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4.妻たちの実家訪問1

 今日は同じ山形県内での移動だ。舞依の実家へ飛ぶのだ。


 舞依は宿の部屋から実家に普通に電話を掛けた。

「もしもし。あ。お母さん?私。舞依よ」

「舞依!今、どこに居るの?」

「昔、家族で行った県内の温泉よ。これからそっちに行っても良いかしら?」

「どれくらいで来られるの?」

「すぐに行っても良いなら十分後には飛ぶわ。十人で居間に現れるから驚かないでね」

「分かったわ。こちらは大丈夫よ。待っているわ」


「では、行きましょうか?」

 会計は部屋の方で済ませてあったので僕らは宿のフロントへ集まった。

「神さま、ありがとう御座いました!」

『皆さん、お世話になりました。素敵な経験ができました。ありがとう』

 僕は声を出さず念話で、ここに見える人にだけ伝わる様に挨拶をした。


「シュンッ!」

「うわぁ!消えてしまったわ!本当に神さまだったのね!」

「どうしましょう!神さまにご宿泊いただけたなんて!」

 従業員は皆、飛び上がって喜んでいた。




 舞依の力で記憶の中の実家へと全員を瞬間移動させた。居間に現れると、そこには舞依の両親が居た。


「お母さん、お父さん!」

「舞依!舞依なのかい?」

 舞依はお母さんに抱きついた。でも身長差がかなりあるので、舞依がお母さんを包み込む様に抱いた。という感じになった。


「えぇ、そうよ。ご無沙汰しています。二十年ぶりね」

「ご無沙汰?何か変な挨拶だね。それにしてもこんなに大きく綺麗になってしまって!それに我が家に神さまが勢揃いするなんて!」


「お母さん、碧井正道さんよ」

「碧井さん?この方が?神さまよね?」

「お父さん。お母さん。お久しぶりです。二十年前、舞依を追って自殺してしまい、皆さんを二重に悲しませてしまったこと。お詫びします」

 妻たちが神妙な面持ちとなり、黙って聞いていた。


「あ、あぁ!本当にまぁくんなのね!いいえ、まぁくんは自分の人生を全て舞依に捧げてくださったのですから・・・私たちには、お礼の気持ちしかありません。この上、こうして二人が結婚して神さまとなって帰って来てくれるなんて!本当に嬉しいわ」


「舞依。子ができたのではなかったのか?連れて来ていないのかい?」

「お父さん、ごめんなさい。子供たちは地球に連れて来ることができなかったの。写真を持って来たからそれで我慢してもらえるかしら」


「そうなのか。それは残念だな。でも二人が元気で幸せならそれで良いんだ」

「えぇ、私もまぁくんも幸せよ」

「あ!これってアルの写真だね。懐かしいな」

 テレビの横の棚にあった写真立てに気付いたのだ。この家では舞依の部屋もそのままになっていたっけな・・・


「そう、アルテミスね。そうだ。お母さん!アルはね。転生して馬になったの」

「え?アルが馬に?」

「そうよ。縁あって私の馬になったセレーネはアルの生まれ変わりだったの」

「では、新しい世界では碧井くんだけでなくアルも一緒なのね」


「アルだけではないわ。まぁくんが拾った小白も転生して一緒に暮らしているわ」

「あぁ、そんなことがあったわね。小白も馬になったの?」

「いいえ、小白は狼になったの」

「え?では狼を飼っているの?」

「えぇ、そうよ。それも大きいの!」

「凄いのね!」


 それから妻たちを舞依のご両親へ紹介した後、妻たちは瑞希の力で月の都へ帰って行った。僕と舞依は、舞依の両親とお茶を飲みながら昔話に花を咲かせた。


 昼ご飯は舞依のリクエストでカレーライスだった。舞依は何度も美味しい、懐かしいと言いながら喜んで食べていた。確かに僕も子供の頃にご馳走になったことがある。やけに甘くて大きく切ったじゃがいもがゴロゴロ入ったカレーだった。本当に懐かしい。


