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17.アネモネの来訪

 現代に戻って二日目の夜を迎えた。


 夕食を終え、望の部屋で赤ワインを飲んでいる。ワインは全て神星から届いたものだ。

「望、今日のチョコレートケーキも美味しかったよ」

「そう。良かった!向こうではチョコレートが食べられなかったのですものね」

「うん。でも戻った途端に好き放題食べるのは、向こうに残してきた璃月たちに申し訳ない気持ちになるよ」


「翼は本当に優しいのね・・・でも、そんなこと気にしなくて良いのよ。あの時代の私たちは、千五百年後にどんな食事をしているのか想像もつかないのだから・・・」

「そうかも知れないけど・・・」

「翼、あまり気にし過ぎないで・・・ね?」


 そう言って望は僕の膝に手を置いた。

「うん・・・そうだね」

 僕らは赤ワインを飲みながらチョコレートをつまんだ。


「翼、また新しいものを造る計画はあるのかしら?」

「うん。あるよ」

「何を作るのか教えてもらえる?」

「地磁気を発生させる装置だよ」


「地磁気?」

「うん。今の地球の地磁気は少しずつ減って行っているんだ。地磁気が無くなれば地球上の生命体は死滅する。それに地磁気の逆転現象が起こっても同じ結果になるんだよ」

「それはいつ起こるの?」

「地磁気が減っていくのは直ぐではないよ。でも逆転現象はいつ起こるのかは分からないんだ」

「怖いのね」


「起こってからでは遅いからね。その前に造りたいんだ」

「それは天照さまにお願いしてイノベーターから教わるの?」

「その手もあるけど僕の手で造ってみたいんだ」

「本当にもの作りが好きなのね・・・」


「それでね。望に期待しているんだ」

「私に?あぁ、私とセックスすると翼の脳が活性化するのでしたっけ?」

「うん。頼むよ」

「別に私が何かする訳ではないのだけど・・・翼が私を可愛がってくれたら良いだけよ」


「では!可愛がらせて頂きます!」

「きゃぁ!」

 望を念動力で持ち上げると同時に抱きしめて、そのままベッドへ押し倒した。


「望、沢山待たせてしまったね・・・望はお姉さんだから我慢して頑張ってくれていたのでしょう?」

「うん。そうね・・・でも、こうして帰って来てくれたから・・・もういいの」


「ありがとう。望」

「お帰りなさい。翼」

 ふたりは抱きしめ合ってキスをするとそのまま、深く愛し合った。


 ふたりはかつてない程の快感に襲われ、夢中で求め合った。僕は何度となく脳が覚醒し、その度に新しい図面や数式、回路図などが浮かび上がってきた。


「望・・・こんなに感じるのは初めてじゃない?」

「えぇ、私、もうどうかなってしまいそう・・・」

「大丈夫?」

「大丈夫じゃないわ・・・溺れているもの・・・」

 そんなことを話しながらもふたりは離れようとはしない。


 どろどろに溺れ、延々と続けてしまう。これって羽月と同じではある。でも違うのは、羽月の場合は彼女に魅了され抜け出せなくなる感覚だ。脳は覚醒どころかもやが掛かったようになり、思考が落ちてしまうのだ。


