表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/147

やって後悔

「とりあえずこの情報源に接触を試みて瞬間移動のことを把握しているようなら口外しないように交渉するとしよう。」


これでまたマジックミラーの向こうの人が動き出したことだろう。


「しかし、君は突然アパートから消えたと思ったらつくばで悪党を退治しとったとは大した男だな。」


「そうなのですわ。私の多田さんはとても大したお方なのですわ。」


「何であんたの多田さんなのよ。私のに決まってるじゃないのよ。」


『私の方が若くてぴちぴちしてるから私の勝ちなのですわ。』


『若さだけしか売りにできないならお呼びじゃないわね。それなりの経験ってものが必要なことを判らせてあげるわよ。』


実際の声と伝心の両方で言い争うのは器用だなと感心する一方で本当にやめてほしいです。

しかも私の右に面近さん、左に伴さんが座っているので、実際の声がステレオ放送のように聞こえるのはもちろんなのだが、何故か伝心の方もステレオ放送で文字通りに倍疲れるというか、伝心の方は直接脳に響く感じなのでやたらとくっきりはっきり聞こえるからかもしれない。


「モテモテで羨ましいの。それでワシとしてはこの新しいスキルを抽選で与えるというのが気になっているんだが可能なんだろうか。」


ということは副署長さんはスキルガチャの存在を知らないようだ。

自分が「天の声」に教えてもらったのはポイントが一万超えた後だったっけ。

一網打尽にされることを警戒して拠点数を抑えてるから、まだそこまでポイントが溜まっている人がいないのかもね。


SNSの投稿者はどうやってスキルを付与するつもりなのだろう。

スキルガチャの存在を知っていたとしても千人に確実に付与するには一人当たり3〜4回、下手をすればもっと使う覚悟をしないといけないだろう。

果たして、1拠点降伏させることで得られるのがたったの100ポイントなのに、そんなやり方で成立するんだろうか。

何か別の方法があるのか、それともただのはったりなのか。

スキルファームには判っていないもう一つの操作が…って使えるようになってるじゃないか。

なんと、それはレベルが8以上のスキルから「採種」することができるというものだった。

文字通りであればスキルの種みたいなものを獲得できるはずで、それを使用することで新しくスキルを付与出来たりするんじゃないだろうか。

採種することで元のスキルのレベルが下がったりするくらいならまだ許容範囲だが、変質してしまったりすると問題があると考えて面近さんの「読心」にいきなり使用するのを躊躇ってしまった。


そこまで慎重にならなくてもいいんじゃないかという考えを否定はしないが、これは自分の性分なので仕方がないのである。

自分が最も後悔するのは、後先考えずにやってしまってからやらなきゃよかったと思ってしまうパターンなのだから。

こういう時によく引き合いに出される言葉に『やらずに後悔するよりやって後悔する方が賢明だ』というのがあるが、これはイタリアの政治思想家マキャベリの言葉だ。

これを自分勝手に解釈して、やらないで後悔するのは愚か者のすることだなどと自然の摂理、宇宙の理かのように言う人は正直まともに相手にしたくない。

どんな場合でも、やって後悔する方がいいなんてことは言えないはずだ。

例えば、一か八かの勝負を持ちかけられて、勝利すれば何でも望むものを与えられるが、敗北すれば命を失うような時でも、やって後悔しろと言うつもりだろうか。

例が極端すぎると言われるかもしれないが、命までは失わないけど似たようなシチュエーションはいくらでもあると思う。

さらに、こういうのって失敗する確率ってなんとなくでも判断つくじゃない。

圧倒的に失敗に傾いているのにそれでも頑張ってこいって送り出すのは無責任を通り越して加害者レベルでしょ。

そういうので判りやすい例だと受験かな。

合格率が50%ぐらいの志望校を受けるかどうか一番迷うところかもしれない。

だけど、こういう時に「受けないで後悔するより、受けてみて後悔した方がいいんじゃないか」というのは大きな思い違いだ。

それはただの準備不足だ。怠慢だ。

受験者が本気で志望していたのなら、きちんと計画を立てて物事を進められたはずだ。

指導者の方も五分五分以上の状態になるように導くことはできたはずだ。

まずその準備不足をこそ後悔するべきだ。


私が言いたいのは、何事にも失敗しないように考えたり準備できることがあっただろうに、それを何一つせずに運だけに任せて無謀な行動をすることは挑戦とすら呼ぶべきではないということだ。

やる、と決めたその瞬間のために伸るか反るかの博打勝負にならないように対策することが大切なのだ。

一番いいのは『やって後悔しないこと』に間違いないのだから。


今回の場合、ポイントは山ほどあるので別のどうでもよさそうなスキルをレベル上げしてから実験台にすることにした。

選んだのは、昨晩睡眠前にスキルガチャしまくった時に面近さんの飼い兎ミミについた「目薬」だ。

実際なんのこっちゃだし、これならどんなことになろうと何ら問題はない。

準備が整い実行すると、元のスキルに変化はなくて無事に「スキルの種(目頭)」が得られた。

はい?

「スキルの種(目薬)」ではなくて「スキルの種(目頭)」だ。


何卒、評価・ブックマークよろしくお願いします♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