 食後に帽子やマスク、サングラスで変装をしてふたりで近所を散歩した。


 三軒隣の僕の実家の前を通ったが僕の家は無くなって更地になっていた。

「まぁくんの家が無くなっているわ」

「うん。実はね。僕は病院勤務が始まって寮に入った後、一度も父親に連絡していないんだ。向こうからは数回、電話の着信があったのだけど気付かなくてね。そのまま返信もしていないんだ。だからいつ引っ越したのかもどこへ行ったのかも分からないんだ」


「戸籍を調べれば分かるのだろうけれど、そんな興味もなかったしね」

「まぁ!そうだったの。でもあなたとお父さんの関係性ならば仕方がないことね」


 その後、小白を拾った公園やふたりで歩いた通学路など、懐かしい景色をゆっくり歩いて見て回った。


「まぁくん、この景色を見ても大丈夫?」

「人間って、辛い過去は忘れようと努めるものでしょう?それに異世界で頭をフル回転させているし、新しく覚えたことも膨大だから日本での医学の知識と舞依以外の記憶はあまり鮮明には残っていないんだよ」

「そう。大丈夫ならいいの」


「舞依は日本とか地球で行ってみたいところはあるの?」

「そうね・・・まぁくんともっとデートしたかったなとは思っているわ。でも二人きりで出掛けることなんてできないでしょうから・・・」


「今、二人きりで出掛けているじゃないか。瞬間移動でどこへでも行けるんだよ?」

「え?あ!そうだったわね!」

「デートはどこに行きたかったの?」

「うーん。もういいの。この姿では日本のどこに行っても目立ってしまうでしょう?落ち着いて楽しめないわ」


「それはそうかも知れないけど・・・」

「それにね。神星にも美しいところは沢山あるわ。これからいくらでも二人だけで出掛ける機会はあるでしょう?」

「それもそうだね」

 ふたりは近所を散歩して舞依の実家へ戻った。


 舞依の部屋へふたりで入ってみた。

「やっぱり私の部屋はそのままになっているのね」

「懐かしいな・・・このベッド」

「そうね・・・」

 ふたりでベッドに腰掛けた。


「こうしているとやっぱり、少しだけ感傷的になってしまうわね」

「でも、ここから現在まで、ずっと続いているって思えば悲しくはないかな」

「あぁ!そうね!続いているのね。私の人生は病気で死んで終わったと思っていたけど、続いていたのだわ!」

「うん。そしてまだまだ先は長いんだ」

「えぇ、あと四百八十年続くのね」


「だから神星でも、地球でも、二人きりでも、皆一緒でも、好きな時に好きなところへ行けるんだよ」

「えぇ、そうね。凛月りつき蘭華らんかも生まれたばかりなのですものね」

「そうだよ。これからだよ」

「まぁくん。キスして!」

「ここでするのは何年ぶりなのだろうね・・・」

 そう言って舞依を抱きしめてキスをした。そして舞依は明るさを取り戻した。


 今夜はこのまま舞依だけが実家に泊まることになった。僕は先に月の都へ帰る。

「では、舞依。ご両親と思い出話に花を咲かせてね」

「えぇ、ありがとう。まぁくん」

「お父さん、お母さん、僕はこれで戻ります。また寄らせて頂きますので」

「まぁくん。本当にありがとうございます」

「では、舞依。明日ね」

「はい」

「シュンッ!」


 月の都に戻ると皆と一緒にテレビを観た。

まだ情報は多くないので、堂々巡りに同じ内容を繰り返し、憶測で神の力に期待する声が多く報じられていた。