 望の場合は脳が覚醒し、はっきりとしている。でも全身に快感が広がり、自らそれを求めてしまうのだ。きっと望も同じなのだと思う。


 恐らく脳内に「幸せホルモン」と呼ばれる、アドレナリン、ドーパミン、βベータエンドルフィン、セロトニンなどが分泌ぶんぴつされているのだろうな。


「あぁ・・・また翼とこうしてひとつになれたわ・・・嬉しい・・・」

「僕もだよ。望、愛しているよ」

「愛しているわ、翼」

 そして、真夜中まで延々と愛し合った。




 三日目、新奈と夜を過ごそうと夕食が終わってすぐに新奈の部屋へ行った。

「新奈。お酒は飲むかい?」

「翼!そんなのいいから、こっちへ来て!」


 新奈の念動力で持ち上げられ、ベッドに飛ばされた。そのまま僕に覆い被さり、キスをしてきた。

「新奈・・・激しいね!」

「だって、待ち切れなかったのですもの!」

「ごめんね。一年待ったのに、さらに順番待ちさせるなんて・・・」

「だから・・・すぐして?」

「分かった」


 新奈は僕に跨ったまま、満足するまでキスをすると、そのまま服を脱ぎ捨てた。

下から新奈の裸体を見上げ、思わず見惚れてしまった。


「新奈、君は何て美しいんだ・・・一年ぶりに見て改めて・・・いや、前よりも美しくなったのではないかな?」

「そうかしら?翼が居なかったから何かしていないと落ち着かなくて、時間があるとジムへ行って、ヨガとかウエイトトレーニングをしていたの。それが良かったのかしらね」


「ちょっと、そこに立ってみてくれない?」

「え?裸を全部見せるの?恥ずかしい!」

「そんなに綺麗なんだから、僕に見せないと勿体ないよ?」

「えーそう?」


 新奈は恥ずかしがりながらベッドを降りて真直ぐに立ち、僕にその身体を見せた。

元々、モデル体型で無駄な肉など無かったのだが、ウエイトトレーニングによって、腕や足がより一層引き締まり美しくなった様だ。腹筋も見事に割れている。


 僕は思わず、新奈の前にひざまずき、腕や足を両手で撫でて、その筋肉の張りやしなやかさ、触り心地を確かめていった。


「美しい・・・新奈。最早、芸術の様だよ。君は本当に女神だね・・・」

「そんな・・・褒め過ぎよ・・・」

「褒め過ぎなんてことはないよ。この胸も・・・お尻も・・・本当に美しい・・・」


「そう言えばね、最近、写真集の話がよく来ていたわ」

「え?写真集出すの?」

「いいえ、全て断っているわ。結婚後はモデルの仕事もしていないの」

「良かった・・・」


「やっぱり、翼は私のそういう写真を他人に見られるのは嫌なのかしら?」

「正直言って・・・嫌です」

 そう言って裸の新奈を抱きしめた。


「僕だけの新奈でいて欲しい・・・」

「分かった。写真集の仕事は断るわ」

「僕は君だけのものではないのに・・・僕は自分勝手だね」


「翼、あなたはそんなこと気にしないで良いのよ」

「ありがとう・・・新奈。愛しているよ」

「私もよ。翼。愛してる」

 そのままふたりはベッドに倒れ込み、そのまま愛し合った。


 新奈は以前より更に積極的になった様だ。自分から攻めてくる様になった。

「新奈、何だか前よりも積極的になったね」

「うーん。もしかしたら羽月のせいかしらね・・・姉に焼きもちを焼いていたその記憶から翼に自分を見て欲しくてついムキになっているのかも・・・」


「ごめんね。やっぱり僕のせいだね・・・」

「もういいから!もっと抱いて!」


 それから新奈が満足して眠りに着いたのは朝方だった。

僕は新奈に余程、寂しい思いをさせた様だ。新奈を抱きしめ頬にキスをして僕も眠った。




 翌日は日曜日で皆、仕事や学校はお休みだった。

午後にはお父さんとアネモネが来ることになっている。昼食後にサロンでアネモネを待ちながら皆で話していた。


「ねぇ、もうすぐアネモネが来るのよね?」

「そうね。新奈、何かあるの?」

「翼、今夜はアネモネと寝るの?」

「え?い、いきなりそれは・・・どうかと・・・」


「それは、まだ会っていないからよね。会ってアネモネに魅了されたら、その躊躇ちゅうちょは吹っ飛んでしまうわね」

「新奈お姉ちゃん、アネモネの魅了って、そんなに凄いの?」

「えぇ、男だけじゃないのよ。女も魅了されたら彼女のとりこになってしまうのよ」

「それって、アネモネとセックスするってこと?」

「そうよ。もう四六時中・・・」


「そんなに?」

「なーに?葉留ちゃん、女同士のそういうのに興味があるの?」

「私はノーマルよ。ただ、アネモネを見ていると何か気になるっていうか・・・」

「何かを感じるってこと?」

「そうね・・・それが何かは分からないのだけど?」


「嫌なイメージなの?」

「ううん。その逆よ。変な意味じゃなく、何か繋がりというか私と何か同じ様なところがある気がする・・・って感じかな・・・」

 え?もしかして光月とお母さんが同一人物だから、葉留も何かしら感じているのかな?


