16.新奈と結衣への愛
葉留と徹、僕と新奈と結衣は婚約した。
「それで、話が脱線したと思うの。望さんの別荘の話は?」
葉留は中学二年生だ。まだ十三歳のくせに見た目はもう大人だ。しかも結婚も決めて余裕の態度って奴なのか、それともこの怖いもの知らずなところはお母さんゆずりなのかな・・・
「あぁ、そうだったね。望先輩から治療のお礼に夏休みに海の別荘へ行かないかと誘われたんだ。メンバーは望先輩と美樹先輩。葉留と徹。巧と僕。そして新奈と結衣の八人だ」
「あら、そんなに沢山なのね?」
「部屋はどうなっているの?」
「寝室は二人部屋が四つだそうだよ。そうだな、望先輩と美樹先輩、徹と巧、新奈と結衣、僕と葉留。そうするしかないよね?」
「まぁ、それが妥当かしらね」
「えーっ、徹さんと同じ部屋じゃないの?」
「葉留はまだ、中学二年生なんだぞ!」
「そうね。保護者が一緒でないと駄目よね」
「翼、それより神代重工のWeb会議はどうするのですか?」
「それは別荘に通信設備があるそうだから、パソコンを持って行けば会議には出られるよ」
「研究は?」
「どうしても必要な時や資料を作らないといけない場合は、瞬間移動でここに戻るから大丈夫かな?」
「では、本当に夏休みが取れるのね!それなら良かったわ!」
結衣はいつでも僕を心配してくれている。
「ねぇ、九十九さんが翼の助手なのかい?」
「えぇ、そうよ。会議の資料作りを手伝ったりしているわ」
「もう、実質女房なんだね」
「えへっ・・・」
結衣が照れて真っ赤だ。
「て言うかさ。神代重工とのWeb会議って何やっているんだ?」
「あぁ、反重力装置を使ったプロジェクトが始まっているんだよ」
「え?神代重工でやることになったんだ・・・今度、詳しく教えてくれよ」
「分った。別荘に行った時でも良いかな?」
「あぁ、それで良いよ」
「それでは別荘に行くってことで良いのかな」
「私、仕事が入ったらどうしよう」
「その時は僕が新奈を瞬間移動で送り迎えするよ」
「ちょっと待って。その美樹先輩って人と神宮寺君は翼の素性を知らないのよ。話してしまうの?」
「結衣。それは見ていないところで瞬間移動するということで・・・」
「それで、不思議に思われないかしら?」
「それともバラす?」
「それだと翼と葉留さんの素性を六人の人間が知ることになるな」
「徹さん。私のことは葉留と呼んで」
「え?葉留・・・」
徹が真っ赤な顔になった。
「巧はまだ分かるんだけどな・・・その美樹先輩という人はなぁ・・・」
「そうだね。その人の事、何も分からないね」
「それは行ってから様子を見て決めませんか?」
「それが良いかな?」
「では、ここに居る人は参加で良いのかな?」
「えぇ、参加で良いわ」
「翼が行くならどこへでも行くわ」
「私も徹さんが行くならどこへでも行くわ」
「勿論、行くよ」
「では明日、巧に声を掛けよう」
翌日、午後の最後の授業が終わり、僕の席に新奈が来たタイミングで巧に声を掛けた。
「巧、ちょっと話があるのだけど」
「うん?なんだい?」
「夏休みに海の別荘へ行かないか?」
「え?別荘?誰と?」
「徹と葉留、僕と新奈と結衣、それに一ノ瀬先輩と美樹先輩だよ」
「えーっ!またお前たちのイチャイチャを見せつけられるのか?」
「いや、別にそんなつもりではないのだけどね・・・あと、勉強もするからさ、例の二酸化炭素の話もできるし」
「あ!それがあったな!参加だ!参加するよ!」
ふふっ、巧はちょろいな。
「ねぇ、水着はどうする?」
「あ。私、持っていないわ」
「それなら葉留と三人で買い物に行くと良いよ」
