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最適解

「それで、お父さんはどうして安藤さんの口を塞いだのかしら。何か言われると不都合なことでもあるのかしら。」


はい、いろいろと。

どう答えるのが最適か考えてたところで、すかさず安藤さんが口を開いてくれた。


「紀香さん、大変申し訳ございませんでした。旦那様はこれ以上身内同士で醜い争いをして逮捕者が出るような事態をお避けになったのだと思います。自分が至らなかったため、文字通りに旦那様の手を煩わせてしまい恐悦至極に存じます。」


なんかフォローになってるようななってないような。

最後の日本語も変というかなんというかそのままなら喜んでるということなのでしょうか。

だけど、そんな細かいことよりもさっき思った感情の増幅について確認する方が先だよな。

ということで思い当たる節がないか聞いてみた。


「言われてみると、随分恥ずかしいこと口走っちゃってたような気がするわね。」


「そうなのですわ。以前から想いを寄せていたのは間違いないことなのですが、ここ数日はより一層多田さんに対する想いが抑えきれなくなって溢れ出してきちゃうのですわ。」


「確かに。多田さんがちょっとっていうかかなり良いかもって思ったのは事実だけど、一目惚れってレベルじゃ説明つかないかなぁ。なんか体の内側から欲してるっていうか、子宮が疼いてるっていうか。あっ、またこんなこと言っちゃうし。」


「そうね。お父さんのことを心配するあまり、初対面の人に貰ってくださいってどうかしてるわよね。」


「前言撤回される必要はございません。旦那様は自分がこの身をかけて御守りいたします。」


みんなどうやらこれまでの自分じゃないという自覚はあるようだ。

それでも、安藤さんだけみんなより冷静になり切れていないのかなあという気がしないでもない。

まあ天然系でこれが普通と言われれば納得できないこともないのか。

つい六時間ほど前に会ったばかりだし、それほど言葉も多くかわしていないので判断材料が少なすぎるかな。

ステータスが見えるようになってまだ間もないから、ダンジョンの影響ってこの中では一番少ないだろうと思ったんだけど時間は関係ないということだろうか。

「天の声」が聞こえるのが余計に悪さをしてるとかあるのかも。

でも紀香も聞こえているようだし、それにしては以前とあまり逸脱して変わったなあと思うほどではない。

だとすると他にどんな理由が考えられるだろうか。


ダンジョン関係のことって答えが判らないものが多くて困るよね。

非常識過ぎてこれまでの経験則があまり通用しないっていうのも禍いしてるよね。

だけど非常識過ぎるという点を除けば、普通の人生も似たようなものか。

生きていれば大なり小なりどこかで躓いたり、壁にぶつかって、悩んだり考え込んだりするために立ち止まることは往々にしてあるものだ。

その時その時に自分なりに答えを出して歩き続けていくのが人生なんだと思う。

ここで恐縮だが私が考える人生の歩き方について少しだけ聞いてほしい。

この再び歩き出すための答えについては必ずしも最適解である必要はないってこと。

もちろん最適解を求めて求め続けてそれしか選びたくないっていう人生を否定するつもりはない。

自分の人生は自分のものなので、自由に生き方を選んでいいのだから。

ただし、他人の人生を踏み台にしたり台無しにするような生き方だけは断固否定させていただこう。

他人の人生を終わらせる殺人行為なんて以ての外だ。

現時点において獣人でポイント稼ぎしてる奴にそんなこと言う資格があると思ってんのかっていうご意見があるのも重々承知しているが、前にも確認した通りに完全に消失した存在は今のところないという認識なのでとりあえずはご容赦いただきたい。

とにかく私としては、他人に迷惑をかけることを生き甲斐にするような奴とはできるだけ関わりたくないということだけは改めて言っておこう。


あー、最適解の話だったっけ。

大層な言い方をしてるが、とかく頭のいい人に限ってああだこうだと理論武装してこうやるのが正解だなんて仰っている方もいるが何のことはない、結局その人にも最適かどうかなんて判っていない、判るはずがないのだから理屈をこねくり回すことには何の意味もないと思っている。

ましてや、そういうことを言っている自分が賢いでしょアピールをしたいわけでもないのでどうか勘違いしないでほしい。

単純に効率の良さや見返りの大きさだけを求めてそれを最適と決めなくてもいいし、そもそも対処しないで回避する方法を選択したっていいのだ。

逃げることは悪ではないし、自分で判断できない(と判断した)時には人に頼ったってもちろんいいのだ。

自分が納得できるのが一番なのだ。

とにかく自分の人生、なるべく悔やまないように、自分の好きなように、ただしできるだけ他人に迷惑をかけないように過ごしていただきたいものだ。


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