「何か期待や希望が膨らんで来ていますね」

「これで事故を起こした原発の処理だけで、他には何も手を差し伸べてくれないことが分かったら落胆するだろうね」

「仕方がありません。これで人間たちが結束できるかどうかです」

「えぇ、期待するのは私たちの方ですよ」




 地球での三日目は桜の実家へ行く。朝食を食べ終わった頃、舞依が瞬間移動で戻って来た。


「シュンッ!」


「舞依、お帰り!」

「ただいま!」

「ご両親とゆっくりお話しできたかな?」


「えぇ、夜遅くまで懐かしい話で盛り上がったわ」

「それは良かった。では、今日は桜の実家へ行こうか」

「はい。月夜見さま、よろしくお願いいたします」


 桜の力で全員を桜の実家の道場へと瞬間移動する。道場に土足で入る訳にはいかないので皆、靴は履いていない。


「シュンッ!」


「うわぁ!」

 道場には事前に連絡を受けた桜の家族が待ち構えていた。突然現れた僕たちに皆が相当に驚いた様だ。


武士たけし!武士なの?何だかもうおじさんなのね!」

「姉さん?本当に桜姉さんなの?」

「桜?本当に桜なのか?」

「え!これが桜?一体何歳になったの?」

「お父さん、お母さん。私は三十六歳よ」

「え?どう見ても十代ですよ!」


「異世界では三十六歳でもそんなに若いのか!」

「いえ、私は神の能力を授かったからこの様な若い姿を保っていられるのです」

「あぁ!神なのでしたね!」

「武士。そちらの女性はあなたの?」

「えぇ、姉さん。僕の妻の麻里まりです」

「ま、麻里です。は、初めまして・・・」


「初めまして、武士の姉の桜です」

「な、なんてお美しい・・・」

「ありがとう」

「い、いいえ・・・」


「あら?そちらは?」

「あ、あぁ、姉さん。僕の息子だよ。琢磨たくまだ。十七歳、高校三年生だよ」

「そう。初めまして。剣道はやっているの?」


「それは道場の息子だからね。今年、高校の全国大会で準優勝だったんだ」

「素晴らしいわ!」

 琢磨は剣士らしい精悍せいかんな顔立ちをしていた。


「姉さんは異世界でも剣術をしているのでしょう?」

「えぇ、結婚するまでは王宮騎士団の騎士だったの。剣聖の称号を頂いているわ」

「それは是非、琢磨に稽古を付けて欲しいものだな」


「桜。まずは僕との模擬戦を見て頂くのはどうかな?」

「そうですね。でもその前に皆さまを家族に紹介しないといけませんね」

 桜は僕や妻たちを家族に紹介してくれた。


「琢磨。私の剣術は剣道とは違うの。真剣を使う命を懸けた戦いなのよ。稽古と言ってもあなたのレベルも分からないのですから、まずは月夜見さまと私の模擬戦を見て頂きますね」

「え!神さまと姉さんが模擬戦を?」

「まぁ、見ていなさいな」


「シュンッ!」

「シュンッ!」

「うわっ!それって真剣なのですか?」

「そうよ。近付くと危ないわよ」

 そう言って微笑む桜が格好良い!また惚れてしまう!


「では、武士。審判をお願いできるかしら?十分経って決着が着かなければ止めて頂戴」

「はい。では・・・始め!」


 桜から鋭い踏み込みで打ち込まれる。それをギリギリでかわして反撃する。

ふたりの立ち回りがあまりにも早く、目で追うことさえ難しい。


 ただ、「ダンッ!」「キンッ!」とか「ビュッ!」という、踏み込みの音、剣で撃ち合う音、そして剣が空気を切り裂く音は響いている。だが、その音を聞いた時にはもうふたりは離れている。