「ふぅん。それならアネモネが来たら色々と話してみれば良いのよ。何か分かるかも知れないわ」

「そうね・・・」

「でも、魅了されない様にね。まぁ、そんな経験があっても良いかも知れないけど」


「あれ?そう言えば、姉妹同士では魅了は効かなかったの?」

「そう言えば、羽月と一緒に居ても何も感じなかったわね」

「そうね。姉妹は魅了されないのかしらね」


「今回、陽翔はるとお兄さまは来ないのよね?アネモネは何日間ここに滞在するのかしら?」

「今日、月夜見さまと一緒に来て、月夜見さまは明後日お戻りになるわ。次の滞在の時に一緒に帰るという話だったわ」

「では、二週間弱の滞在なのね」

「陽翔お兄さまをそんなに一人にはしておけないでしょう。王女でもあるのだし」

「そうね。今後も数か月に一度、こちらに訪問する様になるでしょうね」


「まぁ、女神の活動はそう頻繁に行うものでもないでしょうからそれで良いのね」

「そんなにずっと居たら翼が廃人になってしまうかもね」

「ちょっと!新奈!僕はそんなこと・・・」

「ふふっ、冗談よ!」


 その時、お母さんが僕らに向かって手を上げ、耳に手を当てる仕草をした。恐らく、お父さんがこちらへ飛ぶと念話を送って来たのだろう。


「シュンッ!」

「お父さま!」

 皆で声を上げた。


「あ。アネモネ!」

 アネモネは薄いブルーのドレスを着ていた。ストロベリーブロンドの美しい髪は、ウエーブが掛かり腰まで長く伸びていた。


 アネモネは、いち早く僕を視界に捉えると妖艶な笑顔を向けてきた。


「皆さん、お久しぶり。お世話になりますね」

「アネモネ。いらっしゃい」

「瑞希お義母さま。よろしくお願いいたします」


「天照さまに聞いたのだけど、宝石が届いているそうだね?」

「はい。月夜見さま。こちらの四つの箱がそれです」

「もう、中身は見たのかい?」

「いいえ、アネモネが来てから一緒に見ようということで、まだ見ていません」


「では早速、宝石を見てみようか」

「えぇ、では皆、こちらに来て一斉に箱を開けてみましょうか」

「はい。お義母さま」


 望、アネモネ、新奈と結衣はそれぞれ、端から並んで箱の前に立った。

「では、開けてみて」


「うわぁ!凄い!」

「まぁ!何て美しい!」

「これ、ティアラよ!それも最高級だわ!」


「えぇ、こんなにダイアモンドが沢山付いているティアラは見たことがないわ!」

「ネックレスとイヤリング、それに指輪が三セット入っているわ!」

「ブルーサファイア、ダイアモンドにルビーね」


「ネックレスも大変なものね!」

「このイヤリングと指輪も美しいわ」

「これ、地球で買ったら幾らするのかしら?」

「一億とか二億っていう単位じゃないかしら?」


「私、気を失いそうだわ・・・」

「凄いわね・・・」

「これって天照さまからのご褒美なのでは?」

「そうね。私たち三人の妻を一年間待たせたのですものね」

「あぁ、そういう意味もあるのだろうね。でもそれだと謝罪の品かな?」


「あら?それならアネモネは得ね?」

「ふふっ、そうなるわね。お姉さまたちには申し訳ないわ」


「あぁ、葉留。天照さまが葉留にも宝石をくれたよ」

「シュンッ!」

 葉留の目の前に同じ箱が現れた。

「え?私にも?」


「ちょっと早いけど、結婚祝いだってさ」

「本当ですか!お父さま!」

「うん。天照さまは、ちゃんと葉留のことも考えてくださっていたんだよ」

「まぁ!お姉さま達と同じセットだわ!」


「葉留、これならいつでも代役で出られるね」

「えー?私、出るつもりはないわよ!」

「ふふっ、分かっているよ」

「でも、政治家の妻の顔の時はカツラとカラーコンタクトで変装するのでしょう?それなら、素顔で神デビューしても分からないじゃない!」

「あぁ、そうか!それもそうね・・・考えておくわ」


「アネモネ。三日後に天ヶ瀬芸能事務所へ打ち合わせに行くの。アネモネは私たちと同じウエディングドレスが無いから、そのドレスで良いわね?」

「え?天ヶ瀬芸能事務所?」

「そうよ。前世でその事務所に所属していたでしょう?」

「えぇ、そうよ。何故、それを知っているの?」


「私の所属事務所なのよ。今の社長は娘の美歌さんだけど、前社長もご健在よ」

「え?あの可愛かった美歌が社長?信じられない!では、社長と美歌に会えるの?」

「えぇ、会えるわ。二人とも楽しみにしているのよ。そして、また一緒に仕事ができることが嬉しいって、言っていたわ」


「まぁ!本当に?嬉しいわ!」

「アネモネ。事務所では私たちがこのアクセサリーを着けたドレス姿を見てもらって、デザイナーが衣装のイメージを決めるわ。あとはグループ曲を依頼するの。アネモネのソロ曲はアネモネが作るということで良いのよね?」

