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31.アナとの初夜

 アナスターシャは、神の能力を獲得すると次々にその能力を開花させた。


 たった一週間で全ての能力を使いこなし、目の病気も完治した。身長は元々高かったから見た目にそれ程変化はなかったが、本人の申告ではバストがワンサイズ大きくなったとのことだ。


 日本語も普通に話せる様になったし、医学も勉強すると意気込んでいる。瞬間移動もできる様になったので、ひとりで月の都へ飛んで来る様になった。


 結婚についてはロシア国内で発表する必要があるので半年後となった。


 既に姉妹たちとも馴染んで、当たり前の様にサロンで一緒にお茶を飲み談笑している。


「アナは記憶が戻る前から神の能力が発現していたわね。どうしてかしら?」

「新奈。私は小さな時に始祖の天照さまからお告げを賜り、翼さまのお姿を夢に見たりしていました」


「それと、二年前には白くて大きなフクロウが私の寝室に入ってきて、眠っている私のおでこに触れたの。それから透視ができる様になったみたいなの。そうやって小さな頃から天照さまに干渉されていたせいなのではないかしら?」


「まぁ!そんなことが?」

「そうなんだ、始祖の天照さまが先回りして、アナに色々と仕込みをしていたみたいだね」

「それで適応が早かったのね」

「えぇ、そうとしか思えません。目もすっかり完治しています」


「アナ。そう言えばあなた。胸が大きくなったんじゃない?」

「あ。分かりますか?ワンサイズ大きくなったのです」

「翼の好みなのね・・・」

「ちょっと、アネモネ。何を言い出すんだい?」


「だって、天照さまが言っていたじゃない。宇月うづき雨月うげつをどうやって探すのか聞いたら、翼の好みの女性を探せ。って」

「あぁ、まぁ・・・そうだね」

「え?私って、翼さまの好みのタイプなのですか?」

「そ、そりゃぁ・・・まぁ・・・はい。好みです」

「まぁ!翼が赤くなっているわ!」


「でも、この五人は皆、タイプなんでしょ?」

「う、うん。みんな、大好きだよ」

「ふふっ、素直でよろしい」


「と言うことは、あなた達の様な美人を探せば良いわけね」

「お義母さま。そうは言っても地球だけで三十億人以上女性は居るのですよ?更に神星に居る可能性もあるのだし・・・」

 新奈が神妙な顔で翼を見つめた。


「あ。そうか・・・神星の可能性もあるのか・・・」

「そうよ、翼。たった二人を探し出すのは容易ではないわね」


「しかも、宇月と雨月だと判別できるのは、アネモネだけなのよね?」

「そうだね。僕は二人と出会っても、きっと何も感じないだろうね。まぁ、タイプの娘なら、可愛いとか美人だな、とは思うだろうけれどね」


「もう、可愛いと思ったら片っ端からキスしてしまいなさいな」

