プロローグ
あの日私は、『本当の家族ではないけれど、本当の家族より大切な人ができた』
「来未ちゃん、今日の晩御飯ご飯何?」
お城のような大きなリビングにあるふわふわソファーに座って本を読んでいるといつものようにゆづりちゃんが話しかけてくる。
「今日はキノコトリュフとハンバーグです」
「なにそれ名前からして美味しそう!私も一緒に作っていい?」
一気に笑顔で顔を近づけてくるゆづりちゃん、最近はもう慣れちゃった。
「…ゆづりちゃんは一応私の"ご主人様"なんだからダメです」
「えー…そんな…」
すごく残念そうなゆづりちゃんをみて私は罪悪感が込み上げてきた…。
「あ、いま、悪いことしちゃったな、、って思った?」
ゆづりちゃんに図星の事を言われ、急激に顔が熱くなったのがわかった。
「顔真っ赤だ、可愛いっ!」
「!!と、とにかく私は準備するので!!」
あまりにも自分でよよくわからないけど恥ずかしくてすかさずリビングから飛び出そうとすると
「あ!待って来未ちゃん!」
ゆづりちゃんに引き止められた。
「な、なんですか…」
「今日もありがとね」
さっきのいじってる声とは違う、優しい、お姉ちゃんような落ち着く声でそう言いながら頭を優しく撫でてくれた
私がここ、夢咲家にきて毎日言われてるはずなのに、ゆづりちゃんのこの声のトーンを聴くと凄く心がおちつく…。
私が夢咲家にきたのは今から数年前のお話だ。