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還元

膝枕から解放された後にもうひと揉めふた揉めあったのだが、それは蛇足にならない程度のダイジェストでの報告とさせていただきます。

なんやかんやで0時を過ぎても居座られてというか、安藤さんがなかなか帰る様子をみせないので他の人も帰るに帰れないというかそんな感じだったようです。

1時になる前にどうにかこうにかお帰りいただき、最後に紀香をつくばに送り返して人心地つくと、ようやく昨晩からの懸案に取り掛かろうかと思ったが急激に襲い掛かってくる眠気には勝てずに眠ってしまった。

昨日も寝たのは二時過ぎだし、今朝はいつもよりちょっと早かったし、長い時間久しぶりの運転で緊張もしていただろうし、お酒も飲んだし、まあ仕方のないことだろう。


翌朝、目が覚めると敷地内を一回りして状況を確認する。

これまではついでに簡単に掃除もしていたのだが、今はゴーレムに24時間警備のついでにやってもらっているのでとても楽だ。

落ち葉の一つもないなんて自動お掃除ロボットも真っ青になるくらい優秀だ。

今日はゴミ収集の日なので集積所を確認するが、今日はまだ一つも出ていない。

珍しいこともあるものだ。

クリスは学校勤務で朝は早い方だし、樋渡さんも日勤の日はこれぐらいの時間にはいつもなら出しているはずだ。

今日はどうしたんだろう。


ここの住人たちはちゃんとゴミ出しマナーを守ってくれるので助かっている。

私が管理人になる前からここの住人でのゴミ出しトラブルはほとんどなかった。

ただ、ババアのところのゴミ男(第9話参照)が健在の時は度々トラブルを持ち込んでくれたものだ。

集積時間に間に合わなかったゴミをババアのところじゃなくこっちの集積所に投げ捨てていったり、夜中のうちにネットもかけずに生ごみ系のものを置いていくのでカラスに荒らされたりしたことがあったのを生前の大家さんに相談されて対応方法を考えたものだ。


一旦、部屋に戻って朝ごはんを済ませて朝の情報番組をぼんやり見ながらちょっと考える。

一昨日の夜から気になっていた私の三つ目のスキルのことだ。

スキルの名称は「還元」。

昨晩、スキルの可能性については認識できたつもりだが、それでも使い方の想像がつきにくい。

いつの間にかついていたスキルなので何かしらの取得条件を満たしたことで得られたスキルなんだとは思うのだが、どんなありがたみがあるのかよくわからない。

私が知っている還元は、利益還元セールのような「戻す」としてのものと、酸化物から酸素を取り除く化学反応としての意味合いぐらいだ。

一つ目の意味でスキルとして力を発現する方法なんてどうすればいいんだ。

私が商売を始めてお客さんに利益分をサービスできるとかそんなことでないことだけは間違いないだろう。

それよりは二つ目の意味の方が簡単に思いつきそうだ。

それはサビだ。

そうそう、お寿司を食べて鼻にツーンとくるアレ。

量を間違えると大変だけど適量なら…ってそれ山葵ワサビね。

じゃなくて、日本人が持つとされている独特の美意識や感覚を端的に表現した概念でひとつは「侘び」で対になるもうひとつのアレ。

茶道や俳諧などの世界において必要な美的理念のひとつとされているよね…ってそれは「寂び」だね。

そうじゃなくて錆ね。

金属が酸化してできるのが錆なので、還元すれば錆のないきれいな状態に戻すことができるはずだ。

これなら簡単にスキルの効果を確認できそうだ。


ということで、そこら辺を探して錆ているものをみつけるとスキルの発動を試みる。

だがしかし、一向に錆がなくなる気配がない。

それどころかスキルが全く発動していないような気さえする。

いや、違う。

よくよく注意して意識を傾けるとずっと連続して発動しているような感じがある。

こういうのってゲームだとパッシブスキルに近いかもしれない。

常時発動型とか無意識発動型のスキルのことだけど、一体どんな効果が付与されているんだろう。

改めて自分の身体や周りを注意してみるが、特に変わった点は感じられない。謎だ。

それともう一つ気になるのは、取得時からずーっと発動し続けているとしたらスキルレベルが上がりまくってよさそうなのだが2にすらなっていない。

ということは、これも異次元収納と同様にスキルレベルが存在しないスキルなんだろう。

それなら同様にすごい特殊なスキルなんだろうけど、今のところその特殊性を享受できていないのがとても残念だ。

一体、何を還元しているのだろう。

そのうち効果に気づくことを期待して、今はこれ以上追求することをやめることにした。


「多田さんっ。」


というところで、三日連続で朝からの訪問を受けてしまった。

今日は尾茂さんの番らしい。


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