「え?それはまた、乱暴なことを!」

「冗談よ!」

「アネモネがそう言うと、冗談には聞こえないよ」

「そうしたとしても私は怒らないわよ?」

「嘘ばっかり!アナにあんなに焼きもちを焼いていたくせに!」


「あれは、焼きもちではないわ。妻が増えたら翼と愛し合う時間が減るから怒っていただけよ」

「アネモネ。その時間なら、まだあと四百年以上あるのだから・・・」

「望、そうね。これからは焦る必要はないわね」

「もう順番にしなくても良いんじゃない?」


「そうしたら毎晩、私が頂いてしまうけど?」

「もう!アネモネったら・・・」

「アネモネって、羽月お姉さまだった時から、そんなに好きなのですか?」

「あぁ、夢月が物心つく頃には、私たちは月の都には居なくなっていたものね。知らないわよね」


「アナ。知らないのなら、そのまま知らなくて良いのよ。ところでアナはもう、翼に抱かれたの?」

「え?そ、それは・・・」

「まだだよ!」


「え?まだなの?何故?アナ、千五百年前の記憶は戻っているのでしょう?」

「はい。記憶は全てあります。だからこうして日本語で話せる様になったのですから」

「それなら子供も産んでいるのだから、翼とのセックスは全て思い出したでしょう?」

「あ・・・は、はい・・・」

 アナは耳まで真っ赤になってうつむいてしまっている。


「アネモネ。アナは今世では、まだ男性と話すらしていなかったんだ。記憶があるからって、そんな大胆になれる訳がないさ」

「あぁ、そうなのね・・・そうか。目が見えなかったから・・・それなら、今夜は私の番だけど、譲ってあげるわ」

「え?今夜?」


「あら、今夜は泊って行けるの?アナ」

「お、お義母さま、よ、よろしいのでしょうか・・・」

「勿論、構わないわよ。一度、家に戻ってご両親にお断りしてきなさいね。着替えも必要でしょう?」

「あ、はい!そうですね。行って来ます!」


「シュンッ!」


「あら。もう行っちゃった!あの子、翼に抱かれたくて仕方がなかったのね・・・」

「ちょっと、アネモネ!デリカシーのないこと言わないで!可哀そうでしょ?」

「そうね。二十歳はたちでまだ、処女だったのですものね」

「うーん。そういうことではないのだけど・・・」

 ということは、今夜はアナとの初夜になるのか・・・


「そう言えば、この月の都だけど。あと三人妻が増えるなら部屋が足りないわよね?」

「あ。そうね。子供部屋だって全然足りないわ」

「どうしましょうか?」


 その時、エリーが一歩前に出て話し始めた。

「皆さま、天照さまからの連絡が御座います」

「おや、何だろう?」


「翼、新しい月の都が完成したので明日、そちらへ送ります。今の月の都は、月夜見たちが地球に来た時に使える様に改装します。そして、人間が神に監視されていると思う様に常に地球を周回させなさい。とのことで御座います」


