが本当にどこまでも離れないでついてきそうなので、予めちゃんとお断りしておこう。


「どうしてなのでしょう。あらゆる危難から御身を御守りすることを第一義とお考えください。何かあった時にはこの身に代えても旦那様を御守りいたします。」


そこまで言われると絆されて承諾してしまいそうになってしまうが、やはりちゃんと一線を引くべきは引かないとね。

それにこんな先の見えないオッサンより、まだまだ先のある若い世代の方が余程大事な命だ。

ましてや、安藤さんはこれからの警察を背負って立つ幹部候補なのだから自分の身こそ大事にしてほしいと思う。


「ありがたいお言葉ではありますが、ダンジョンのことでは旦那様に頼ることばかりです。何卒、常にお側にあることをお許しください。」


頑として引いてくれない。

困ったねぇ。

そうだ。逆の時には一緒にいるわけにはいかないじゃない。


「自分が用を足すときにも一緒にいていただくことを想像して、あまりの期待に自分の小さな胸が僅かばかり実際に膨らんだので心配無用です。お風呂に関しては言わずもがなです。」


この言い分には流石に私の方がちょっと引いちゃったよ。

目が本気です。昨晩の怖さとは別の怖さが宿っています。


「夜も楽しみです。当然のように同衾いたしますので旦那様におかれましては夜までにどっちにするか決めておいてくださいませ。」


だからミニスカートをちらつかせないでください。

はっきり楽しみって言っちゃったよ。

同衾って、一緒に寝るっていうかするつもりですよね。

この件についてはこれ以上深堀りすると逃げ道がなくなりそうなので、とりあえず有耶無耶にしてしまおう。

いざとなれば転送で逃げることもできるはずだ、と思いたい。


「あ~、そう言えば、出かける準備みたいなことを言ってませんでしたか。」


「はい、先ほどの降伏により日本国内はもとより海外の拠点も配下になっているはずです。今後は拠点網を通じて各地へ出向いていただくこともあるかと思いますが、先ずは大阪へお出かけいただきたくお願いします。」


「大阪、ですか。」


当然、ただの観光ということではないよね。

差し詰め、タオタオこと下根大桜あたりと引き合わせようというところか。


「下根大桜が東京での情報提供者、つまり旦那様との会談を望んでおります。」


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