 ダンスを踊っているかの様にふたりの長い髪が宙を舞っている残像だけが見えていた。

そして桜と僕が対峙している先に丁度、お父さんが立っていた。桜が踏み込む瞬間、僕越しに桜の殺気を帯びた眼差まなざしを見て、お父さんは身を硬直させた。


『こ、これが剣聖の剣・・・』

 お父さんは思わず心の中でつぶやいた。


 そのまま十分が経過し、弟の武士は試合を止めた。

「止め!」


 ふたりは息も乱れていない。シュンッ!と剣を消すと笑顔で歩み寄りハグをした。


「神の剣とは凄いものなのだな・・・全く剣筋が見えなかった」

「武士、琢磨。私たちは神の力は使っていないのですよ。これは訓練の賜物なのです」

「そ、そうなのですか・・・」


「あ、あの。桜伯母さま!どうしたらその様に早く動ける様になるのですか?」

「そうね。一日十時間。毎日休まずに鍛錬を続ければ、五年くらいでこの様に動ける様になるわよ」


「え!一日十時間を毎日・・・それを五年!」

「シュンッ!」

 桜は先程の真剣を再び出現させた。

「琢磨、この剣を持ってみなさい」


 琢磨は恐る恐る剣を受け取ると、

「お、重い!こんなに重い剣を軽々と振り回していたのですか!」

「えぇ、それができる様になるためにはどれ程の鍛錬が必要か分かるでしょう?」


「は、はい!」

「頑張ってね!」

 武士も琢磨も本心から驚いている様だ。現代の日本の若者にそれは難しいのではないかな?まぁ、本物の剣士や騎士になる訳でもないのだしね。


 桜のお父さんは道場の正面にある神棚の前へと黙って向かった。神棚に一礼すると神棚の前に置かれていた日本刀を持ち桜の前に戻った。


「桜。早乙女家に代々伝わるこの宝剣を授けよう」

「え?お父さん。その日本刀を?早乙女家に代々伝わる家宝ではありませんか」

「うむ。今の日本では真剣など使うことはないのだ。私も居合斬りなど、もうやらぬからな。だが桜の世界では、先程の様に真剣で戦うことがあるのだろう?」


「そうですね。戦争はもう、まず無いのですけれど、真剣が必要な場面はまだありますね」

「それならば、桜に使って欲しいのだよ」

「そうですよ。あの様な剣術の腕前ならば、あの日本刀が生きるというものでしょう」

「本当に良いのですか?」

「さぁ、抜いてみなさい」


「カチンッ!」

 桜は左手で日本刀の黒い漆塗うるしぬりのさやを掴み、右手で柄を掴むと親指でかたなつばをはじいてからすらりと抜刀ばっとうし、目の前に掲げた。


 刀のが光を反射してキラリと輝いた。刀身とうしん刃紋はもんが美しい。


 一般的な日本刀は二尺三寸だ。六十センチメートル強の長さがある。基本的に男性が使うものなので桜には長いかと思ったのだが、桜の今の身長であれば全く長いとは感じない。


 桜はさやを床にそっと置くと、そのままかたなを両手で掴み呼吸を整えた。刀をすっと上段に構え、一瞬目を閉じて精神を統一した。


 そして「カッ!」と瞳が開かれると刀が一閃いっせんした。

「いやーっ!」

「ビュッ!」

 次の瞬間、道場内の空気が裂け、剣を振り下ろした先の窓ガラスが割れた。

「ピシッ!」

「ひっ!」

 弟の嫁の麻里が思わず声を上げた。


「お見事!」

 お父さんが静かに、だが力強く声を上げた。


「やはり、この宝剣は桜が持つに相応しいな」

「お父さん。本当によろしいのですか?」

「うむ。武士。琢磨。それで良いな?」


「えぇ、勿論です。姉さんに託します」

「はい。桜伯母さまに使って頂くのが良いと思います」

「そう。お父さん。武士。琢磨。ありがとう御座います。大切に使わせて頂きます。では私の剣は琢磨に預けます。これが軽々振れる様に鍛錬なさい」

「え?僕が頂いても良いのですか!」