「これはまた、タイムリーだね。やっぱりこうなることが分かっていたんだ」

「それなら、宇月と雨月の居場所を教えてくれても良いのにね」

「結衣、全くだよね。こっちは、地磁気の発生装置の研究で忙しいというのに・・・」

「でも、月夜見さまも八人の妻を探すのには苦労なさったそうよ。これもお役目なのでしょうね」


「お母さま、お見合いでは駄目ってことなのでしょうか?」

「ふふっ。翼がお見合いしたら、すぐに相手を受け入れてしまいそうね」

「だって皆、凄い美人ばかりなんだから・・・仕方がないよ・・・」

「翼って、面食いよね」


「うーん。そう・・・かも知れないね」

「あ。そうか。やっぱり、お見合いすれば良いのよ。アネモネが同席して、候補者を見ていけば良いじゃない?」

「いやいや、必ずしも宇月と雨月が僕と結婚したがる訳ではないと思うけど?」

「え?この中で翼と結婚したいと思っていなかった人って居るの?」

「・・・」

 妻たちはお互いに顔を見合わせて沈黙した。


「居ないでしょ?皆、すぐに好きになったはずよ」

「でも、私みたいに自分に自信が無い人は、神さまのお相手になれるなんて考えもしないと思うけどな?」

「結衣、それはそうね。やっぱりお見合いは駄目ね」


「あ。ちょっと待って。私たちって、千五百年前の私たちと性格ってあまり変わっていないのではなくて?」

「望、それはそうだと思うわ。同じ様な生き方をしてしまうわよね」

「それなら、宇月と雨月の性格を思い出してみたらタイプが分かるのでは?」


「あぁ!それは良いアイデアね!」

「宇月はどんな子だったかしら?」


「宇月は確かはっきりと自分を主張する子だったと思うな」

「そうね。自分のやりたいことを実現していく子だったわ」

「人の世話焼きも良くしていたわね。進んで弟たちの面倒を見ていたと思うわ」

「では、現代なら自立した女性になっている可能性が高いわね」


「ところで、私たちって年齢が近いじゃない?宇月と雨月も歳が近いと思っても大丈夫なのかしら?」

「それは分からないわよ?月夜見さまの奥さまは最大で十七歳の差があるもの」

「まぁ!では、三十七歳とか三歳の可能性もあるのね?」

「三十七歳はともかく、三歳は不味まずいわね」


「成人するまでに時間が掛かり過ぎるわね」

「でも、急ぐ必要もないのでしょう?」

「そうね。先は長いのだからね」


「雨月はどんな子だったの?」

「お義母さま、そうですね。確か末娘で甘えん坊だった様な・・・」

「そうね。控えめで、いつも宇月の後ろで、もじもじしている印象ね」

「でも、とても優しい子だったと思うわ」

「そうね。末娘っぽい、可愛い子だったわ」


「シュンッ!」

「あ。アナ。お帰りなさい」

「ただいま」

 アナは着替えの入ったバッグを持って現れた。


「あ。ねぇ、アナ。今、宇月と雨月がどんな子だったかを思い出していたところなの。アナは二人と一緒に育ったから良く知っているのでは?」

「えぇ、そうですね。宇月お姉さまは、はっきりとものを言う人です。翼さまにも三人の中で最初に自分の気持ちを伝えていました」

「やっぱり、そうなのね」


「雨月は、私から見ても大人しくて、可愛らしい子で、翼さまもどう接して良いのか戸惑っていたのを思い出しますね」

「あ。そうか。僕はこれから三人と会って、子も成すのだよね?それなら僕がどんな娘なのかを把握すれば良いのだよね?」


「あぁ、そうね。そうだったわ。それで翼、いつ千五百年前の世界へ行くの?」

「それは、こちらへ戻ってから一年後って、話をしていたから・・・」

「ん?翼さま、過去の世界へは異次元空間移動装置で行かれるのですよね?」

「それは勿論そうだよ」


「それならば、一年後に行くと言ったからといって、本当に一年後に行かずとも、今からでも十年後からでもその時間を指定して飛べば良いのでは御座いませんか?」

「あ!そうだった!」


「あら?それならば、宇月たちが十五歳になった時代に飛べば、すぐに子作りができるし、成人した宇月たちと時を過ごして、相手を知ることもできるんじゃない!」

「そうでした。なんで気が付かなかったんだろう?」


「そう言えば、翼はいつ来ても歳を取っていなくて、それを聞いても理由を教えてくれなかったわね」

「そうそう、天照さまに聞いても、それが翼のお役目だから、としか教えてくださらなかったわ」


「でも、私たちが年老いても翼はいつも若く美しくて・・・それが嬉しかったのよね」

「えぇ、私がおばあちゃんになっても翼は抱いてくれたわ」

「まぁ!アネモネ!あなた、何歳まで翼にお相手してもらっていたの?」


「あら、死ぬ間際までよ」

「ウソでしょ!」

「本当よ。翼は私が何歳になろうとも女性として扱ってくれたわ」

「うん。確かに。来てくれた時は、いつでも私を抱きしめて一緒に眠ってくれたわね」

「そうなんだ・・・僕はまだ、それを体験していないのだけどね」


「あ!そうだ。君たちの人生を変えてしまってはいけないから、予定表を作ろうと思うのだけど」

「それはどういうものかしら?」

「千五百年前の世界で、僕はいつ君たちのところへ行って、いつ子を作るのか、僕が現代から持ち込んだものとかさ、なるべく詳しく思い出してもらって、できる限りその通りにしないといけないでしょう?」