「えぇ、自分で作りたいわ」


「そのためにはどんなところへ行って、どんなものが見たいの?」

「そうね。まずは生まれ故郷の長野へ行きたいわ」

「あ。そう言えば前世のご両親は存命なのかしら?」

「うーん。どうかしら?まだ七十歳になっていないから病気をしていなければ生きているかな?」

「では、会いに行く?」


「え?前世の親に会うの?この姿で?私だと分からないでしょう?」

「いや、アネモネ。親子でしか分からないことを話せば信じてもらえるよ。私の妻たちも前世の親に会っているからね」


「アネモネ。私は前世の親とここで一緒に暮らしているのよ?」

「え?あの、そちらのお二人がそうなのですか?」

「えぇ、私の前世の両親よ。翼と葉留の祖父母ってことよ」


「そうなのですね・・・でも・・・私・・・親には・・・会いたくない・・・かな・・・」

 アネモネは表情が一変し、うつむいたまま黙り込んでしまった。

「アネモネ・・・何か辛い思い出があるのだね?」

「はい・・・お父さま」


「それならば、無理をすることはないよ。自分の見たい景色だけを見に行けば良いんだ」

「はい・・・」


「それじゃ、葉留。アネモネにこの月の都を案内してくれるかしら?」

「はい。お母さま。アネモネ。行きましょう?」

「えぇ、葉留ちゃん」

 二人はサロンを出て行った。残った者たちは顔を見合わせた。


「アネモネ・・・いや、天舞音あまねの過去には問題がありそうだね」

「もしかして、魅了って千五百年前からずっとそうなのかしら?」

「そうだとしたら、トラブルが起こっても不思議ではないわね」

「勿論よ、普通の恋愛はできないわ」


「ねぇ、天舞音ってシンガーソングライターよね?どんな歌が多かったのかしら?」

「そうね・・・恋愛の歌が多かったわ。それも若い女の子の恋愛に憧れる感じの詩とか、失恋の詩とか?」

「どちらにしても、あまりこちらから触れない方が良いわね」

「えぇ、そうしましょう」


 葉留とアネモネは、庭園を歩きながら話をしていた。

「アネモネ、あなた、お兄さまの妻になるのですって?」

「えぇ、そのつもりよ」

「千五百年前の世界であなた達姉妹は、皆、お兄さまの子を産んだのよね?」

「えぇ、そうよ。でも私だけ二人で、他の姉妹は四人も産んだのだけど・・・」


「ねぇ、お兄さまとのセックスって・・・そんなに良いの?」

「それはもう!・・・葉留ちゃん。翼さまとしてみたいの?」

「え?それは・・・」

「ふーん。したいのね。それならしてみれば良いのよ」


「え?だって・・・お兄さまは拒否するに決まっているわ」

「そうね。真っ向から迫ったらそうでしょうね」

「他に方法があるの?」

「葉留ちゃん。その前に良いかしら?」

 アネモネは真剣な表情で葉留に向き直った。


「え?何?」

「葉留・・・あなた・・・千五百年前の私と翼さまの娘、夕月ゆづきの生まれ変わりではないかしら?」

「え?私がアネモネとお兄さまの娘?」

「私ね・・・能力の一つなのか、そういう繋がりが見えるというか、感じるのよ」


「それで、お姉さま達が姉妹だとか、陽翔はるとお兄さまが息子だって、分かったの?」

「そうよ。そして葉留は私の娘、夕月と同じだと感じているの」

「だからなんだわ!私、アネモネのこと何か繋がりがある、似ているところがあるって思っていたの。それじゃぁ、お兄さまのことも父親としての感情だったのかしら?」


「えぇ、そうだと思うわ。翼さまとセックスしたいのとは違うと思う。あなたも月翔つきとと同じで、目の前で私と翼さまや巫女が一日中セックスしているのを見ていたの」


「その記憶で翼さまがセックスする姿が無意識に頭に浮かんで来てしまうのよ」

「あぁ・・・そう言われると何だか、凄くしっくりくるわ。古い記憶から勘違いしていたのね」


「そういうことだと思うわ。おかしな母で申し訳なく思うわ」

 アネモネはとても辛そうな表情になり唇を噛んだ。

「でも、それは持って生まれた神の能力のせいなのだから仕方がないわ」

「私を恨まないの?」


「恨むことなんてことはないわ。私がセックスを恥ずかしいことと思わない理由が分かってスッキリしたわ」

「恥ずかしくない?どういうこと?」

「私ね、婚約者が居るのだけど、初めて会ってからずっとその人の意識に入って私生活を見ていたの。勿論、入浴もね。だから初めてセックスした時も全然恥ずかしくなくて、相手にあきれられたの」


