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飲むなら乗るな

ゴーレムには改めてゴミ出しについて指示しておいた。

それと、集積所にあるものについては吸収しないようにすることと、逆に住人からの要請に応じていつでも吸収するようということを付け加えておいた。


「これで部屋の中に置いとくゴミの量が減らせて助かるわ。」


「プラスチックは資源ゴミですからね。」


「そんなに念押しせんでも大丈夫ですぅ。」


「大丈夫じゃなかったから申し上げてるんですけど。」


「わかった。わかったから。しつこい男と正論だけ言う男は嫌われるで、ほんまに。」


「管理人としてルールを守っていただくことをお願いするのは当然です。」


「はいはい。それにしても多田さんはたった三か月ですっかり管理人業務が板についてすごいな。」


「そんなことはないと思いますが。まぁ、大家さんからよく相談を受けて手伝ってもいましたから見よう見まねでなんとかやらせてもらってます。」


「早いね。大家さんが亡くなってもう三か月経っちゃうんだね。」


「そうですね。」


本当に早いものであっという間の三か月だった。

大家さんが突然の事故で亡くなられて、弁護士さんが来て、コーポ大家を相続して、管理人することにして、ようやく仕事に慣れた頃にダンジョンマスターを兼務することになってそこからは怒涛の数日間だ。


「うちが全然売れてないころから応援してくれててライブにも何回も来てくれたし、バイト先も紹介してくれたし、大家さんのおかげでここまでやってこられたって言ってもいいくらいやねん。それが、なんで大家さんが酔っ払いにひき逃げされなあかんねん。めっちゃ腹立つわ。」


大家さんがひき逃げされたのは以前に言ったと思うが、程なくして捕まった犯人は飲酒運転をしていたことが判明している。

飲酒運転で路地裏をぶっ飛ばした挙句、人を撥ねておいて救命活動もせずに逃走を優先するなんて何を考えているのか、いや、何も考えていないからそういうことができるんだな。

こういうクズは令和の世の中になっても絶滅することなく、どこからともなく発生してくる。

これだけ科学や技術が発展しているのだから、車の構造的に飲酒状態での運転ができなくすることも割と簡単にできそうな気もするが、一向にそういう話を聞かないのはなぜだろう。

聞こえてくるのは「飲んだら乗るな」のような運転者の意志に頼っている何とも心許ないものぐらいだ。

結果、ちょっと飲んだだけだから、酔ってないから大丈夫と言ってハンドルを握り事故を起こす人が後を絶たないわけだ。

しかも自損事故だけならまだしも他人を死傷させるなんて言語道断だ。

いい加減、アルコール検査をして問題なしと判断できない限り車のエンジンがかけられないような仕組みを自動車メーカーに義務付けてはどうだろうか。

運転者の呼気を測定するのは普通にできるだろうし、ハンドルを握っている手の血中アルコール濃度を測定するとか、酩酊状態ではないと確認できるような設問に対して回答させるとか組み合わせることで結構な数の飲酒運転が防止できると思うのだが。

こういうのが進化すると、今は高齢者の運転ミスによる事故も増えているので未然の事故防止にもつながると思う。

それでいうと、自動車メーカーは自動運転技術の方に力をいれているのかもしれないが、ブレーキを踏んでいなければエンジンをかけられない以上の対策をそろそろ真剣に考えてほしいものだ。

コストがかかり過ぎるとか、緊急時にすぐに使用できなくなるとか言い出す人が出てくるだろうが、それをやらなかったことで自分の大切な人が命を落としてもそんなことを言い続けられるなら私からそれ以上話すことはない。


尾茂さんの気持ちが落ち着いたところで、昨日あったいろいろなことを共有していく。


「えー、「伝心」ってもしかして紋吉とか百海と話せたりするの?」


尾茂さんが目をキラキラさせながら聞いてくるが、残念ながら期待している答えは返してあげられないのだ。

昨晩、私も同様のことを思ったので白面と「伝心」による会話を試みたのだ。

しかし、白面から言葉が返ってくることはなかった。

だが、言葉が返ってこないというだけで、私からの問いかけに全く反応がなかったわけではない。

最初こそ戸惑っていたようだが、すぐに私からの言葉だと理解できたらしく、簡単な指示には素直に従ってくれていた。

白面の「声」が聞けなかったのは残念なことではあるが、突然流暢に話しかけられてもそれはそれで戸惑うことになったかもしれない。

可愛く「ごはんちょーだい」とかなら身悶えしそうだが、「メシ」「風呂」「寝る」しか言わない昭和の堅物オヤジみたいだったらどう接すればいいか困ってしまう。

そんなんだったら一昔前に流行った犬の鳴き声を翻訳する玩具の方がよっぽどマシな気がするよ。

それか、ピカピカしか言わないけど表情豊かな雷ネズミの方が良い付き合いができそうだ。

ちなみにメンフクロウはフクロウ時計に代表されるような感じでホーホーとは鳴いたりしない。

メンフクロウの鳴き声は結構甲高い金切り声で音にするとシューとかシャーって感じなのだが、仮にしゃべったとしたらやはり甲高い声になるんだろうか。

まあダンジョン化前よりは格段に私の言っていることは理解できるようになっているみたいだし、言語化する力がまだ弱くて話さないだけでそのうち話すようになるかもしれないし、あまり期待しないで待つことにしよう。


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