「そうね。歴史を変えてしまうと厄介よね。今の私たちが存在しなくなってしまう可能性もあるのだから」

「五人で話し合って年は勿論、日にちも分かる限り入れたスケジュールみたいなものを作りましょう」


 その時、エリーが一歩前に出て話した。

「翼さま。天照さまより伝言とデータが届いております」

「データ?」

「モニターへ映します」


 モニターにはスケジュール帖の様な表が映し出された。

「翼、これが千五百年前の時代での翼の行動の全てです。特に年月日を間違えずに向こうへ渡り、この行動をしてください」

「うわぁ!凄く細かいスケジュール!」

「あぁ、そう言えば、こんな感じで来ていたわね」


「ちょっと!これ、翼がいつ誰とセックスしたか、書いてあるわよ!」

「キャー!恥ずかしい!」

「子供たちの誕生日も書いてあるわ!」

「翼が持ち込むものも書いてあるのね」


「これは助かるな。では、これに従って行動すれば良いのだね」

「翼って、妻が千五百年前に八人、現世にも七名居ることになるのね」

「そうよね。私たちにとっては遠い過去の記憶だけど、翼にとってはこれも現世のことなのよね?」


「十五人の妻。しかも巫女たちにも子を成しているのでしょう?」

「凄いわね!」

「本当に凄いことだわ・・・」

「まさに種馬・・・だね」

「翼、自分で言わないで!」


「翼の身体はひとつしかないのだから、無理はしないでね。地磁気の発生装置の研究は私も手伝うから」

「結衣、ありがとう」

「神代重工との打ち合わせは、代わりに私が請け負うわ」

「新奈、ありがとう」


「翼、アイデアに行き詰まったら私を頼ってね」

「望、頼りにしているよ。ありがとう」


「私は・・・ストレスが溜まったら、私の身体で発散させてあげる」

 アネモネが思いっ切り魅了を発現させ、誘う様な眼差しを向けてきた。

「う、うん・・・アネモネ、ありがとう」


「わ、私は・・・私には地磁気の発生装置を一緒に創る以外に翼さまのために何ができるでしょうか?」

「アナ。急がなくても大丈夫。アナは僕の人生に必要な人だからね」

「は、はい。翼さま・・・」

 アナは僕の魅了に落ちた様だ。目がトロンとしてしまった。




 皆で一緒に夕食を頂き、サロンでお酒を飲みながらテレビのニュース番組を見ていた。

トップニュースで報じられたその事件は、中国で起きた。


 オービタルリングからの送電を受けられる様になり、交通システムを導入し始めた矢先、空に浮かび移動する小型船の反重力装置を分解し、コピーしようとした者が居るのだ。


 即座に反重力装置は瓦解がかいし熔解してしまった。そして交通システムは沈黙し、小型船は最寄りのステーションへ到着すると乗客を強制的に降ろし、全ての船が日本へ向けて飛んで行ってしまった。


 ニュースでは置き去りにされた乗客が戸惑う姿や、上海の上空を隊列を組み一直線に海を渡って日本へ向け飛んで行く船の姿を映し出していた。


「翼、これは一個人がしたことなのですか?」

「いや、中国政府が絡んでいるかも知れないね。でもそれは関係ないよ」

「もう対処したのでしょう?」

「うん。さっき全て終わらせて来たよ」


「どういうことだったの?」

「いや、事の次第は知らないし、それはどうでも良いんだ。新しい中国のリーダーを家族共々に天安門の上空に転移させ、選択させたんだ」


「今回の責任を取り、ワン 梓豪ズーハオ前国家主席の後を追って、異世界へ飛ぶか、賠償金を支払い二度と同じ過ちを起こさないと約束するか」


「それで、どちらを選んだの?」

「勿論、自分の命を捨てられる訳がないよね」

「それはそうね」

「犯人は捕まったの?」

「分からない。必ず犯人を捕らえ、終身刑にすることは約束させたけれどね」


 ニュース番組では中国の新主席が天安門の上に浮かんでいる姿と混乱した街の様子をリポートしていた。これから交通システムが復旧するまでの二週間は混乱が続くだろう。でも、世界に向けて良い忠告となったと思う。


「流石というか、中国ならではの発想ですね。ロシア人にあれをコピーしようと考える人はいないのではないかしら?」

「アナ、それはロシアの国民性ってやつかい?」

「元々は農耕民族です。ロシアに世界に名が通った自動車や家電のメーカーなんてないですから・・・」


「でも原子力とか兵器、宇宙開発は凄いよね?」

「それは欧米と張り合うために発展しただけです。結局それが身を亡ぼす結果となったのです」

 アナは少し悲しそうな顔になった。あぁ、これはいかんな。元気付けないと!