「それは駄目ね。私が初めから教えてあげられたら良かったのに・・・」

「今からでも相手を悦ばせるセックスを教えて欲しいわ」

「それならば、今夜、翼さまとセックスするから見ていたら良いのよ」

「え?お兄さまとのセックスを見ろって言うの?」

「もう、散々見て来たでしょう?あぁ、でもはっきりと記憶が戻っている訳ではないのよね」


「どうしたら記憶が戻るのかしら?」

「記憶を戻したいの?」

「えぇ、千五百年前の記憶なんて素敵じゃない!」

「そうかしら?やることもない神の世界よ?まぁ、神星に移り住んでからはグースベリー王国を建国したし、あなたは公爵家をおこしたから、その記憶は取り戻せるわね」


「うん。その記憶が欲しいわ!」

「そうね・・・私とセックスすれば取り戻せるかも知れないけど?」

「え?アネモネとセックス?」

「嫌よね?」


「そう言えば、私、アネモネに魅了されていない気がするのだけど?」

「多分、家族には効かないのよ」

「では、本当にアネモネとお兄さまの娘なのね?」

「そうだと思うわ」


「それで・・・どうする?」

「するわ!」

「やっぱり、私の娘ね。では、この後で良いかしら?」

「えぇ、次は城の中を案内するわね」


 城の中の部屋を一通り案内して二人は一度、サロンへ戻った。


「素敵なお城ですね。富士山や日本の風景も久しぶりに見て感動しました」

「長野には明日、行ってみようか」

「えぇ、翼さま。お願いします」

「アネモネ。もう翼と呼んでくれないかな」


「良いのですか?」

「うん。構わないよ」

「はい。分かりました。翼・・・」

 あ・・・やられた・・・流し目からのウインクで魅了されてしまった。もう、心臓がドキドキしている。


「私、アネモネと話があるから・・・二人で部屋に行っているわね」

「あらそう。分かったわ」


 葉留はアネモネを自分の部屋へ招き入れた。

「葉留、良いのね?」

「えぇ、お願いします」


 アネモネはドレスを脱ぐと葉留の服も脱がしていった。

「女の子同士でこんなこと・・・なんだか恥ずかしいわ!」

「それが普通の反応よ・・・」


 アネモネは裸になった葉留を抱きしめるとベッドに押し倒した。

ねっとりとしたキスをすると、それだけで葉留の頭はボーっとした。

「葉留、あとは全て任せて・・・」

 葉留はアネモネにされるがままとなった。


 アネモネは葉留の身体を目覚めさせ、快感を引き出していった。葉留は経験したこともない快感に包まれ絶頂に達した。


 そうしているうちに葉留の脳裏に過去の記憶が呼びまされた。

「あぁ・・・アネモネ・・・最高・・・こんなの初めてよ・・・」

「葉留、ここまでの悦びをお相手に求めては駄目よ?」

「そうね、上手く導くことを考えてみるわ」

「それで良いのよ」


「あぁ・・・私・・・思い出したわ」

「記憶を取り戻したのね?」

「えぇ、確かにお兄さまが私のお父さまだったわ。そして私と同じ顔をしたアネモネと一日中セックスしている姿も思い出したわ。それと陽翔お兄さまは千五百年前も私のお兄さまだった・・・」


「そう。嫌な気持ちにならない?」

「ううん。大丈夫。やはりこの記憶がもとになって、今の私があるのだわ」

「やっぱり、セックスをもっと知りたいの?」

「えぇ、そうね。徹さんを悦ばせたいもの」


「それなら今夜、私と翼のセックスを隣の部屋から透視して見ていると良いわ」

「お兄さま、アネモネが来た初日にいきなりセックスするかしら?」

「大丈夫。さっき、魅了しておいたから・・・」

「え?お兄さまはもう魅了された状態なの?」


「えぇ、今頃、私としたくてソワソワしている頃よ」

「凄い自信ね」

「だって、それが私の能力だもの」

「私にもその能力、少し欲しいわ」


「こんな能力。絶対に無い方が良いわ。これがあって幸せだった人生は翼と結ばれた時だけよ」

「え?アネモネは過去の人生を全て覚えているの?」

「はっきりと全て覚えている訳ではないの。でもこの能力のせいで、酷い人生ばかりだったわ。それを全て覚えていたら・・・生きていけないと思うくらいにね・・・」

「そ、そんなこと・・・でも・・・少しだけ分かるかも・・・」


「えぇ、葉留。こんな能力は無い方が良いのよ」


 アネモネは妖艶な姿で悲しそうに微笑みながら言った。


お読みいただきまして、ありがとうございました!

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