「あぁ、そうね。今度の土曜日に行きましょう」
「翼はビキニとワンピース。どっちが好き?」
「え?そうだな・・・どちらでも構わないけど・・・強いて言うならビキニ?」
と、その時、葉留から念話が入った。
『お兄さま。徹さんにもどっちが良いのか聞いてください!』
『あ!また見ていたのか!じゃぁ、土曜日の買い物は大丈夫なんだね?』
『えぇ、勿論、行くわ』
「徹はどっちが好きなんだ?」
「え?俺?葉留の水着?えーっ!水着か・・・そりゃぁ、ビキニが良いけど・・・」
「けど?」
「翼や巧とか他の見ず知らずの男どもに葉留の水着姿を見せたくないな・・・」
「徹って独占欲が強いんだね!」
「え?翼は神代さんや九十九さんの水着姿を他人に見られても平気なのか?」
「そう言われてしまうとな・・・確かにそこまで考えていなかったよ」
「でもね、翼。そもそも私はモデルだから。肌の露出の多い服を着て人前に出るのが仕事なの。そんなことを言っている場合ではないわね」
「あぁ、そうか・・・」
「でも、ビキニは買うし、着るけれど、ほとんどは日焼け防止でTシャツとか短パンを着ているから、そうそう他人に肌は見せないわ。だから大丈夫よ」
「あ!それなら葉留と買い物に行く時に上に着るものの話をしておいてくれる?」
「徹。葉留はもう聞いているから大丈夫だよ。土曜も大丈夫だってさ」
「あ。そうか・・・葉留。頼むね」
徹は僕に向かって葉留に話し掛けた。
「おいおい。お前たち、さっきから何、訳の分からない会話をしているんだ?」
「あぁ、巧。ごめん。別荘へ行ったら話すからね」
「なんだかなぁ・・・」
その日の夜、僕は新奈にメッセージを送った。
「今から新奈の部屋へ行ってもいいかな?」
「スイッ!」
「ピコン!」
相変わらず、秒で返事が来る。
「一分だけ待って!」
「分かった、一分後に飛ぶね」
「スイッ!」
「シュンッ!」
「翼!」
「新奈。夜遅くにごめんね」
「ううん。来てくれるなんて嬉しいわ!」
新奈が抱きついてきた。僕も新奈を抱きしめる。新奈は僕の胸に顔を埋めて匂いを嗅いでいる。匂いフェチなのかな?
「一分間で何をしたの?」
「下着とTシャツを着たわ」
「え?裸だったの?」
「うん。私、自分の部屋では裸族なの」
「そ、そうなんだ・・・今後も飛んで来る時は必ず、連絡してから来るよ」
「でも・・・翼に隠すこともないのね。いつでも来ていいのよ?」
「うん。それで今日の水着の話なのだけどね」
「その話ね。ベッドに座りましょうか」
ふたりでベッドに座り、新奈が手を繋いできた。
「どうしたの?やっぱりビキニはやめておいた方が良いかしら?」
「いや、今後のことだけど、新奈は僕と婚約したことでモデルやアーティストの仕事を制限したりするのだろうかと気になったんだ」
「あぁ、そういうこと・・・私は元々、グラドルみたいに豊満な身体じゃないから、やっているのはファッションモデルなの」
「水着の仕事はしたことがないし、今後もするつもりはないわ。アーティストにはなれるか分からないけれど、今時、歌の仕事をする人が水着姿を見せることなんて、写真集でも出さない限りはないわね」
「では僕とは関係なく、新奈自身として水着の仕事をする気はないってことかな?」
「えぇ、そうよ。安心して」
「いや、僕は徹みたいに独占欲が強い訳ではないから新奈がやりたいなら構わないんだ」
「うーん。そう言われてしまうのもちょっと切ないかな・・・」
「え?徹みたいに言った方が良かったの?」
「そうね。程度問題だけど、あんな風に言ってもらえるのって嬉しいのよ」
