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スキルの正しい増やし方

百話到達しました!ご覧いただきありがとうございます。

ところで冷静になって考えてみると、スキルファームは一人でスキルを2つ以上持っていることを前提にしているわけだが、ダンジョンはどうやって2つ目のスキルを獲得させるつもりだったのだろう。

こんなことを考えてもしょうがないという話もあるが、最初からあったわけではなく途中から現れたことには何らかの合理的な理由を求めてもいいはずだ。


まず思うのは、私が使ったスキルガチャって予定してたのとは別の特殊な方法のように思えて仕方がないのだがどうだろうか。

副署長さんたちも検証した通り、どうやら配下の拠点を16にしダンジョンルーラーに位階を上げることがスキルファームの使用開始条件の一つであることは間違いない。

私たちは拠点を16にするために主に降伏という手段を取っているのだが、もしかしてこれがスキルファームを使えない原因にしているのではと思い至ってしまった。


どういうことかというと、本来ダンジョンは異なる勢力同士を戦わせることを望んでいたのではないかということだ。

「天の声」は最初から一貫して自分以外の他のダンジョンを「敵」と称している。

敵対させ衝突を起こし、一度戦闘が始まれば相手を制圧するまで止まらないかもしれない。

そして相手をその手にかけてしまった時、どうなるだろう。

ありがちなパターンを想像すると相手のスキルを奪うとか、戦闘経験によって新しいスキルに覚醒するとかあり得るんじゃないだろうか。

私は既に何人もやっちゃってしまっているが、獣人たちはスキルを持たないようだし除外すると、直接やってしまったのは金垣内かねがいちさんのマンションで車で出かけようとしていた人を重傷から解放した時と、押江おしえさんのマンションの住人6人ほどだったっけ。

これぐらいだとスキルの獲得には確率的に試行回数が少ないのかもしれないし、スキルガチャでの獲得制限があったように私の場合は既にスキルを2つ持っていたので新しくスキルを獲得することができなかったのかもしれない。

実際にどれくらいの戦闘というか殺人をこなせばスキルが獲得できるか確かめるわけにもいかないし、そもそもこの仮定があってるなんて保証もない。

そして何より私のこの考えには大きな欠点がある。

今のところ「天の声」を完全に認識できている人間を私以外に知らないということだ。

他にも聞こえている人がいて、実は秘匿しているなんてこともなくはないのだろうけどね。

いずれにしても「天の声」が教えてくれなければ、そもそも「敵」を認識していないし、制圧しようなんて思いもしなかっただろう。

そもそも最初に思った通り、何が起こってるか何もわからないままだったと思う。

んー、何を間違えてるんだろう。なんか行き詰ってしまった。


「で、ついでに相談なんだが、これについてどう思うかね。」


副署長さんが見せてくれたのは、とあるSNSでの投稿だ。


「降伏して幸福になろう」をスローガンに学生たちが降伏者を募集しているもので、いいな!の数は数万にもなっている。

その中では、「女帝と一緒に南の島へ所要時間0分のバカンスへ」とか「降伏者および仲介者に新しいスキルを抽選で千名様に付与」、「空き地を無効化する範囲が今なら50%増量」といった文言と共に、多少モザイクをかけているが間違いなく獣人と仲良さげに写っている画像を多数アップしていたりする。

私の納得できる情報もあれば、信じられない情報もあり、ちょっと驚きを隠せない。

だがしかし、これはこれで私にひとつの確信をもたらした。

そう、私のほかにも「天の声」を聞いている人がいるということを。

副署長さんにも確認したが、この最初の投稿が政府の緊急速報前であることからそれ以前に降伏することが有用であることを把握しているからだ。


「まず、この南の島へ所要時間0分についてですが、副署長さんにも察しがついているように私たちがアパートから突然いなくなったことと関連していると思います。」


ダンジョンマスターの権限により配下の拠点間で瞬間移動のようなことができることを説明すると、副署長さんは鏡の方をちらっと見た。

恐らくマジックミラーの向こうにいる署員に事実確認をさせるためだろう。

実際にこれができるとなれば警察だけでなく、消防や救急など様々な面でメリットを享受できるだろうから直ぐにでも確かめたい気持ちはよくわかる。

それこそ私が危惧した人間コンテナもネタではなく、組織的に行えば物流が変わるかもしれないし、交通渋滞が緩和するどころかエネルギー需給にも影響を与えるかもしれない。


「その情報に関してはできれば抑え込みたいところだな。遅いかもしれんが犯罪組織に知られて悪用されると防ぎようがない。」


なるほど。

自分の場合はこんなことができると便利だと考えたけれども、悪用することもいとも簡単に出来そうだ。

例えば犯行後の逃亡に使われればどこへ逃げたか追跡が困難になるし、盗難品の移送についても同様だ。

ダンジョン化は日本国内だけでなく大陸の方にも結構な範囲で存在しているので国外逃亡とか密出入国などを考え始めると手の打ちようがないかもしれない。

この情報を知ったテロ組織などは工作員や武器、爆弾を転送するために日本国内の主要都市の集合住宅ダンジョンを狙ってくることもあるかもしれない。

新たな闇ビジネスが雨後の筍のように生まれるかもしれない。

つくばの方で遭遇した闇バイトの件を思い、根本的にそういう人間の脳はそっち方面のことを真っ先に考えるようにできているとすると本当に嘆かわしいね。

ついでに、闇バイト絡みの事件があったことを教えると、公的機関が降伏先になることに関して公的機関側から能動的に個別に働きかけることはしないし、そういう誘いには乗らないように注意喚起することになった。


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