「さぁ、アナ、僕の部屋へ行こうか」

「はい」

「アナ、スパークリングワインは好きかな?」

「はい、好きです。でもまだ、お酒を飲む機会が少なかったので沢山は飲めませんが」

「良かった。乾杯したいんだ。一杯だけ付き合ってくれるかな?」

「はい」


 ふたりで部屋へ入るとワインセラーからルピナス王国産のスパークリングワインを出した。ソファに並んで座るとスパークリングワインを開けフルートグラスへ注いだ。

「では、アナスターシャに乾杯!」

「乾杯!」

「キンッ!」


 アナは一口飲むと笑顔になった。

「あぁ、美味しい!これなら沢山飲めそうです!」

「それは良かった!」


 僕はすぐ隣に座っているアナの花の様な香りを堪能しながらスパークリングワインを味わった。

「アナ。とても良い香りがするね。香水?それともシャンプーとかコンディショナーの香りかな?」

「香水はつけていませんので、コンディショナーの香りでしょうか?」


「アナは髪も美しいね。それにいつもこの青いリボンで編み込んでいるよね」

「ダーリャがとても綺麗な髪だから長い方が良いって言ってくれて、母がくれたこのリボンで編んでくれたのです」

「正解だね。本当に美しいし可愛い」


 僕はグラスから唇を離すと、アナの首筋にキスをしながら香りを楽しんだ。

「あ!翼さま・・・翼さまもとても良い香りがします・・・懐かしい香りです」

「あぁ、そうか、千五百年前の記憶だね」

「えぇ、香りって記憶に残るのですね・・・」


 今度はアナが僕の首筋にキスを落として、そのまま抱きついてきた。

アナは僕の首筋から離れると、キスをねだる様に僕の瞳を見つめた。僕はアナを抱きしめて唇を重ねた。


 そのままソファで抱き合い、長く熱いキスを続けた。

「アナ、一緒にお風呂へ行くかい?」

「え?い、いえ、だ、駄目です。あ!初めての時は翼さまに抱きかかえられてお風呂へ行きましたね?」


「僕はまだ、していないのだけど・・・では、同じ様にしようか?」

「あ、あの・・・千五百年前は何も分かっていなかったから・・・でも今は分かっていますから・・・まだ恥ずかしいです!」


「そうかい?では先に入っておいで」

「は、はい・・・では失礼しまして・・・」

 アナはまだ初心うぶな女の子だ。急ぐ必要はない。


 しばらくするとアナはタオルを身体に巻いてバスルームから出てきた。照明を落としておいた寝室でアナを一度抱きしめてキスをする。


「僕も入ってくるね。ベッドで待っていて」

「はい。お待ちしております」

「言葉使いがまだ固いよ」

「で、でも・・・」

「チュッ!」


 そう言うアナの唇をキスで塞ぎ、笑顔にしてからバスルームへ向かった。寝室へ戻ると、アナはベッドに入って顔だけを出してこちらを見ていた。笑顔ではあるが少し緊張しているのが伝わってくる。


「アナ。緊張しているみたいだね」

「はい。少しだけ。だって、神さまとこんなことになるなんて想像もしていなかったから」

「そうだろうね。僕にとっても突然なことなのだけどね」

「本当に私で良いのですか?」


「勿論、アナは美しい・・・愛しているよ」

「嬉しい・・・私も・・・翼・・・翼さまを愛しています」

 ふたりはきつく抱きしめ合い、キスをした。

それから僕はアナの身体を隅々まで愛し尽くし、ふたりはひとつになった。


 アナは痛そうにしていたが、自分の治癒能力で回復させていた。

「あぁ・・・またこうして翼さまとひとつになれるなんて・・・夢の様です」

「夢ではないよ。僕はこれから夢月に逢いに行くのだけどね」

「はい。昔の私も愛してください」

「うん。同時にふたりとも愛するよ」


 それからはお互いを求め合い、ふたりは千五百年の時を越え再び愛し合った。




 翌朝、目が覚めるとアナは僕の腕の中で気持ち良さそうに眠っていた。

僕はアナの美しい胸をてのひらに包みながらキスをした。

「う・・・うん・・・あ。つばさ・・・」


 僕はアナの青い瞳を笑顔で見つめた。

「おはよう。アナ。よく眠れた?」

「はい。とっても・・・キスで起こしてくれるなんて・・・千五百年前と同じです」

「そうなんだね。それじゃぁ、今度行った時にもそうしないとね」

「はい。是非、お願いします。あれほどに幸せを感じたのは初めてだったのです」


 アナの笑顔は本当に可愛く、癒される。僕は幸せ者だな・・・

お読みいただきまして、ありがとうございました!

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