「そうか・・・分かってなくてごめん」
「いいの。翼は自分のことより私の意思を尊重したいのでしょう?」
「うん。そのつもりだったんだけど」
「そうか・・・葉留が言うところの徹の男らしさって奴なんだね」
「ふふっ、葉留ちゃんってホントに大人の女ね。お姉さんタジタジだわ」
「うん。僕もそう思うよ」
「今日はその話だけ?」
「いいや。結衣とはいつも一緒だからさ、新奈との時間も作りたいと思って」
「ホント!嬉しい!」
新奈は僕に覆い被さって来てベッドに倒れ込んだ。
「翼。愛してる!」
そう言って新奈はキスをしてきた。僕は新奈を抱きしめてそれに応えた。
新奈はキスが終わっても僕の身体にしがみついて離れない。耳や首にキスをしながら匂いを嗅いでいる様だ。
「新奈って匂いフェチなの?」
「え?匂いフェチ?そうなのかな?だって、翼ってなんだか凄く良い匂いがするの。この匂いを嗅いでいると頭がボーっとしてくるのよ」
「ふーん。自分の匂いは分からないな。良い匂いなんだね?」
「えぇ、とっても!」
そう言って再びキス魔になる。
「新奈、そんなにされると我慢できなくなってしまうよ」
「え?我慢しなくて良いのよ?」
「いや、まだ早いでしょう?」
「では、私がお願いしたら?だって婚約もしたでしょう?」
「婚約が早過ぎたんだよ。僕たちはまだ高校一年生だよ。それに新奈のご両親にお付き合いしていることを話してもいないのだからね」
「それは・・・そうね」
「婚約はしたのだし、焦ることはないよ」
「えぇ、そうね」
「しばらく抱きしめていてあげるから」
「うん。じゃぁ、いっぱい甘えさせて!」
「分かった」
僕は新奈とキスをして抱きしめた。新奈はTシャツしか着ていなかったから身体の肉付きがよく分かった。モデル体型で細いと思っていたが、思ったよりボリュームがあることが判明した。
「ねぇ、翼。私の身体は見ておいてくれる?」
「それって、裸をってこと?」
「えぇ」
そう言ってTシャツと下着を脱いでしまった。
「新奈。君は美しいね」
「ホント?翼にそう思われたのなら、今までの努力が報われるわ」
「うん。本当に美しい・・・ずっと見ていたい。これなら他人に見せたくないな」
「嬉しいわ・・・」
それから新奈の身体を隅々まで確認する様に見て、更に透視して女性特有の病気がないかも診ておいた。
「うん。病気もないね。身体の中もきれいだよ」
「まぁ!翼はそんなこともできるのね・・・」
「新奈。愛しているよ」
「嬉しい。私も翼を愛してる・・・」
日付が変わるまで抱き合って過ごし、僕は月の都の部屋へと帰った。
次の土曜日、水着を買って結衣と葉留が帰って来た。
葉留を月の都へ送り、夕食後、僕はいつもの様に結衣と研究室へ入った。
「結衣、どんな水着にしたんだい?」
「私としてはワンピースの方が良かったのだけど、新奈と葉留ちゃんと話して、ビキニにしたわ」
「無理していないかい?」
「大丈夫。翼、皆に見せる前に水着姿を見てもらってもいい?」
「構わないよ」
「それじゃ、五分後に私の部屋に来てくれる?」
「分かった」
結衣は自分の部屋へ移動した。それから五分経過したのを確認して結衣の部屋へ瞬間移動した。
「シュンッ!」
結衣はビキニを着てベッドの前に立っていた。結衣は思っていた通り胸が大きい。
新奈はBカップだそうだが、結衣はFくらいありそうだ。どうしても視線がそこへ行ってしまう。胸の谷間が刺激的だ。
「結衣・・・綺麗だ。ビキニも可愛いね」
「本当?嬉しいわ」
「でも、やっぱり海でTシャツは脱げないね」
「え?何かおかしい?」
