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えーと一回り

「ということで、くれぐれも劇場とかテレビ出演されてる時に迂闊に「言霊」を発動しないように気を付けてくださいね。」


「それ、今言うことじゃないよね。うちが無邪気に「死ね」とか言ってたらヤバかったやん。」


これはスキルレベルが8に達したらダンジョンの外でもスキルが使えるようになったこととスキルの威力が格段に上がってることを伝えた時の尾茂さんの反応だ。

電波に乗った情報で「言霊」の威力がどれほどあるかというのは想像がつかないが少なくとも劇場では直接対面しているわけだし用心するに越したことはないだろう。


「無邪気かどうかは問題じゃないと思いますけどね。以前にダンジョンの外でスキルが使えないことは一緒に確認していましたし、後で連絡すれば大丈夫かなって。」


「それにしたって今じゃなくない!?それこそ「伝心」でいつでも伝えられたよねぇ。」


そんなにジト目で見られても、ねぇ。


「お仕事中だったら申し訳ないかなとかいろいろ考えたうえでのことでして。ご容赦ください。」


「まあ、こっちの都合を考えてくれたんならこれ以上は強く言えんけど。それでも、おにぎりの具でしか話せん呪言使いみたいになったらどないすんねん。まともに喋られんってことになると商売にならんで。それめっちゃ困るで。人前に出られんようになったら責任取ってな。」


「責任と仰いますとどのような?」


「こういう時の定番はお嫁さんでしょうが。まあ、お妾さんでもええけど。多田さんにはうちのスキルは通用せんのやし、めっちゃ都合いいやん。」


なんかくねくねしてるけど大丈夫だろうか。


「その感情って本心ですか?」


ここで、「天の声」の素が感情を増幅している可能性が高いことについても伝えておく。

というか尾茂さんまでこうなってくると感情の増幅というより私の周りでは私への思慕の念に主に作用しているように思えてならないのだが何か理由があるのだろうか。


「マジか。うちは多田さんのこと愛してたんか。」


「どうしてそんな話になるんですか。ちゃんと聞いてましたか。」


「だって増幅なんやろ。ゼロになんぼ掛けたってゼロやんか。想いが増幅するってことはゼロじゃなかったっちゅうことやん。」


「なるほど。一理ありますね。」


「ちゅうことで愛してるわ、旦那様。」


「二十歳ほども離れてますよ。尾茂さんのお父さんと大して変わらないんですよ。いいんですか。」


「歳の差なんか気にせんでいいよ。ほら、うちらの大先輩には四十五歳も下の女性口説き落とした方がいるからそれに比べたら二回りぐらい可愛いもんやない。」


「あー、いらっしゃいましたね。もう結婚されてから十年ぐらいになりますかね。それにしてもちょっと気になったので聞きますけど、一回りの歳の差って何歳違うって思ってるんでしょうか。」


「え?十年でしょ。そんな常識ない人みたいに思われんの傷つくわぁ。」


「やっぱりそうでしたか。一回りって十二支で同じ干支が巡ってくるまでの間なので十二年ですよ。」


これって日本人にとっては常識と思っていた時もあったが、結構そうでもないと気づいた時にはちょっと驚いたものだ。

全年代で見ても一割ぐらいの人が一回りを十歳違いだと思っていて、二十代の若い世代になると三人に一人ぐらいが十二歳違うとは思っていないそうだ。

干支って実社会で気にすることが減っているし、自分や家族の干支を知らない人も増えているようだ。

加えて、特に若い世代は年賀状を出さないでSNSだけで済ませるようになってしまっていることを考えると干支を気にすることなんてほとんどないのだろう。

江戸時代までは年だけでなく日時や方角にも干支が深くかかわっていたというのに、明治の時代になって数字や東西南北に切り替わってしまったからね。

逆にここまでよく忘れ去られなかったと称賛されるべきかもしれない。


「マジか。恥っず。」


「マジです。若い子に妻との年齢差を聞かれて一回り違うんだよねって言ったら、「へー、そうなんだー。かに座なんだー。」って言われた時には一回りって通じないんだって痛感しましたけどね。」


「その子の言ってること意味不明なんだけど。どういうこと?」


「私も最初は判りませんでしたが、その子はどうやら十二支じゃなくて十二星座で一回りさせたみたいで。」


「天才かw」


「しかも私は九月生まれの乙女座なので、どこからかに座が出てきたのかと思ったらその子が七月生まれのかに座だったっていうオチまでついてきました。」


「なんでお前基準やねんww」


「本当にそうですよね。そう思うと上から下まで幅広くウケるお笑いネタを考えるのってとても大変そうですね。」


「うちは別に自分が面白いって思うの考えてるだけやからそんなに大変でもないよ。それにしても多田さんの奥さんって十二歳も年下やったんや。なら、うちとも全然イケるやん。」


「何言ってるんですか。一回り上ですよ。」


「マジか。」


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