「琢磨。記念に頂いておきなさい。でもそれは真剣だ。道場から外に持ち出してはならないし、それで試合もできないぞ」

「勿論、承知しています」

「桜伯母さま、ありがとうございます!」


 その後、桜の家族と一緒にお茶を頂いて雑談した。小一時間程で家族は月の都へと帰って行った。


 僕と桜は昼食をご馳走になった。昼食は鰻重うなじゅうだった。

「桜。うなぎは向こうの世界で食べていないね」

「そうですね。鰻は居ないのでしょうか?」

「うーん。分からないな。居ないのか、居るけど食べられると思っていないのか・・・」

「月夜見さまは、鰻はお好きですか?」

「うん。大好きだよ。頂くのは何十年ぶりになるのだろう?」


「お好きなのでしたら良かったわ」

「うん、美味しいね。このタレが美味しいのだよね」

「えぇ、ごはんにタレをかけただけで食べても美味しいですものね」

「ふふっ。桜が子供の時にそうしている姿が目に浮かぶな」

「まぁ!恥ずかしいわ」


「でも、鰻って美味しいよね。向こうでも食べたいな。帰ったら天照さまに鰻は存在するのか聞いてみよう」

「向こうに居たとしても、タレは一度日本から仕入れないといけませんね」

「そうだろうね」




 昼食後には桜が命を救ったという友達がお母さんから連絡を受けて訪ねて来た。呼び鈴が鳴り、お母さんが玄関へ出迎えに行った。桜の友達が居間に近付いた音を聞いて、桜はすっと席を立った。


「こんにちは。ご無沙汰しております」

「綾!綾なのね?久しぶり!」

 桜が友達に駆け寄った。


「え?あなたが桜なの?」

「えぇ、そうよ。私が桜。異世界に転生してこんな姿になってしまったのだけど」

「まぁ!なんて美しいのでしょう?まだ十代なの?」

「いいえ、三十六歳よ。私は神の身体を持っているためにこの様に若さを保っていられるのです」


「テレビで観たわ。本当に神になったのね・・・桜は自分の命をかえりみずに、私の命を救ってくれたのですもの。神に生まれ変わって当然なのね」

「そうなのかしら・・・でも綾が幸せそうで良かったわ。あ!いけない。綾。こちらが私の主人の月夜見さまよ」


「初めまして。月夜見です」

「あ!は、初めまして。高梨綾たかなしあやと申します。神さまなのですものね・・・信じられない程にお美しいのですね」

 僕はその問い掛けには何も答えず、ただ笑顔を返しておいた。


 それからは桜と綾で当時の話や綾の今の暮らしぶりを話して盛り上がっていた。

「桜、今夜はここに泊まるのだろう?僕はそろそろ・・・」

「あ。月夜見さま。私はここには泊まりません。よろしければ一緒に夕食を頂いてから帰りませんか?」


「え?桜は泊まらなくて良いのですか?」

「えぇ、良いのです」

「そう。それならば、そうさせて頂こうかな」

「はい。お願いいたします」


「桜、晩御飯は本当に餃子で良いのかしら?」

「えぇ、私、お母さんの作る餃子が大好きだったの。どうしても食べたくて・・・」

「餃子か。良いじゃないか!」

「向こうではまだ、食べていないですよね?」

「そうだね。作れないことはないのだろうけれどね。今、言われるまでその存在を忘れていたよ」


「幸ちゃんならきっと作れるでしょうね」

「では今日、レシピを持って帰れば良いのではないかな?」

「あぁ、そうですね!お母さん、レシピをメモしてくれる?」

「えぇ、分かったわ」


「私も餃子の種を包むだけなら手伝ったことはあるのですよ」

「そうか、桜の日本での人生は小学生の途中までだものね」

「えぇ、自分だけでの料理は経験していないのです」


 桜は少しだけうれいのある表情となった。そんな表情もまた美しい・・・

お読みいただきまして、ありがとうございました!

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