「いや、魅力的過ぎるんだ・・・他人に見せたくない」
「え?私が?」
「結衣・・・」
「どうしたの?」
「キスさせて」
「はい」
僕は結衣を抱きしめてキスをした。
「結衣。君は本当に愛おしい人だ」
「私が?」
「うん。きっと入学式で初めて会った時から愛していたんだね」
「あぁ・・・翼。嬉しい」
そしてふたりは再びキスをした。
結局、別荘には八月のお盆の頃に行くことになった。
神代重工もお盆休みに入るので、そこならば会議が無いのだ。それに望先輩の夏期講習が八月初めまであったのだ。
僕は週に一度、望先輩の診察をするついでに勉強も見てあげた。望先輩は一生懸命に勉強し、入院時の遅れを取り戻した。
皆も別荘に行く間は思いっ切り遊びたいと、それまでに宿題を終わらせるべく、忙しく勉強していた。勿論、僕は新奈と結衣の宿題の助言をして、早く終わる様に手伝った。
そして、皆で別荘へ行く日が来た。東京駅に集合し、電車で別荘へ向かうのだ。
「望先輩、美樹先輩。こちらはクラスメートの神宮寺 巧です」
「お招き頂き、ありがとうございます。神宮寺 巧と申します」
「私は一ノ瀬 望です。よろしくお願いします」
「私は天羽美樹です。よろしくお願いします」
「結城 葉留です。お招き頂きありがとうございます」
「榊 徹です。お招き頂きありがとうございます」
「神代 新奈です。よろしくお願いします」
「九十九 結衣です。よろしくお願いします」
「皆さん、よく来てくださいました。ありがとう。皆さん、私のことは望って呼んでくれていいのよ。先輩は堅苦しくて嫌だから」
「いや、名前呼びはちょっと・・・「一ノ瀬さん」では駄目ですか?」
「うん。俺も気が引ける」
徹がそう言い、巧が続いた。
「あぁ、そうね。「先輩」を付けないなら良いわ。でも翼君は、望って呼んで欲しいな・・・」
「構いませんよ。僕も翼で良いですよ」
「ホント?嬉しい!」
「うわ!望!なんか進んでない?」
「え?あぁ、でもそうでもないのよ・・・」
「そうなの?」
「そういう話は向こうに着いてからね」
「えぇ」
電車には僕と巧が並んで座り、向かいには望先輩と美樹先輩が座った。隣の四席には徹と葉留が並び、その向かいに新奈と結衣が座った。
伊豆へ向かうパノラマ特急の車窓の景色は、小田原を過ぎて大きく変わった。相模湾を望み碧くきらめく海の向こうに初島や大島が見えた。僕らはお菓子を食べながら他愛もない話をして過ごし、昼前に到着した。
駅からはタクシー二台に分乗して別荘へ向かう。
こんなところに入るの?という様な、両側をうっそうとした雑木林に囲まれた細い道を入って行く。その林を抜けると大きな屋敷が見えてきた。
到着してみるとその別荘の大きさに一同は大変に驚いた。玄関には使用人と思われる二人が待っていた。
「望お嬢さま、お客さま。お待ちしておりました」
「おじさん、おばさん!お久しぶり!」
「皆さん、こちらは私たちが滞在中、お掃除や雑用をしてくれる方よ。料理人は別に居るわ」
「え?使用人が居るの!」
「そうね。だって、こんなに大きいのですもの。料理や掃除まではとてもできないわ」
「流石、縦ロール!」
「え?今、なんて?」
「い、いえ、こちらの話です・・・」
巧が自分の失言に赤い顔をしている。
「皆さま、こちらへどうぞ」
玄関から居間に通された。居間の窓からは大きなプールや海が見渡せた。
「うわぁ!プールがある!」
「海も目の前なのね!」
「海は小さな入り江になっていて、プライベートビーチなの」
「プ、プライベートビーチ!マジか!」
「それなら、他人の目は気にしなくて良かったんだね」
「ビキニにして良かったわ!」
「でも葉留、俺はこのメンバーにも極力、君の水着姿を見せたくはないよ」
「まぁ!徹さんったら・・・」
「まぁ!二人はカップルなの?」
「えぇ、そうよ」
「葉留ちゃんって、どう見ても大人よね?翼の妹なのよね?」
「そうですよ。葉留は中学二年生。十三歳ですよ」
「え!それで十三歳?彼氏も居て、その容姿・・・」
美樹先輩が絶句している。何やらショックが大きい様だ。
「アイスコーヒーとアイスティーをお持ちしました」
その声に一同はソファに落ち着いた。皆の希望を聞いて、飲み物を出すと使用人のおばさんは下がって行った。
「望、今の方は使用人なのですよね?おじさん、おばさんと呼んでいたけど」
「そうなの。ややこしかったわね。両親は苗字で呼ぶけど、私は子供の時からおじさん、おばさんって呼んでいるわ。二人はここに住み込みで管理をしているの」
「そういうことでしたか。それにしても豪華な別荘ですね」
「そうね。温泉もあるわよ」
「それは嬉しいですね」
「伊豆だから温泉は当たり前らしいけど」
贅沢で広い居間には三人掛けソファが四つある。その内のひとつに僕と新奈と結衣が座っている。ふたりとも僕が座ると僕の両脇へ、あまりにも自然にそして当然の様に座ったのだ。
落ち着いてアイスコーヒーを飲んでいると、美樹先輩が僕らを見ながら言った。
「な、何だか・・・翼君たちって落ち着いているっていうか・・・もう夫婦みたいね」
「えぇ、もう三人の中では婚約していますから」
「婚約!?三人で?」
「えぇ、僕は新奈と結衣と結婚しますから」
「結婚?」
「おいおい、聞いていないぞ!」
巧はふたりとも恋人であることは知っているけど結婚のことは流石に知らない。
「二人と結婚はできないでしょう?」
美樹先輩も頭に?マークが一杯浮かんでいる。
「美樹。翼は特別なの。それはまた後でね」
「え?特別?え?何?」
「望、美樹先輩との付き合いは長いのですか?少し美樹先輩のお話を伺っても良いですか?」
「そうね。皆に美樹のことを話しておかないと自由に話ができないわね」
「え?望。それどういう意味なの?」
「ごめんね。美樹。前もって話しておきたかったのだけど難しかったの」
「美樹とは親同士の付き合いがあるの。小さい時から友達なのよ。美樹は天羽化学の社長令嬢なの」
「え?天羽化学!」
「巧、知っているのかい?」
「知っているも何も、俺は天羽化学に就職するのが夢なんだ!」
「え?うちの会社に?」
「美樹先輩。巧は科学者志望の秀才ですよ。将来は温室効果ガスの元を断つため、二酸化炭素を科学的に分解除去する研究をするそうです」
「そうなのね。昔、うちの会社では石油化学製品を製造していたのだけど、天照さまが降臨されてからは、再生可能エネルギーの普及に努めてきたわ。でも温室効果ガスを大量に作り出した責任の一端はうちの会社にもあるから、私も神宮寺君と同じことをしたいと考えていたわ」
「お、俺と同じ夢を?」
「美樹先輩、今回、そういった勉強会もしようと思っているのです。参加されますよね?」
「えぇ、是非・・・でも、どうしてあなた達はその歳でそんなことを?」
「望、新奈、結衣。この二人には僕の素性を話しても良いと思うのだけど」
「そうね、大丈夫なんじゃないかしら」
「美樹のことなら、私が保証するわ」
「え?望、何のことなの?」
「素性?」
美樹先輩が天羽化学の社長令嬢ならば、巧とも今後関わることがあるだろう。
この二人にならば、僕の素性を話しておいても大丈夫だろう。
お読みいただきまして、ありがとうございました!